ドナルド・トランプを支持する反政府極右組織がFacebook上で人材募集・投票箱の監視を推進している、一方のFacebookは「ポリシー違反のグループを削除している」と主張するも関連組織のページが自動作成されているとの指摘
2020年に行われたアメリカ大統領選挙では、2021年1月にドナルド・トランプ氏を支持するデモ隊がアメリカ連邦議会議事堂を襲撃するという事件が発生しました。2024年11月に行われる大統領選挙でも、トランプ氏を支持する反政府極右組織がFacebook上で人材の募集や投票箱への張り込みといった活動を推進していることが報告されています。
Pro-Trump Militias Are Threatening the Election-and Meta Lets Them | The New Republic
Facebook Is Auto-Generating Militia Group Pages as Extremists Continue to Organize in Plain Sight : r/politics
https://www.reddit.com/r/politics/comments/1geudwt/facebook_is_autogenerating_militia_group_pages_as/
2021年1月6日に発生した連邦議会議事堂の襲撃事件では、デモ隊が数時間にわたって議事堂を占拠した結果、デモの参加者や警察官を含む5人が死亡する事態に発展。この件についてテクノロジー企業の慣行に関する研究機関のTech Transparency Project(TTP)は「連邦議会議事堂の襲撃は数カ月にわたりFacebookで組織されていた」と指摘していました。
過激派による連邦議会議事堂の襲撃は「数カ月にわたりFacebookで組織されていた」との指摘 - GIGAZINE
事件を受けて、トランプ氏支持の反政府組織はさまざまな機関からの厳しい監視にさらされることになりました。一部のグループは「民兵」という単語を自身のウェブサイトから削除して「文民警備隊」「愛国者グループ」と言った間接的な名前に変更し、活動から距離を置くそぶりをみせていたとのこと。
しかし、暴動に関する関心が薄れると、これらのグループは再び活動を開始。TTPはトランプ氏支持の過激派組織に関して、Facebook上で活動する262のグループや193の反政府サイトを発見しました。また、これらのグループやページの一部は大統領選挙が近づいた2024年5月以降に作成されたものでした。
これらのグループでは、選挙が近づくにつれて連携を強めています。「U.S.A. Militia We The People」という反政府グループは「カマラ・ハリス氏が大統領になれば、アメリカ国内で内戦が勃発することになるでしょう。我々は、私たちの国が置かれている悲惨な状況を理解できる人々を探しています」と訴えかけています。
さらに、ウィスコンシン州に拠点を置く「愛国者グループ」は、投票箱の近くに小型カメラを設置して監視を行うよう促しています。また、17万1000人のメンバーを擁する「The Party of Trump」というグループでは、「トランプ支持者がアサルトライフルを持って投票箱を監視する」との提案が行われています。こうした活動を受けて、アメリカ国土安全保障省は「国内の過激派が投票を妨害したり襲撃したりしようとする可能性があります」と法執行機関に警告したことが報じられました。
Metaは「このような反政府グループは常に私たちのポリシーを回避する新たな方法を見つけようとしています。そのため、人材やテクノロジー、研究、パートナーシップに多額の投資を行うことで、私たちは違反するグループやアカウントを継続的に取り締まっています」と報告。実際に2020年にMetaは「軍事化された社会運動」および「武装民兵グループ」として、最大の反政府グループ「American Patriots Three Percent(AP3)」関連のグループやページ、アカウントの削除を実施しています。
しかし、海外メディアのWiredによると、2024年5月にFacebookはAP3のアリゾナ支部のページを自動的に作成したほか、2024年6月には「AP3訓練場」のページを自動で作成したとのこと。一方で、AP3訓練場の説明文には「この非公式ページは、Facebookユーザーがこの場所やビジネスに興味を示したために自動的に作成されました。FacebookがAP3訓練場と提携している、または承認しているわけではありません」との記載があります。
AP3のリーダーであるスコット・セドン氏は2022年に「私たちは常にFacebookを活用しています。Facebookは私たちにとって最大の武器です。Facebookのおかげで私たちは今日に至っています。私たちの目標は、Facebookを用いてネットワークを構築して拡大し、我々と志を同じくする愛国者を増やすことです」と述べています。
TTPでディレクターを務めるケイティ・ポール氏は「FacebookはAP3のような民兵組織をポリシーで禁じてはいますが、2021年1月の連邦議会議事堂襲撃事件から約4年が経過した今でも、彼らにとってFacebookは重要なリクルート・組織化ツールであり続けています」「Metaは『政治的暴力に関与する過激派を効果的に阻止する』と主張していますが、自動的に反政府グループのビジネスページを作成してしまうような企業を信頼できるのでしょうか」と批判しました。
ジョージ・ワシントン大学のジョン・ルイス研究員は「私たちは、実際に組織された国内の過激派グループが、何百万人ものアメリカ人が利用できるFacebookを自由に利用できるという事実を懸念すべきです」と指摘しました。