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 24日に行われるドラフト会議。直前特集はフリーライターの菊地選手(42)が、全国を駆け回って吟味したドラフト候補から球団別の獲得すべき選手を紹介する「おすすめ選手はこれだ!」だ。パ6球団の補強ポイントを分析し、必要な選手を提案する。

 【ソフトバンク 明大・宗山塁内野手】

 以前はロマン型の原石を好んで獲得してきた球団だが、昨年から指名傾向がはっきりと変わった。投手なら球速より制球力や球質を最重要視するようになった。今年はポスト今宮健太として、確実に1軍レギュラーを狙える宗山塁(明大)の1位指名に走るのではないか。ほころびが見える救援陣も補強ポイントで、特に左腕が欲しい。前述の傾向からすると、宮原駿介(東海大静岡)が合致する。球の切れと度胸の良さはブルペンで際立ちそうだ。右投手なら高回転数のストレートを武器にする村上泰斗(神戸弘陵)の指名も視野に入れたい。

 【日本ハム 福岡大大濠・柴田獅子投手】

 近年は新球場に花を添える好素材を次々に獲得してきたが、最後のピースは内野守備の要である宗山塁(明大)になるのか、二刀流・柴田獅子(福岡大大濠)なのか。投手は毎年のように実戦派を指名する球団だけに、今年は左腕の伊原陵人(NTT西日本)が候補になりそう。すぐ1軍ブルペンに入れる実力者だ。チーム内で長身右腕の台頭も続いており、有馬恵叶(聖カタリナ学園)、三浦尊神(おかやま山陽)ら原石系も獲得して流れをつなぎたい。絶対数が少ない捕手は龍山暖(エナジックスポーツ)を推す。無名の存在だが、俊足強肩の好素材だ。

 【ロッテ 法大・吉鶴翔瑛投手】

 佐々木朗希の去就が不透明で、即戦力投手の確保は最重要課題。ドラフトは独自路線を走る球団だけに、競合を避けて中村優斗(愛知工大)を1位指名する可能性も。残る補強ポイントは左投手と右の強打者。左投手は潜在能力を加味すれば吉鶴翔瑛(法大)、実戦性を重視すれば伊原陵人(NTT西日本)が適任か。吉鶴が指名されれば、父子2代のロッテ在籍プロ選手誕生になる。右の強打者は宇野真仁朗(早実)が何位まで残っているかが鍵になりそう。左打者ながら“和歌山の角中勝也”の異名を持つ谷村剛(和歌山東)も、確実性が高く面白い。

 【楽天 大商大・渡部聖弥外野手】

 過去2年は投手中心のドラフトだっただけに、今年は野手中心の指名になるか。浅村栄斗の後釜や、ほぼ左打者に偏っている外野陣と宿題は山積みだ。補強ポイントを完璧に埋める人材は、右の強打者で三塁もこなせる渡部聖弥(大商大)では。今季打率.438で首位打者に輝き、リーグ最多タイ記録の通算119安打を放った打撃は、どんな評価を受けるか。村林一輝の非常時に備えて、守備力が高い山県秀(早大)、相羽寛太(ヤマハ)もおすすめ。捕手陣の層も薄いだけに、守備型の坂本達也(富士大)や石伊雄太(日本生命)を状況に応じて指名しておきたい。

 【オリックス 立正大・飯山志夢外野手】

 1位は投手か野手か、読みにくい球団。今季は貧打に泣いたとはいえ、有望な若手を養成中ということに留意したい。強打者なら西川史礁(青学大)や渡部聖弥(大商大)クラスでなければ、埋没する可能性があるだろう。補強ポイントは、高い次元で守れる中堅手。俊足で確実性も併せ持つ飯山志夢(立正大)は、うってつけの存在だろう。体制が替わるため育成環境が変わる可能性もあるが、近年は投手の好素材を育成してきた実績がある。右投手なら清水大暉(前橋商)、左投手なら金渕光希(八戸工大一)といった晩成型の大器を候補に入れたい。

 【西武 青学大・西川史礁外野手】

 歴代リーグワーストのチーム打率.212に沈んだ打線の強化は急務。補強ポイントにはまるのは右の強打者である西川史礁(青学大)や渡部聖弥(大商大)だが、西武スカウト陣の宗山塁(明大)への思い入れの強さも半端ではない。沈滞ムードを変えてくれる選手として、大舞台で強さを発揮する麦谷祐介(富士大)やアスリート型野手の今坂幸暉(大院大高)の名前も挙げたい。一方でメジャー志向の強い投手が多いため、次世代の先発型も獲得しておくべきだ。3位以下で寺西成騎(日体大)、清水大暉(前橋商)が残っていれば迷わず指名したい。

 ◇菊地選手(きくちせんしゅ) 1982年(昭57)生まれ。本名・菊地高弘。雑誌「野球小僧」「野球太郎」の編集部員を経て、15年4月からフリーライターに。ドラフト候補の取材をメインに活動し、ツイッター(現X)上で「大谷翔平」とツイートした最初の人物(10年10月8日)。19年3月出版の著書「下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル」は、昨年放送されたTBS日曜劇場「下剋上球児」の原案となった。