新作フラペチーノ(R)はバナナ!濃厚な甘さに秘められた秘密とは?


【写真】もったいないバナナ。皮をむくときれいな果肉が現れる

全国のスターバックスで、2024年5月29日に「バナナ ブリュレ フラペチーノ(R)」がスタートした。このフラペチーノ(R)には、果物大手のDole(ドール)がフルーツロスゼロを目指して流通させている「もったいないバナナ」を使用しているという。

そこでドールのシニアマネージャー ドール拡大推進室の成瀬さんと、スターバックスのコーヒースペシャリスト・若林さんが、その意義について語り合った。

■「もったいないバナナ」を活用したバナナ商品3品が登場

5月29日には「バナナ ブリュレ フラペチーノ(R)」(店内利用690円・テイクアウト678円)のほか、「バナナの米粉マフィン」(店内利用290円・テイクアウト285円)、「バナナの米粉ロールケーキ」(店内利用445円・テイクアウト437 円)の3つのバナナの新商品が登場した。いずれも「もったいないバナナ」を活用したメニューだ。

もったいないバナナとは、ドールが廃棄バナナを削減する活動として2021年から行っているプロジェクトだ。流通過程で様々な要因により規格外となったバナナを、廃棄するのではなく、活用しておいしく食べようというもの。

スターバックスでは、コーヒー豆のエシカルな調達をはじめ、自然のめぐみを大切にする取り組みを続けている。コーヒー豆やバナナなど自然のめぐみがたゆみなく生まれる未来をパートナー(従業員)やお客と共に目指したいと考え、このフラペチーノ(R)が生まれたという。

バナナ ブリュレ フラペチーノ(R)のバナナ果肉ソースは、もったいないバナナから作られたもの。マフィンやフラペチーノ(R)にはバナナピューレやバナナスライス使用されている。

【写真】もったいないバナナ。皮をむくときれいな果肉が現れる


「フィリピンのドール自社農園では、生産量の4パーセントに当たる年間2万トンもの規格外バナナが発生します。でも規格外とはいえ、傷がついているのは皮だけで、果肉に痛みはなく、味に影響はありません」と成瀬さん。もったいないバナナを試食すると、果肉は白くて痛みがなく、いたって“おいしい”バナナだ。

「そうなんです、果肉は規格内品と同等品質のバナナです。地球や環境にとって大切な資源を廃棄してしまうのは“もったいない”ということを、“もったいないバナナ”という日本人になじみのあるネーミングで表現しました」(成瀬さん)

「バナナ ブリュレ フラペチーノ(R)」は、完熟のもったいないバナナのピューレに、アーモンドミルクがベースのフラペチーノ(R)を合わせ、暑い夏にごくごく飲めるスッキリした飲み心地に仕上げている。これを含む3商品で、もったいないバナナの300万本の使用を見込んでいるという(※)。

「若い世代を含め、商品を通して多くの消費者に知っていただくきっかけにもなります。スターバックスさんにこれだけの規模でやっていただけるのは、とても意義深いことです」と、成瀬さんも期待を寄せる。

※生バナナ(皮付き)1本あたりの重量を150グラムと規定し、3商品の販売予定数に占める「もったいないバナナ」使用原材料の含有量から算出



■継続のために大切なのは、おいしい、楽しい

スターバックスの若林さんと、ドールの成瀬さん


ここからは、若林さんと成瀬さんに、両社のサステナブルな取り組みや、今回の新商品の意義などについて語り合ってもらった。若林さんは、約6万人のスターバックスのパートナー(従業員)の中でたった5人しかいない、コーヒーに関して深い知識を持つコーヒースペシャリスト。仕事でもプライベートでも足しげく生産地に足を運んでいるという。成瀬さんは「もったいないバナナ」の発起人で、バナナをはじめ、環境や生産地に配慮したフルーツの調達に力を注いでいる。

---コーヒーベルトは赤道をはさんで北緯25度・南緯25度。バナナベルトは北緯30度・南緯30度で、生産エリアが共通していますね。共通する課題もあるのではないでしょうか。

若林:スターバクスはコーヒーベルトの生産地のうち、約30カ国・45万人の生産者と取引があり、そのうちの98パーセント以上が小規模農家です。コーヒー栽培の知識や技術へのアクセスが課題になっています。そこで、生産地に10カ所のファーマーサポートセンターを設けて、現地出身のアグロノミスト(農学者)が、技術支援をしています。国や地域によって環境や文化が異なるため、現地のカルチャーを理解している人がサポートすることが大切だと考えています。

成瀬:ドールはフィリピンに自社農園があり、農園周辺に住む現地の方々と一体となって事業を行っています。入り込んだ支援というのは非常に重要で、我々も技術支援をしています。小規模農家さんが多いと、クオリティーはどう保っているのでしょう。

若林:例えば農学者が一緒にテイスティングを行ったり、ワークショップをしたりしています。私たちが求める品質はこの味で、加工工程でコーヒーチェリーを発酵させすぎてしまうとこういう味になりますというように、五感で体感してもらうんです。生産者の中には、コーヒーを飲んだことがない人もいらっしゃいますので、そういった形でのサポートが重要になります。

