夢の「房総半島ぐるり高速道路」いつ完成? 実は「一部開通済み」壮大な計画の裏には「さらなるバイパス計画」も!?

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夢の「房総半島一周高速道路」どうなる

 ぐるっと1周すると200km以上にのぼる、千葉県の房総半島。
 
 海岸線沿いに館山・鴨川・勝浦など市街が点在していますが、それらをつなぐ高速道路は一部しか存在していません。
 
 しかし、将来的に整備する計画はあるようです。いったいどんな道路になるのでしょうか。

富津館山道路(画像:写真AC)。

 房総半島の高速道路は、千葉市から東京湾沿いに南下する「館山自動車道」「富津館山道路」が整備済み。いずれも有料道路です。館山道は4車線で、富津館山道も一部4車線化し、多工区で拡幅事業が進められています。

【画像】超便利!? これが「房総半島一周道路」ルートと整備状況です(26枚)

 ひとまず、千葉市から館山市の手前までの80kmは、信号ゼロで移動することができるわけです。

 そこから先、半島南端をぐるっと回って「外房」方面はどうなっているのでしょうか。

 まず富津館山道の延長線上で、国道127号が「館山バイパス」として、中心市街まで4車線化されています(トンネルなど一部のぞく)。

 外房では、鴨川市、勝浦市、茂原市でそれぞれ、中心街を回避するバイパスが昔から整備されてきました。直近では鴨川市の市街裏をトンネルで一気に抜ける「実入バイパス」が2019年に開通したばかりです。

 しかしこれらはただの2車線道路で、信号無しで自動車専用の高規格道路ではありません。実はまた別に、高規格道路「館山・鴨川道路」「鴨川・大原道路」「茂原・一宮・大原道路」という調査路線が存在しています。

 圏央道の茂原長南ICから太平洋側へ「茂原一宮道路」が伸びています。まだ総延長4.7kmで、2024年3月に長南町から茂原市内まで延伸したばかり。この先7.0kmが事業中で、上総一ノ宮駅付近まで到達する計画です。

 この茂原一宮道路へ、「茂原・一宮・大原道路」が繋がってくることとなります。実現すれば、千葉〜木更津〜館山〜鴨川・勝浦・茂原〜東金〜千葉という周回ルートが誕生します。

 なお、上総一ノ宮からさらに太平洋岸を北上する高規格道路として「九十九里有料道路」(延長17.2km)があります。いっぽう銚子方面へは、内陸部を走る圏央道の延長線上として、松尾横芝ICから「銚子連絡道路」が整備中。圏央道から11kmが開通済みで、2024年3月に匝瑳市内まで延伸したばかりです。銚子側でも約12kmがバイパス・4車線化済みです。

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 さて、壮大な計画である「館山・鴨川道路」「鴨川・大原道路」「茂原・一宮・大原道路」ですが、これらの房総半島ぐるり高速が完成したところで、いちいちぐるっと回るのは大変です。

 たとえば東京方面から鴨川市へ行くにも、律儀に館山を経由して海岸線をひた走るより、アクアラインの延長線上で圏央道を走り、木更津東ICから久留里経由でまっすぐ縦断するほうが短距離です。

 そうした事情をふまえ、国道410号の高規格化が優先して進められています。2024年3月には「久留里馬来田バイパス」15.7kmが全通。狭い生活道路から開放され、バスやトラックもスムーズに通行可能となりました。

 さらに、圏央道の市原鶴舞インターから勝浦へ直結する国道297号でも、総延長6.6kmの「松野バイパス」をはじめ、複数のバイパス事業が進行中です。

 房総半島の道路行政は「ぐるっと周る高速」に対し、「圏央道を拠点として海側の各都市へつなぐ放射軸」をひとまず整備していく方向に舵を取っていると言えるでしょう。

 とはいえ、千葉県としてはやはり「ぐるり道路」への期待は高く、ことし6月の国あて要望でも「茂原・一宮・大原道路などの外房地域の骨格を形成する高規格道路については、令和6年能登半島地震の教訓を踏まえ早期に計画を具体化し、計画的に事業を推進する必要がある」と述べています。