ルフィ・宇野昌磨とビビ・本田真凜がリフト技に挑戦『ワンピース・オン・アイス』の見どころは?
宇野昌磨インタビュー『ワンピース・オン・アイス』2024 後編(全2回)
9月7日、8日にララアリーナ東京ベイ(千葉県船橋市)で再演される『ワンピース・オン・アイス〜エピソード・オブ・アラバスタ〜』。主人公ルフィを演じる宇野昌磨は、新たに追加されたシーンに加え、前年とは違った役作りにも取り組みをしているという。今年の『ワンピース・オン・アイス』の見どころとは?
『ワンピース・オン・アイス』でルフィ役を務める宇野昌磨
ーー公開リハーサルでは、戦闘シーンも迫力が増していると感じました。新たに工夫していることはありますか?
宇野昌磨(以下同) 去年は、「ルフィになりきる」ということがテーマでした。アラバスタ編はアニメでも初期のほうなので、動きがぎこちなかったり派手な技もあまりなかったりする。ですから、手の位置とかそういう部分でルフィらしさを再現しようと。ぎこちない動きもそれがルフィらしさだと思ったんです。
今年はアニメの映像を再現するだけではなく、ルフィの人柄とか実際にルフィがクロコダイルと対峙した時にどういう気持ちになって、どんな気持ちで言葉を発しているかというのを考えたりしています。
去年は直接、クロコダイルに気持ちをぶつける演技を見やすいように大きくやっていましたが、リンクのなかだけで演技が終わってしまっていたのかなと思うので、もうちょっと演技を外に向ける機会を増やしてもいいのかなとか、戦闘シーンもルフィらしさを出しつつカッコよさも出してもいいのかなとか。
かわいいところやコミカルな部分はもっとかわいく、カッコよく、面白く。ルフィらしさからちょっと離れるかもしれませんが、ルフィの心情をくみ取ったうえでそういう演技になるのであればいいかなって僕は思っています。
ーー宇野さんが思うルフィの姿が見られるということですね。
そうですね。去年はとにかく再現したいという感じでした。ゼロからのスタートだったので、ルフィを再現できるようにというのがあったんですけど、僕なりに再現しようと思ったルフィはこれ以上ないくらい自分のなかではできたかなと。本当のルフィを見たいとか、やっぱり『ワンピース』だからルフィを見に来られる方もいると思うんです。
でも、せっかく僕がこの役を与えられているので僕らしさって言ったらおかしいですけど、僕なりにルフィをどう演じるのかという意思を入れてもいいのかなって。あと(新しく追加された)フィナーレは、本編の物語とはまた違うので、ちょっとルフィらしさを残しつつ、一応スケートもけっこうできるんだよってところも出していこうと思っています(笑)。
ーー今、宇野さんが思うルフィ像というのはどう変化してきましたか?
去年、役に入り込んでたくさん演技してきたからこそ、ルフィの怒りだったり、意外とスンッとしていたりするところもあれば急にコミカルだったり、ハッピーな気持ちが前面に出ていたり、いろんな気持ちがあって。
特にアラバスタ編は、感情の起伏がいろんな方向に向いているのかなと思うので、怒る時はどういうふうに怒るのかとか、誰のためにどの部分に対して怒るのかというのを今はまた役に入り込んでやっています。
【本田真凜演じるビビとリフトに挑戦】ーー新しいフィナーレでは、ルフィが本田真凜さん演じるビビを持ち上げて回るシーンがあります。
リフトもやれるかどうか(笑)。
ーー囲み取材で「アイスダンサーやペアスケーターは思っていた以上に高難度なことをやっていた」とお話しされていましたね。
いやあ、本当にみんな簡単そうにやるので。やってみて本当に難しいなって思いました。ただ、現役を引退して、これからの本業がアイスショーになるからこそ、いろんなことができるに越したことはないかなと思っていて。新しいことに挑戦するというのは僕のやり方にも合っていると思うので、まだまだ下手な部分ばかりですけど頑張ります(笑)。
ーー挑戦する前は、上げるリフトではなく抱えるリフトならすぐできるんじゃないかと思ったりしましたか?
逆に僕は身長が低いし腕の力もそんなにないので、僕には無理だろうなって思っていたんです。でも、(リフトは)意外と力だけでなくちゃんとしたやり方があって。身体のどの部分を持つとラクとか、遠心力で意外と重さを感じなかったり。
ーー振り付けの宮本賢二先生がそういうところは教えてくださるんですね。
そうなんです。賢二先生はアイスダンサーだったので。あとは(『プリンスアイスワールド』などのアイスショーでリフトを経験している)吉野晃平くんとか、(島田)高志郎くんにも教えてもらっていました。
【イチオシのシーンとは?】ーーでは最後に、今年も『ワンピース・オン・アイス』を見に行く方、見に行こうかなと考え中の方にイチオシの見どころなどを教えてください。
逆に聞いちゃうんですけど、(メディア公開された)新しいフィナーレでどこが一番好きでした?
ーー本当にどれも好きで選べないんですけど、ルフィさんごめんなさい、バロックワークスのところです(笑)。ダンスがすごくカッコよくて。
あー(笑)。今回の見どころはフィナーレのナンバーが増えたのでそこも見どころですし、僕もバロックワークスのパートは振り付けを覚えているので、一緒に入って踊りたいくらいめっちゃ好きです。(メディア公開日には)コーザ(友野一希)はいなかったんですけど、コーザとビビたちのパートも衣装を着て千秋楽とかだったらけっこうね。
ーーあのパートはキュンとしますし、泣けますね。
僕は本番を見られるかわからないですけど、裏側から見ていたら涙するんじゃないかなって思います。そのフィナーレナンバーの仲間入りをしたくてねじ込んでもらった麦わらの一味のパートもありますし(笑)、去年と違うところもすごく楽しんでもらえるんじゃないかなと思っています。
関係が深いからこそ言えるんですけど、(演出の)金谷かほりさんってなんでも褒めてくれるんですよ。去年はスケーターがどこまでできるかわからないという気持ちがあったと思うので、いろいろ遠慮されていたと思うんですけど、今日の稽古ではすごく細かいところまでいろいろアドバイスをいただいて。これは間違いなく去年よりよくなるなと思いました。新しいフィナーレはもちろん、金谷さんのアドバイスでストーリー全体が見どころだって強く言えるようになりました。
ーーとても楽しみにしています。
頑張ります!
終わり
前編<宇野昌磨「思わせぶりな感じは違うかなと」現役引退前の葛藤を明かす>を読む
【プロフィール】
宇野昌磨 うの・しょうま
プロフィギュアスケーター。1997年12月17日、愛知県生まれ。現役時代には、全日本選手権優勝6度、世界選手権連覇、2018年平昌五輪銀メダル、2022年北京五輪銅メダルなど華々しい成績を残す。2024年に現役引退し、現在はアイスショー出演などプロスケーターとして活躍している。