桑田真澄2軍監督

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 巨人・桑田真澄2軍監督(56)がファームの現状を伝えるコラム「桑田の眼」。第6回は、就任1年目でイースタン・リーグ2位となった今季の戦いを総括。「供給、調整、育成」を掲げたシーズンから得た収穫と課題を振り返った。また、クライマックスシリーズ(CS)に臨む1軍を支え、チーム一丸で日本一奪還へ向かっていく決意を示した。

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 1軍は4年ぶりにリーグ優勝することができ、2軍も供給と調整の面から就任1年目の阿部監督を下支えできたと考えています。供給については延べ80名が1軍に昇格しました。特に浅野の終盤の活躍は、チームに勢いをつけました。彼はパワーが魅力の反面、2軍では選球眼を磨いて打者有利のカウントをつくることや、右方向に打つ感覚をつかむのに苦労していました。少しずつチームプレーもできるようになった時期に再昇格し、2軍首脳陣はほっと胸をなで下ろしています。

 調整の面では、1軍から降格した選手たちと面談をしました。心技体のどこに原因があるのかを議論した上で、復帰までの期間とトレーニング内容を定めた計画を立てました。「リフレッシュ」という抽象的な解決法はやめて、コンディションを向上させることに専念しました。再昇格した選手の活躍は、2軍首脳陣やスタッフ全員の喜びでした。

 2軍はリーグ2位という結果になり、特に最終カードまで優勝争いができたことは育成の観点からも意義がありました。春季キャンプから、2軍コーチ陣には「新しいことに挑戦し、現代の指導、野球をやろう」と伝えました。研究室(スポーツ医科学)の活用や勉強会の開催など戸惑いもあったと思いますが、前向きに変化を受け入れて選手たちと向き合ってくれました。コーチ陣やスタッフに感謝の気持ちでいっぱいです。

 選手たちも最初は戸惑いがあったと思いますが、主体的な行動が増えてきました。ただ、1軍と2軍の選手を比較すると、1軍の選手が優れている点の一つは「高い目標を達成するために、小さな目標を設定してクリアする習慣」です。例えば足し算、引き算が分からなければ、かけ算や割り算、関数や方程式は扱えません。野球も同様で、ボールを見極め、芯で捉えて、狙ったところに転がす能力が身についてくると長打も打てるようになります。

 若い選手は打撃フォームや打球速度、角度などにこだわりますが、1軍の緊迫した場面で問われるのは局面に応じたプレーです。坂本が一流打者として結果を残せるのも、どの角度でボールを捉えると、どこに転がるのかを理解しているから。体勢を崩されても逆方向へ進塁打を打つ技術と対応力にも興味を持ち、チームに貢献できる打者に成長してほしいです。プロの世界は時間との闘いですから、「仮説と検証」を通じて、早く成功の方程式を見つけてほしいと願っています。

 これからCSが始まります。私たち2軍も、日本一という目標に向かって力を合わせていきたいです。(巨人2軍監督)