中国、3年間で6兆元追加調達も 特別国債発行で景気支援へ=報道

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Kevin Yao Liangping Gao

[北京 15日 ロイター] - 中国は追加財政出動を通じて景気を支援するため、特別国債によって3年間で6兆元(8500億ドル)を追加調達する可能性があると、同国の英文メディア「Caixin Global(財新国際)」が14日、複数の関係筋の話として報じた。

資金の一部は地方政府の簿外債務の処理に使われるという。こうした債務は中国の国内総生産(GDP)の約5%に相当するとされる。

ロイターは9月、中国財政省が新たな財政刺激策の一環で今年約2兆元(2850億ドル)相当の特別国債を発行する予定だと報じた。

同省は先週末、財政出動による景気刺激策を打ち出す方針を示したが、具体的な規模には触れなかった。

アナリストや投資家は、月内の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会で追加予算が承認されると予想している。

3年間で6兆元の追加債務は一部の投資家が求めていた「バズーカ」の規模ではないが、成長を安定させる可能性があるとアナリストは指摘する。

ジョーンズ・ラング・ラサールの中国担当チーフエコノミスト、ブルース・パン氏は、「少なくとも2024年と25年に5%程度の成長率に達する可能性はかなり高まるだろう」と述べた。

ANZのシニア中国ストラテジスト、Xing Zhaopeng氏は「ほぼ予想通りだ」とした上で、「われわれは来年も5%前後の成長目標が維持されると考える。5%成長にはこの規模で十分だろう」と述べた。

21年以降の不動産危機は消費者と企業の活動を圧迫し、中国経済が海外市場や、政府主導の借り入れによるインフラおよび製造業への投資に過度に依存している状況を露呈した。

中国は消費国としてより生産国として世界経済に寄与しており、米欧や多くの新興国との貿易摩擦につながっている。

こうした不均衡は短期的な財政出動にかかわらず、中国の長期的な成長を巡る懸念を強めている。

INGの大中華圏担当チーフエコノミスト、リン・ソン氏は「今後数年にわたり一貫して5%(成長)を達成するのは依然として困難な課題だ。外需による支えが弱まればなおさらだ」と述べた。