少し色っぽい義母役を演じた横山めぐみ

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青春時代に夢中になったドラマの裏には私たちの知らない“ドラマ”がいっぱい。出演者ご本人を直撃し、今だから話せるエピソードをこっそりお届け!

鈴木保奈美さん主演の『この世の果て』(フジテレビ系)が、私にとって初の野島伸司さんの作品。悪女役だったのですが、それがきっかけで『人間・失格』にお声がけいただけたのだと思います。野島さんからは『まったく違うキャラクターを演じてほしい』と言われ、天真爛漫でノーテンキな女性役に。実年齢に近く、素に近い状態で演じられました(笑)」

こう振り返るのは、横山めぐみさんだ。赤井英和演じる主人公の後妻で、25歳でありながら、堂本剛の継母役を好演。

「思春期の剛くんの前で、タンクトップやショートパンツのような母親らしからぬ格好をするんです。不快感や警戒感をあらわにする剛くんの細かい演技が印象に残っています。すごく真面目に芝居に取り組んでいて、シーンごとに演技の打ち合わせをするのですが、セリフも完璧で“勉強しているな”と感じていました」

KinKi Kidsを結成したばかりだったが、堂本光一とともに注目の新人だった。

「携帯電話が一般的ではなく、SNSもない時代なのに、ロケ現場やスタジオには、2人をひと目見ようと女のコがたくさん集まるので驚きました」

ところが番組開始当初は視聴率では大苦戦。初回は約15%、2回目は9.8%と1桁に落ち込んだ。

「視聴率2桁が当たり前の時代でしたから、撮影現場は暗くスタッフにも焦りが見えました」

いじめや体罰、自殺などが過激に描写されたことが、その要因。

「番組が放送されると、局へのクレームの電話が鳴りやまなかったそうです。プロデューサーから聞いたのですが、出演されていた荻野目慶子さんが、直接、クレーム電話の対応をしていたそうです。真摯に視聴者の声を聞きたかったのでしょうね」

そんな意気込みに押されるように、現場のスタッフは情熱を持ってドラマ作りに没頭。視聴率は回を追うごとに上がり、最終回は28.9%を記録した。

「最終回のラストシーンでは、復讐を果たし、罪を償って出所してきた赤井さん演じる夫と、私が再会。ちょうど、サイモン&ガーファンクルの『明日に架ける橋』が流れて、涙なしでは見られない大団円を迎えるんです。撮影当日は、すごく晴れた日で、今のようにドローンがないから、3人の引き画を撮るために大きなクレーンが用意されていて。大掛かりな撮影からスタッフの情熱を感じ、低視聴率の危機を乗り越えた安堵もあって、感慨深い思いで臨みました」

『人間・失格〜たとえばぼくが死んだら』(TBS系・1994年)

物語の前半は、神戸から引っ越してきた中学3年生の大場誠(堂本剛)が陰湿で凄惨ないじめや体罰を受けて自殺するまでが描かれた。後半では、誠の父・衛(赤井英和)が、息子を追い詰めた人物を次々粛清していくことに。何の救いもなく、ただただ見るのがつらいドラマだった。

【PROFILE】

よこやま・めぐみ

1969年、東京都生まれ。ドラマ『北の国から ‘87年初恋』のヒロインに抜擢されてデビュー。その後、ドラマ、CM、バラエティ番組など幅広く活躍する。