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自民党が衆議院選挙で公認候補者に加えて、非公認候補者が代表を務める政党支部などに対しても党勢拡大のための活動費として2000万円を支給したことについて、石破首相は「非公認候補者にお金を出したのではない」と強調しました。

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自民党は今月、いわゆる裏金問題で非公認となった候補者が代表を務める政党支部などに対して、党勢拡大のための活動費として一律2000万円を支給しました。

石破首相
「政党支部に出しておるのであって、非公認候補に出しておるのではございません。そのような金を選挙に使うこと全くございません」

石破首相は「候補者」ではなく、自民党の政策を有権者に伝えるために「政党支部」に対して支給した費用だと説明しました。

立憲民主党 野田代表
「政党支部に交付金という形で政党交付金。どうして2000万、2000万で公示の時期に同じ時期に支給されるんですか。どうみたってこれ裏の公認料じゃないんですか」

立憲民主党など野党側は「疑いを持たれて当たり前」「本当に反省がない」などと厳しく批判しています。

鈴江奈々キャスター
「ここからは政治部官邸キャップ・平本典昭記者に話を聞きます。今回、自民党が支給したお金について解説をお願いします」

政治部官邸キャップ 平本典昭記者
「自民党は公認候補者に対しては、公認料500万円と活動費1500万円のあわせて2000万円を支給しました。また、いわゆる裏金議員など非公認候補者が代表を務める政党支部などに対して、2000万円を活動費として支給したということです」

鈴江キャスター
「有権者からすると、こういった政治のお金の種類がいろいろあってよくわからないんですけど、そもそもこの活動費というものはどういうものなのか、そしてそれが適切なお金なのかどうか、ここはどうなんでしょうか?」

平本記者
「適切かを考えるにあたって3つのポイントで説明します。1つめはそのお金が『透明性があるのかどうか』。2つめは『2000万という額が適切なのかどうか』。3つめは『いわゆる“裏金議員”にプラスになるのかどうか』ということを説明したいと思います」

「1つめ『透明性』についてです。まず、今回のお金は使い道を公開する必要のない『政策活動費』ではありません。法律に基づいて公開する必要があるお金で、領収書も必要です。自民党幹部は『何に使ったかは明らかにするお金だ』『項目も公開する』と違法性はないと主張しています。一方、野党幹部は『実際に選挙に使われたかはわからない』と批判しています」

鈴江キャスター
「この活動費というものは、これは野党も含めて政党支部に渡されているお金なんでしょうか?」

平本記者
「公認候補には野党の政党もお金を出していますし、それを選挙の時に活動費として使うのは、もちろん自民党だけではありません。それが透明性があるとか金額がどうか、今回は特にいわゆる裏金議員を非公認にしたわけですけれども、そこで使われているかどうかを考えることが大事だと思います」

鈴江キャスター
「そうしたうえでこの2000万円という金額が適切かどうかというのはどうなんでしょうか?」

平本記者
「その点についてある自民党幹部は、『選挙にはお金がかかる。今回だけ極端に多いわけではない』と説明しています。ただ、公認候補は公認料と活動費あわせて2000万円。非公認候補の政党支部にも同じ額が支払われるわけで、野田氏も言っていましたが、おかしいという1つの理由になっています。自民党内からも『1500万円ならまだしも2000万円は公認候補の支援と同じになるのではないか』という批判が出ています」

鈴江キャスター
「そうすると公認と非公認の違いはなんなんだという疑問は確かに残りますね」

鈴江キャスター
「そして3つめが、いわゆる選挙戦で裏金議員と言われる人たちにプラスになるのかどうか、この点はどうでしょうか?」

平本記者
「それを考えるにあたっては、まずは政党支部というのが何かを理解する必要があると思います。政党支部とはその地域の候補者などが代表を務める政治団体で、お金の受け皿にもなります。自民党は、今回のお金は候補者個人の選挙活動ではなく、この政党支部が自民党の政策をPRするためと説明しています。つまり、候補者を支援するものではなく、党を選ぶ比例代表選挙に向けたお金というのが自民党の理屈です」

鈴江キャスター
「ただ、候補の活動と党の活動って有権者からすると線引きがなかなか分かりづらいというのが実感としてあるのですが、どうでしょうか?」

平本記者
「まさにそこも1つのポイントだと思います。石破首相は『裏金議員に公認料を払ったわけでない』『裏金議員が選挙活動に使うこともない』と主張していますが、同じ選挙区内で自民党のPRというものが、その候補者のPRにつながることはないのか。野党側は実質的には『裏金議員への公認料だ』『裏金議員へのステルス支援だ』などと批判しています」

「投票まであと3日となりました。自民党には丁寧な説明が求められますし、私たちも与野党の主張を冷静に聞いて投票の判断材料にしていく必要があります」