厳しい表情で開票センターに入る公明党の石井代表(27日午後10時25分、東京都新宿区で)=守谷遼平撮影

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 公明党は石井代表が落選するなど、苦戦を強いられ、公示前勢力である32議席の維持ができなかった。

 自民党の「政治とカネ」の問題では、自民に政治資金規正法の規制強化を迫ったものの、連立与党として世論の反発をもろに受けた格好だ。

 石井氏は比例選から埼玉14区に転出し、事実上の「落下傘候補」として選挙戦に臨んだ。

 9月に党代表に就任したものの、全国遊説は後回しにし、自身の選挙区に注力することを迫られた。自民の地元県議らの応援を受け、組織をフル稼働させて支持拡大を図ったが、結局及ばなかった。

 27日のラジオ番組では、「自民の問題が与党全体に対して逆風になった」と振り返った。

 公明は今回、「常勝関西」と呼ばれるほどの礎を築いた大阪では4小選挙区で、日本維新の会と初の全面対決に臨んだ。山口那津男・前代表が公示後、応援に3回入り、石破首相(自民党総裁)らも訪れたが、佐藤茂樹副代表を含め、全敗を喫した。

 石井氏らは選挙戦で、政策活動費の廃止や政治資金をチェックする第三者機関の設置など、「政治改革」の推進を前面に訴えた。低所得世帯への給付金支給も掲げ、自公政権で政策を継続して進める重要性も強調した。

 ただ、政治資金問題で自民から公認されなかった前議員ら計35人に推薦を出したことを巡っては、野党から「自民と共犯だ」との批判を招いた。

 支持母体である創価学会は、会員の高齢化に伴って組織の弱体化が進んでいるとされ、集票力には陰りが見える。党内では石井氏の退任は避けられないとの見方があり、重視する来年の東京都議選、参院選に向けては、体制の立て直しが急務となっている。