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 「プロ野球ドラフト会議supported by リポビタンD」が24日、都内のホテルで行われ、関大の最速154キロ左腕・金丸夢斗投手(4年)はドラフト1位で4球団に指名された。セ・リーグ4球団。クジ引きの末に中日が交渉権を獲得した。

 最初に呼ばれたのは中日。続いてDeNA、阪神、そして巨人の指名がコールされると会場にどよめきが起きた。セ・リーグ4球団から1位指名。明大・宗山の5球団に次ぐ競合となった。

 セ・リーグ4球団から1位指名。明大・宗山の5球団に次ぐ競合となった。そしてクジを引き当てたのは一番最初に引いた中日の井上一樹新監督(53)。阪神・藤川新監督、巨人・阿部監督、DeNA・三浦監督が苦笑いを浮かべる中で左腕を大きく突き上げる大ガッツポーズ。「脱臼しましたよ(笑い)。思いっきり…まさか(封筒に当たりクジが)入ってないだろうなと思った瞬間に…。(クジを開いて見せ)間違いないと思います。(見た瞬間)頭真っ白になりました。今までで多分、一番大きなガッツポーズでした。(セ・リーグの監督が)並んだ時に、どうしてもほしいな〜と思いながらずっと念を送っていました」と興奮気味に語った。そして、金丸に「金丸くんの名前が、夢斗という素晴らしい名前をね…一緒に夢をかなえましょうという。待ってます!」と熱い第一声を送った。

 「1番を狙っていた」と大学生では一番乗りで、9月1日にプロ志望届を提出した金丸が「1番」でプロへの扉を開いた。

 昨年のドラフト会議直前、金丸を視察したあるスカウトはつぶやいた。「今年でも1位指名されるぐらいの実力があるんじゃない?」。3年秋のリーグ戦では2桁奪三振が登板6戦中5度を数え、驚異の防御率0・35。2年春の4月23日関学大戦の敗戦を最後に、3年秋までリーグ戦18連勝を記録するなど、世代No.1左腕として1年前から注目を浴びた逸材。同年12月上旬の大学日本代表候補強化合宿では侍ジャパンの井端監督から「ここからまた変化するでしょうし楽しみですよ」と高い評価を受けた。

 そして今年3月に行われた欧州代表との侍ジャパン強化試合の出場選手として明大・宗山塁、愛知工大・中村優斗、青学大・西川史礁とともにトップチームに選出された。

 しかし、順調に歩んできた金丸に試練が襲った。春季リーグ期間中の5月中旬に「腰の骨挫傷」を発症して離脱。その後は対外試合未登板で、秋までは故障との戦いでもあった。だが2試合の1イニング限定登板を経て、9月16日の立命大戦では、8回からの3イニングを最速149キロを連発し、3者連続三振を含む5奪三振を数えて被安打1に抑えた。複数球団のスカウトが熱視線を送る中での復活快投。試合後には「連投は問題なかったです。(故障などの)試練を乗り越え、成長につなげたい」と鋭い視線で前を見据えた。大事を取り、今秋は救援に専念した金丸。ほぼ無名だった高校時代から飛躍を遂げ、大学生で日本代表のトップチームに選出されるまでに進化を遂げた逸材が、いよいよプロの世界の入り口に立った。

 ◇金丸 夢斗(かねまる・ゆめと)2003年(平15)2月1日生まれ、兵庫県神戸市出身の21歳。小1から野球を始め投手や一塁手。広陵中では軟式野球部に所属。神港橘(兵庫)では1年秋からベンチ入りし、2年秋から背番号1。関大では1年秋からリーグ戦に登板し、3年秋から57イニング連続自責0。リーグ通算39試合20勝3敗、防御率0・88。1メートル77、77キロ。左投げ左打ち。