1歳で芸能界入りして以来、ドラマや映画の現場の最前線で活躍し続ける鈴木福さん。今年6月には20歳を迎え、フォトエッセイ『笑う門には福来る 20年間の笑顔と感謝』を上梓しました。そんな鈴木さんが活躍する背景にはいつも両親の協力があり、今もなくてはならない存在だといいます。(全2回中の1回)

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1歳から芸能界で頑張ってこられたのは、家族のおかげ

幼少期の鈴木福さん(『笑う門には福来る 20年間の笑顔と感謝』より)

── 鈴木さんから見たご両親はどんな存在ですか?

鈴木さん:父は、「ダメなことはダメ」ときちんと叱ってくれる人です。僕は長男だということもあり、妹や弟よりも、厳しく育てられたと思います。父は「怒らせたらダメだ」という印象が、小さな頃からありました。とはいえ、厳しいだけでなくとても優しくて、仕事から帰ると、いつも遊んでくれました。仮面ライダーのカードゲームもやったなあ。小さな頃から今まで、僕が道に迷ったときにいつも導いてくれる存在です。

母は、いつもそばにいて、細やかにめんどうをみてくれました。小学生の頃は芸能活動をしていることで勉強に遅れをとらないようにと、一緒に勉強してくれたり。仕事が忙しいときはあまり学校に行けないこともあったけど、そういったことに対してコンプレックスを抱かずにいられたのは、母のおかげです。

── 鈴木さんには、2歳下の妹・夢さん、9歳下の弟・楽さん、11歳下の妹・誉さんと3人のごきょうだいがいらっしゃいますよね。とくに年齢の近い夢さんとは、いろいろとお話しされるそうですね。

鈴木さん:はい。両親と同じくらいの感謝の気持ちが、夢に対してもあります。夢が小さい頃、母親は芸能活動で忙しい僕につきっきりで。夢はおばあちゃんや友達の家族といることが多かったから、さみしい思いをさせていたと思います。今でもたまに当時の話になることがあるのですが、夢はいつも泣いてしまうんです。そういうときは必ず感謝の気持ちを伝えるようにしています。

いつもにぎやかな鈴木家の4きょうだい(『笑う門には福来る 20年間の笑顔と感謝』より)

── 鈴木さんの一番の相談相手は? 

鈴木さん:父ですね。父の意見が一番信用できるというのが、僕の持論なので。相談するのはやっぱり、仕事のことが多いです。やりたい仕事のことよりは、仕事のことで迷ったときに相談します。例えば、新しい作品や番組のオファーが来てやるべきか迷ったときに、「自分は今こう感じているんだけど、父さんはどう思う?」と聞いてみたり。悩みを隠すことはなく、何でも相談しています。

自分がどうなりたい、とか、自分はこう思う、ということに対しても、結局は父からの意見の通りにすることも、少なくないんじゃないかな。ただ、最終的には自分で決めなさいと導いてくれるので、意見をもらいつつも出した答えに納得して、自分で決めるんですけれど。話を流されたと感じたことは、これまでに一度もないです。

── 年齢の近い夢さんに相談することも? 

鈴木さん:僕が夢に相談するというよりは、夢から仕事のことなどを相談されることが多いですね。それに対して僕はこう思うとか、こうしたほうがいいんじゃないかな、とアドバイスすることもあります。

── 夢さんも幼少期から芸能活動をしていますものね。

鈴木さん:彼女は僕よりデビューが早くて、生後2か月でテレビに出ているんですよ。僕が2歳のときに夢が生まれて、僕が出ていたドラマの赤ちゃん役で出演したので。

── おふたりは、よきライバル? 

鈴木さん:いや、僕はライバルとは思ってないです。「君がライバルだと思っているとしたら、それはお門違いだよ」って言いたい(笑)。僕を抜かすぐらい、夢が頑張ってくれたらいいけど、今はまだまだかな。とはいえ、僕がやってきたことと彼女がやっていることは全然違うし、簡単に比べることはできないです。

父のような「わが子に憧れられるお父さん」になりたい

── お話を聞いていると、鈴木家は風通しがよくて、とても仲がいいことが伝わってきます。

鈴木さん:そうですね、仲はいいです。いつも近くにいるからぶつかることも、もちろんあります。それこそ、夢にするアドバイスも、僕が家族だからこそ言える本音だったりするので、夢にとっては耳が痛かったりすることもあるかもしれません。

幼少期の福さんと妹の夢さん(『笑う門には福来る 20年間の笑顔と感謝』より)

── ケンカをしてしばらく冷戦状態…なんてことはなく? 

鈴木さん:ないです。どうにか元に戻ります、数分のうちに(笑)。一日中家族の話を聞かないとか、会話をしないということ自体がない家なんですよね。

── ご両親がきっとそういう雰囲気をつくっていらっしゃるんでしょうね。

鈴木さん:そういうことをしていたらもう、父のカミナリがドカーンって落ちるんで(笑)。ケンカしてずっと空気が悪いままというのは、許されないんですよね。

── 鈴木さんはご長男ということで、より厳しく育てられたとか。

鈴木さん:はい。僕は一人目の子どもだからすごく愛情は注いでもらったと思っていますが、そのかわり、怒られることも多かったです。「ダメなことはダメ」と教えられた僕が、今度は弟や妹を注意して教えてあげなさい、と父から言われたこともありました。僕と夢が、弟や妹たちを叱って、それでもダメなときは父が怒るという。

仕事現場にゲームを持っていったときに「仕事と遊びにメリハリをつけなさい」と叱られたこともありましたね。ちゃんと厳しく叱ってくれたことには、今でも感謝しています。

── 鈴木さんご自身は、反抗期はなかったのですか。

鈴木さん:いろいろしてもらっていることがわかっていたので、反抗心はあまり生まれませんでした。父や母が僕のためにいろんな工夫や努力を惜しまずにいてくれたおかげで、今の自分があるので。本当に自分と同じくらい僕を理解してくれているふたりだと思っているし、心強いです。

── 俳優として活躍されるいっぽうで、結婚などこれからのライフステージの変化についても、何となく思い描いたりはしているのでしょうか。

鈴木さん:結婚はしたいと思うし、小さい子がすごく好きなので、子どももほしいです。そういうのは、すごい憧れます。理想は、3人以上はほしいかな。でもそれも、自分の家が楽しいからだと思います。「父さんは仮面ライダーだったんだぞ」って子どもに自慢したいですね。

── 自分のお父さんみたいな人になりたい、とかはありますか? 

鈴木さん:父みたいに、かぁ…(笑)。まあでも、ああはなれないなと思うので、また別の形で、ですけど。子どもに憧れられるような父親になりたいというのはあります。今、自分が恥ずかしげもなく父のことを「すごいと思う」とこうして言えているので、自分もそう言ってもらえる存在になりたいです。

PROFILE 鈴木 福さん

俳優。2004年東京都生まれ。1歳より芸能活動を開始。2011年に7歳でドラマ『マルモのおきて』に出演し、注目を集める。同ドラマ主題歌として、「薫と友樹、たまにムック。」名義でシングル「マル・マル・モリ・モリ!」が大ヒットし、『第62回NHK紅白歌合戦』に史上最年少で出場。現在は大学で学びながら『ZIP!』の新木曜パーソナリティーに最年少で抜擢されるなど、さらに活躍の場を広げている。

取材・文/松崎愛香 写真提供/テアトルエンターテインメント、大逈 円(昭和基地\50)