「目と目の間が4cm」「バッカルコリドーなし」「中顔面6.5センチ」「遠心顔/求心顔」「出目」

【映像】「顔の大きさ」「目と目の間」…並べられた“美の基準”

 10月7日から渋谷駅に設置された広告。暗号のような聞き慣れない言葉に“訂正”が施され、その下にはそれぞれの言葉の注釈が書かれている。

 こちらはボディウォッシュ製品などを展開する「Dove(ダヴ)」が打ち出したキャンペーンの広告で、10月11日の国際ガールズ・デーに合わせて「少しでも多くの女性が『カワイイに正解なんてない』と気がついて自分の容姿に自信を持てるようになって欲しい」というメッセージが込められているという。

 広告に採用されている言葉は「美容用語で美しさを表す様々な基準」。それを訂正することで「画一的な美の基準はない」と訴えている。

 実はダヴは、9月に16歳から19歳の女性400人に容姿に関するアンケートを実施しており、「小顔」などの顔面の可愛さを定義する言葉に触れた時に、その言葉に自分を合わせなければいけないと感じると回答した人は62%にも上る。

 さらに、82.3%もの人が「なにかしらのきっかけで自分の容姿や体型が気になりだしたり自信が無くなった経験がある」と回答。また、半数以上が「SNSを見ている時に自信を無くすことがあった」と回答したと発表している。

 顔のパーツの大きさや比率。こうした情報がSNSやネットに氾濫し、いつしか美を判断する基準として刷り込まれてしまう現状に警鐘を鳴らすこちらのキャンペーン。
 
 しかしSNSでは「今まで知らずに生きてきたのに、比較して逆効果」と、広告によって逆にルッキズムを刺激しているのではないかと批判する声や、「美の基準なんて誰にも決められない。同意でしかない」といった賛否様々な意見が飛び交っている。
 
 Xのトレンドにも「ルッキズム」「ダヴの広告」「バッカルコリドー(頬の隙間)」と3つも関連ワードが入るなど、大きな注目を集めている。

 ダヴPR事務局は『ABEMAヒルズ』の取材に対し、「(キャンペーンの)背景についてはプレスリリース内に記載しております」とした上でSNSなどに寄せられている反響の声については、今のところコメントしていない。

 なお、炎上広告を学びに変えるAD-LAMP代表 中村ホールデン梨華さんは「Doveのキャンペーンは良い意図から生まれたもののその表現方法に課題があった」とした上で「(若年層に向けた企業広告については)価値観形成に大きな影響を与える可能性があり、弱者と企業のような強者の価値観がぶつかって起こる炎上のリスクに対応するには広告企業は見えない教育者としての意識と弱者を守る観点が必要」としている。

(『ABEMAヒルズ』より)