自民党の開票センターでインタビューを受ける石破首相(27日午後10時41分、東京都千代田区で)=川口正峰撮影

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 第50回衆院選は27日投開票された。

 自民党は「政治とカネ」の問題を受けて大敗し、公明党を合わせた与党で総定数465の過半数(233議席)に届かなかった。立憲民主党は、公示前から議席を大幅に増やした。今後、政権の枠組みを巡って与野党の攻防が始まり、政局が流動化する可能性もある。日本維新の会や、公示前から議席を伸ばした国民民主党の動向も焦点となる。

 与党の過半数割れは2009年衆院選以来だ。

 与党での過半数確保を勝敗ラインに掲げていた石破首相(自民総裁)は27日夜、NHK番組で「非常に厳しいご審判をいただいたと認識している。謙虚に厳粛に受け止めている」と語った。その上で、野党の協力を得て自民中心の政権を維持する考えを示した。

 自民は衆院選にあたり、政治資金問題に関わった前議員ら44人のうち10人を公認せず、34人は比例選との重複立候補を認めなかった。非公認となり無所属で出馬した下村博文・元文部科学相(東京11区)は落選した。

 自民、公明両党は選挙戦で、経済政策や外交・安全保障政策の実績を強調して自公政権の継続を訴えたが、選挙戦終盤には、自民が非公認となった候補側に2000万円の政党交付金を支給していたことが発覚し、逆風が強まった。

 公明の西田幹事長は27日夜、BS朝日の番組で「『政治とカネ』を含め与党への怒り、厳しい反応が如実に表れている。公示後に『2000万円問題』が急浮上したこともだめ押しになっている」と語った。

 公明は21年の前回選で9選挙区に候補を擁立して全勝したが、今回は11人が小選挙区選に出馬し、当選は4人にとどまった。

 立民は与党の過半数割れを目標として、選挙戦では自民の政治資金問題を徹底的に批判した。野田代表は28日未明の記者会見で、「目標を達成できたことは大きな成果だ」と語った。他の野党との連携に向けては27日のフジテレビ番組で「自公政権継続がダメという立場と、政治改革を推進するという点で一致するなら対話はしていきたい」と意欲を示した。

 衆院選後は30日以内に特別国会が召集され、首相指名選挙が行われる。与党が過半数に届かなかったことで、今後、日本維新の会や国民を含めて与野党の駆け引きが活発化するとみられる。

 維新の馬場代表は27日夜、NHKの番組で、自公両党との協力について「全く考えていない。『政治とカネ』の問題で国民の怒りに火がついている」と否定した。一方、立民との連携についても、大阪市での共同記者会見で「(立民は)外交・安全保障、エネルギー、憲法など基本的な政策で党内がまとまっていない」と消極的な姿勢を示した。

 国民の玉木代表も文化放送のラジオ番組で、自公との協力について「考えていない」と否定した。

 衆院選は21年10月以来3年ぶりに行われ、衆院小選挙区の「10増10減」を受けた新区割りが初めて適用された。10月1日の内閣発足から26日後の投開票は戦後最短だった。

 衆院選は、小選挙区選289、比例選176の総定数465議席を争った。全体の候補者数は1344人で、前回選の1051人を大きく上回った。