報道陣の取材を受けながら笑顔を見せる井上温大(カメラ・相川 和寛)

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 11月の「ラグザスpresents 第3回WBSCプレミア12」に向け、侍ジャパンは29日から宮崎市内で事前合宿を行う。初の代表入りが内定した巨人・井上温大投手(23)は貴重な左腕として、19年大会で初優勝に貢献した師匠・今永(カブス)に続く活躍を目指す。また、エース格として期待される戸郷翔征投手(24)は、日本シリーズ進出を逃した悔しさを晴らす快投を誓った。

 少年のように目を輝かせながら、井上が声を弾ませた。集合日を翌日に控え、初の侍ジャパン入りに「ずっと夢だったので、かなってうれしい」と高揚感を口にした。シーズン中盤からローテーションに定着し、25登板で自己最多の8勝とブレイク。下半身のコンディション不良で辞退した日本ハム・伊藤の代役として、白羽の矢が立った。

 19年のプレミア12決勝は東京Dの内野席から侍ジャパンの初優勝を見届けた。「点をとったシーンとか最後のシーンは覚えてます。(代表としてのプレーは)考えれば考えるほど僕じゃないなと思っちゃって、不安になってます(笑い)」と照れ笑いしたが、覚悟を決めて代表に合流する。

 今季メジャー1年目で15勝3敗、防御率2・91と大活躍した今永も、同じ道を歩んだ。22年オフの自主トレから師事する先輩左腕は、19年大会で2登板、防御率1・00と初Vの立役者となった。「いい選手しかいないですし、いいところを全部盗みたい。左投手には基本、全部聞きたい」と井上。日本代表では過去、今永だけでなく、杉内や成瀬らが国際大会で強さを発揮してきた。早川、隅田ら好左腕が名を連ねる今大会で存在感を示せば、26年WBC、28年ロサンゼルス五輪出場への道も開けてくる。

 この日はG球場のブルペンで38球を投げ、29日から宮崎で行われる合宿への準備を整えた。シーズンの疲労は「全然ないです」と言い、「実力を日本代表のレベルで見てくれるのはうれしい。期待に応えられるように頑張りたい」と力を込めた。飛躍の1年に、一気のステップアップを狙う。(内田 拓希)

◆侍ジャパンの歴代主戦左腕

 ▽杉内俊哉 ソフトバンク時代の08年北京五輪で2登板、防御率0.84。09年WBCはリリーフとして5登板計6回1/3無安打無失点で世界一に貢献。

 ▽成瀬善久 ロッテ時代の08年北京五輪で1次リーグのカナダ戦に先発して7回2安打10奪三振無失点で1―0勝利に導く。大会計4登板で19奪三振。

 ▽今永昇太 DeNA時代の19年、プレミア12スーパーラウンドのメキシコ戦で6回8奪三振1失点。昨年WBCは決勝のアメリカ戦で先発して2回1失点。