育児に緊急事態はつきものだが…

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 ヨッピーさんといえば、ネットメディアを中心に活躍するフリーランスライター。取り扱うジャンルは多岐に亘り、彼の記事を心待ちにしているファンも多い。そんな“ネットで一番数字を持っている男”が今回、初の子育て本を上梓。本稿では、ヨッピーさんが見つけた子育ての意外なヒントを紹介する。後半では、子育てにおける心の持ちよう、そして大切だけんど忘れがちな“基本”を総ざらいする(全2回の第2回)。

【写真】イラストがかわいいよっぴーさん著『パパもママも必読!子育てがラクになるノウハウを集めた育児ハック』の表紙

情報を集めるには「友達」

(5)親や親戚が近くに居ない、もしくは頼れない人

 最近は「夫婦ともに地方出身、上京してからは東京に核家族で住んでる」みたいな世帯が激増していますが、これも子育てにおいては不利に働きます。

育児に緊急事態はつきものだが…

 何かあった時、近くに親戚が居て頼れる関係性にあるのであれば、困った時に「ちょっと子どもを見てて」とお願いする事が出来ます。これ、本当に助かるんですよ……!

 例えば夫婦共働きで出社中、「子どもが熱を出したので迎えに来い」という連絡が入ったのに、お互い手が離せない仕事をしているような状況の時に、親が近くに住んでいれば保育園へのお迎えを頼む事も出来ます。

 また、家族で遊園地に行ったとして、子ども2人+両親2人の合計4人で行くより、子ども2人+両親2人+祖父母2人の計6人で行った方が圧倒的に楽です。大人2人で子ども2人を見るより、大人4人で子ども2人を見るほうが楽なのは当然ですよね。

 とはいえ、「マジでヤバい毒親」みたいな人も確実に存在するので、全員に「親と仲良くするべき」と言うつもりはありませんが、親を頼れない人はその代わりに何かしらの代替案を持っておくようにしましょう。

(6)友達がいない人

 そして友達です。「友達、ぜんぜん居ないんだよな……」みたいな人も苦労しがちです。育児は情報戦の側面もあり、子連れで行きやすい遊び場の情報、子どもウェルカムなご飯屋さんの情報、保育園や幼稚園の情報などなど、同じ地域に友達がいるかどうかで情報を集める際の効率がかなり変わってきます。

パパ友達はどこで作れば

 それに、同年代に子育て中の友達が居れば一緒に子連れでお出かけする事も出来ますし、その中での会話が息抜きになったり、悩みを相談し合ったりする事でメンタル面での安定をもたらしてくれるはずです。

 なので、「パートナーの転勤についていったせいで、見知らぬ土地で子育てをしなくてはいけない」みたいな状況はけっこう「しんどい」ことをちゃんと理解し、もしそういう状況になってしまったらパートナーはその分だけケアしなければいけません。もちろん本人も周囲に友達を増やす努力が必要になるかも。

「友達なんていらねーよ! ペッ!」みたいな孤立主義の人も世の中には居ますけれども、友達がいることで乗り越えられる事はたくさんありますし、居るにこした事は無いので地域・行政主体の「ママ広場」みたいなのがあったら積極的に参加していくと良いと思います。ただ、残念ながら「パパ広場」みたいなのはほとんど無いんですが……。パパ友達はどこで作れば良いのやら……。

(7)お金が無い人

 そしてミもフタも無い話ですが、お金もかなり大事です。というかこれが一番大事かもしれない。お金が無尽蔵にあるならば、困り事のほぼ全ては解決可能だからです。

「お金で幸せは買えないが、不幸は回避出来る」という言葉を誰かが言ってて「なるほどな!」と思ったのですが、子育て中の大変な事もだいたいお金でなんとかなります。

タクシーやハイヤーで

 子育て中に、何かしらの「解決しなければいけない、困った事」が発生した場合、解決策はこのうち、どれかのパターンです。

1.自分たち(体力)で乗り切る
2.誰かを頼る(親、友人、行政など)
3.お金で解決する

 例えば「外せない、大事な仕事の日なのに子どもが熱を出してしまった!」という場合、先ほども言ったように親類や友人など、まずは誰かを頼るのがセオリーだと思うのですが、それも難しい場合はシッターサービスなんかを使う手段があります。

 一部のシッターサービスでは風邪をひいていてもちゃんと看病してくれるようなところもあるので、そういったサービスを利用すれば急場はしのげる事が出来るのですが、やっぱりまあまあのお金がかかります(行政が補助してくれるケースもあるけど)。

