トッテナム戦で2点を演出した三笘。(C)TOSHI TAKEYA(SOCCER DIGEST)

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 10月6日、私はアメリカン・エクスプレス・スタジアムでプレミアリーグ第7節のブライトン対トッテナムを取材した。

 ブライトンは直近のリーグ戦4試合で勝利がない。その主な原因として考えられるのは、攻撃の中心である三笘薫がまだベストな状態でプレーできていないこと。そしてチームメイトたちが彼の長所を活かしきれていないことだと思う。

 前節のチェルシー戦(2−4)では、三笘は4ゴールを奪った相手のFWコール・パーマーの影に隠れていた。チェルシーの守備陣に対してかなり消極的で、得意のドリブルで仕掛ける場面は限られ、横にパスを出すプレーがほとんどだった。

 今回のトッテナム戦でも、開始から20分が過ぎてもほとんどボールに触れていなかった。前回と同じようなパフォーマンスになるのではないかと思っていた矢先、ブライトンは23分にブレナン・ジョンソンのゴールで先制を許す。さらに37分には、ジェームズ・マディソンに追加点を奪われ、2点のビハインドで前半を終える。
【動画】三笘が絶妙ラストパスでアシスト!ブライトンの同点弾
 しかし後半、三笘が息を吹き返し、輝きを放つ。48分、左サイドでスプリントして相手の背後を取って鋭いクロスを上げると相手がクリアしきれず、こぼれ球をヤンクバ・ミンテがボレーで叩き込んで1点差に詰め寄る。さらに58分にはボックス手前のやや左寄りでボールを受けて、ラストパスでジョルジニオ・ラターの同点弾をお惨立てした。ボールを持てば相手の脅威となる姿は、以前の彼を見ているようだった。

 そして65分には、ダニー・ウェルベックがヘディングシュートで決勝弾。ブライトンは3−2で大逆転勝利を飾った。

 躍動した日本人アタッカーは、このゲームのマン・オブ・ザ・マッチだ。私がこれまで彼のプレーを見てきたなかでベストだった。ブライトンが良い形を作ったシーンは、ほとんどが彼のおかげだった。トッテナムは三笘に対応できず、それが試合の分かれ目となった。

 この調子が代表ウィーク明けも続くことを願っている。

文●スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)

著者プロフィール
スティーブ・マッケンジー/1968年6月7日、ロンドン生まれ。ウェストハムとサウサンプトンのユースでプレー経験がある。とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からのサポーター。スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝した。現在はエディターとして幅広く活動。05年には『サッカーダイジェスト』の英語版を英国で出版した。