Xへの投稿者は「宮根氏は韓国に何しにきたのか。注意しないスタッフも問題だ」と、義憤を隠さなかった。この件をスポーツ紙やネットニースなどが報道。韓国有力紙『朝鮮日報』のオンライン版も伝えた。

 矢面に立たされた宮根氏は翌21日の『ミヤネ屋』冒頭で謝罪に追い込まれる。

「これから取材姿勢をあらため、初心に戻って頑張りますので、あらためてよろしくお願い致します。どうも申し訳ありませんでした」(宮根氏)

 しかし、これで一件落着とはならなかった。お笑いタレントの有吉弘行(50)が自身のFMラジオのレギュラー番組『有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER』(JFN)の同24日放送で「見たこの動画? めっちゃダサかった。本当に悪い顔して」と、からかった。

 有吉は容赦せず、謝罪についても「手を付いたまま『どうもすいませんでした』って。うるせえなぁって感じで」とバッサリ。これもネットニュースになり、宮根氏への批判はさらに高まった。

◆“累積赤字”が溜まった結果…

 宮根氏は2012年1月、当時の妻以外の女性との間に女児がいることが発覚し、同6日の放送で「心を新たに、みなさまの期待、信頼にこたえられるよう、一から頑張っていきたい」と謝罪している。2度目の初心宣言だから、余計に痛かった。宮根氏は最初の妻と1993年に入籍したが、2004年に離婚。06年に再婚したものの、22年までにやはり離婚している。

 宮根氏は喫煙問題後も自ら再び批判のタネを撒いてしまう。今年5月7日の放送で、栃木県那須町で飲食店経営者夫婦の遺体が発見された事件を取り上げた際、殺害された被害者を「容疑者」と呼んでしまった。

 同9日放送でも同じことを繰り返す。今度は東京・西新宿のタワーマンション施設内で起きたガールズバー経営者殺害事件を伝えたとき、殺された女性を「容疑者」と称してしまった。立て続けだったこともあり、Xなどで非難された。

 これまでの宮根氏は婚外子問題を乗り切り、「態度が大きい」などの声もかわしてきた。“治外法権”のような存在だった。しかし、“累積赤字”が溜まってしまったうえ、コンプライアンス意識が高まる一方だから、厳しい状況に立たされている。各メディアが「嫌いなキャスター」といった類のアンケート調査を行うたび、上位に名前が載ってしまう。

◆スキャンダルとは無縁の石井キャスター

 ライバルの石井氏にスキャンダルが見当たらず、「嫌いなキャスター」とも縁がないため、余計に宮根氏のアウトな言動が目立ってしまっている。

 ちなみに、この2人の軌跡はよく似ている。宮根氏は1963年に島根県で生まれ、「関関同立」の関西大を卒業後、87年にテレビ朝日系列の基幹局(有力ネット局)である大阪の朝日放送に入社。人気が高まり、2004年にフリーになった。

 一方、石井氏は1977年に大阪で出生し、同志社大を出たあとの2000年、TBS系列の基幹局である名古屋のCBCテレビに入社。やはり人気者となり、2020年にフリーになっている。

 宮根氏は関西人ではない。このためアンチからは「エセ関西弁」との批判が以前から上がっている。片や石井氏は関西人。この辺にも関西の視聴率変動の理由があるのかも知れない。

 軌跡は似ているがキャラクターは対照的な宮根氏と石井氏。2人によってブランドイメージがつくられている『ミヤネ屋』と『ゴゴスマ』はどうなるのか。今年の後半戦が両番組の行方を決めそうだ。

<文/高堀冬彦>

【高堀冬彦】
放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員