 他にも、「家事に手がまわらない!」というのであれば家事代行を呼べばばっちり解決出来ますし、「子ども2人連れての移動が大変……!」という人もタクシーやハイヤーを多用すれば楽々でしょう。そんな風に親のやるべきことなんてだいたいのものがお金で代替可能だったりします。

「こだわり」に優先順位を

 ヒアリングした人の中に、「共働きで5人の子どもを育ててる」というお母さんが居たので、「どうやってそれをこなしてるんですか!?」って聞いたら「ナニー(乳母)さんが常駐してるから……」という答えが返ってきてひっくり返りそうになりました。お金持ちが憎い。

・どうするべきか

 というわけでまとめると、

「きれい好きだったりこだわりが強く、そして責任感も強く、でも体力はあまりなく、親や友人とは疎遠で、お金も無い」みたいな人が子育てに突入するとかなり大変だと思います。

 逆に言えば、「あまりこだわりが強くなく、周囲を頼る事に抵抗がなく、本人は体力ゴリラで親や友達が近くに住んでてお金もある」という人はかなり楽勝なはずです。

 なんとなく、地方に住んでいるマイルドヤンキーと言われるような属性の人が、子だくさんで楽しく暮らしているように見えるのはこの属性の違いみたいなのが大きいのかなと思っております。

 なので、「どうも私は子育てに苦労するタイプっぽいぞ」と思った人は、色々と意識を改善しておきましょう。

 こだわりが強い人は、パートナーと相談しながらその「こだわり」に優先順位をつけて、出来ないことはすっぱり諦めるのか、それともお金を投入してなんとかするのか、「出来ない時にどうするか」を決めておくなどある程度整理しておくのが良いと思います。

打てる手を先に打つ

 そしてその「出来る・出来ない」をパートナーさんと共有して意識を擦り合わせておくと困った時に「助けて」「出来ない」とSOSを出しやすいのではないでしょうか。

 まあ、親が大変なだけなら「しょうがない」と割り切って気合いで乗り切るパターンもあるかもしれませんが、親に余裕がないせいで争いごとが増え、家庭内がギスギスしてしまったら子どもの成長にも悪影響なので、「ニコニコしながら出来ないのであれば、すっぱり諦める」というマインドが良いのではないかと思っています。

 そして親や友達が近くにいるかどうか、お金があるかどうからへんは今すぐ何か出来るような話ではないので、親や友達の支援、お金での解決が望めないのであれば、ある程度「自分は子育てにおいて不利な状況にあるぞ」というのを自覚して、行政のサポートを事前に調べておいて登録を済ませておくなど、打てる手を先回りして打っておくのが良いと思います。

子育て期間はゴールデンタイム

 例えば東京など都市部においては子育て関連のサポート施策がけっこう充実しており、格安で子どもを送迎したり面倒を見たりしてくれる「ファミサポ」という制度があるのですが、これは事前登録制なので必要な時、急に当日使おうと思っても使えなかったりします。

 そのへんを事前に調べておいて、「こうなった時にはこれを頼ろう」というのをシミュレートし、登録が必要なものは事前に登録しておくと良いのではないでしょうか。

 そして最後の体力ですが、ジョギングでもなんでも、運動習慣をつけるようにしましょう。

 この「体力」については子育てのみに関わらず、仕事にも活きてきますし、老後のQOLを思いっきり左右することでもあるので、「最近、まじで体力落ちたわー」とか居酒屋で唐揚げ食いながら愚痴っている暇があるなら、1回30分のジョギングを週に3回とかで良いので、とにかく運動して体力をつけていくのが最高です。

 ちなみに僕も子どもが生まれるにあたって「体力の向上や!運動するぞ!」みたいなテンションでボクシングをはじめたのですが、ギックリ腰が多発するようになったので先日泣く泣く退会しました(水泳に切り替えた)。

 以上、子どもが小さいうちの子育ては確かに大変ですが、それを上回る楽しさ、幸せを与えてくれる、人生におけるゴールデンタイムみたいな時間でもありますので、まずは自分が置かれた状況をしっかり把握しつつ、楽しく笑顔で過ごせるようにあれこれ準備しておきましょう!

第1回【なぜか「育児本」に書かれていない“親に必要なもの”とは? 「ネットで一番数字を持ってるライター」ヨッピーさんが明かす子育てハック】では、人気フリーランスライター・ヨッピーさんが、子育ての中で発見した、「育児本」には書かれていないヒントを紹介する。

デイリー新潮編集部