成瀬:ドールでは、最近は父も祖父もドールで働いていたというサードジェネレーションの方も増えてきています。そういう方が大学で農業を勉強して、研究者としてドールに戻ってきてくださる。現地の方は課題もよくわかっていて、家族から引き継いできた知恵や経験も豊富にお持ちなので、ドールにとって宝物です。

--生産地において、やはり人材の育成がとても重要になってくるんですね。今回のもったいないバナナのようなロスについてはいかがでしょう。

成瀬:バナナは房で売られますが、1本でも傷があると房全体が規格外になってしまうんです。

若林:それはもったいないですね。

成瀬:そうなんです。だから「もったいない」という日本に身近な言葉で表現することで、消費者の方にもフルーツロスをより課題として意識していただきたいと思っています。コーヒー豆には廃棄はないですか?

開発途上国の支援に興味を持ち、学生時代はラオス語を学んでいたという成瀬さん


若林:コーヒー豆は、生産国でのロスが発生しにくいんです。私達のコーヒーバイヤーもよく、「Every beans has value」ということを言っていて、生豆は日持ちもしますし、必ずどこかの市場に出ていきます。一方で、コーヒーの果肉はそのままでは商品化されるケースは少ないです。コーヒーは80パーセントが豆以外の部分になるので、果肉をいかに有効活用できるかがポイントです。

成瀬:バナナもそうです、葉や茎。埋め立てて廃棄するとメタンガスを排出してしまいますしね。

若林:コーヒーの生産地では、廃棄されるコーヒーチェリーに石灰を混ぜて、たい肥にするという取り組みをしています。スターバックスはエシカルな調達をするために「C.A.F.E.プラクティス」という購買ガイドラインを作っています。その中には、コーヒーチェリーの処理をどうするかということも含まれているんです。バナナの皮はどうされていますか?

成瀬:日本で、コンポストでたい肥に変えることを推奨しています。ご自宅にコンポストを設置していただき、バナナの皮などの生ごみを使ってたい肥を作っていただき、それを家庭菜園などで活用していただき、ご家庭からのフルーツロスゼロを目指す取り組みです。

---スターバックスでも「コーヒー豆かすリサイクルループ」という取り組みで、豆かすのリサイクルに取り組んでいらっしゃいますよね。

若林:はい、店舗から出るコーヒー豆かすを回収し、それをたい肥や牛の飼料に加工します。それらで育った野菜や茶葉がフードになり、乳牛からのミルクになり、お店に戻ってお客様に届けるという仕組みです。

プライベートでエチオピアなどにも足を運ぶ若林さん


成瀬:そのミルク、飲んでみたいです。

若林:普段お店で飲んでいただいているのが、そのミルクなんですよ。

成瀬:そうなんですね! すごいですね。きちんとシステム化されていますね。今回の商品が実現したのは、スターバックスさんがそういったサステナブルなビジョンを据えられているということで、我々のプロジェクトに賛同いただけたからです。

若林:もったいないバナナは、これからもサステナブルにコーヒー豆を届けられるようにしなければいけないというスターバックスの考えに、とても一致する取り組みだと思います。環境の考え方というところで、使っている資源の分を地球に返していかなければいけないという共通する想いがありますよね。

---では、私たち消費者にできることは何でしょう?

若林:“おいしくいただく”ことだと思います。そして私たちパートナーができることは、いかにお客様に飲み切っていただくか。消費されることで生産地に還元されるので、継続して飲んでいただくことがいちばんのサポートになります。

成瀬:おいしい、楽しいって大事ですよね。きれいごとだけではだめで、継続につながって産地に還元されることが重要なポイントだと思います。

若林:例えばフードペアリングを提案することで、フードと一緒にコーヒーをもっと飲みたくなります。コーヒーを通じて、環境の事や生産地の事を考えるきっかけにしていただくために、ひとつひとつのコーヒーが持つストーリーを大切にすることを店舗も一緒に取り組んでいます。

ドールさんも、「三方よし」って理念をあげていらっしゃいますよね。

成瀬:そうなんです。生産する人、購入する人、社会・環境の三方によい事業というのは、大事なキーワードです。フィリピンでも「SANPOUYOSHI」って覚えてくださっていて。もったいないという言葉もそうですが、日本で根付いている考え方は、今のこの時代にグローバルにフィットするんですね。

フラペチーノ(R)を試飲し、「濃厚な甘さなのに後味がすっきりしていて、おいしいですね」と成瀬さん(右)


若林:今回のマフィンとロールケーキは、バナナの味わいが優しいので、少し酸味があってコクが軽めのコーヒーが合いますよ。マフィンはラテンアメリカの豆を使ったハウスブレンド、ロールケーキはラテンアメリカとアフリカの豆を使ったコールドブリューがおすすめです。フラペチーノ(R)は、軽めの味わいが特長の「ブロンドエスプレッソ」を追加カスタマイズしてもおいしいんじゃないかなと思います。

成瀬:絶対合わせます!スターバックスさんはペアリングしたりカスタマイズしたりというのがとても楽しいですよね、フードを食べる時の楽しみが広がります。

無駄なく、おいしく消費し、限りある資源を大切に使っていきたい。そんなドールとスターバックスの共通する想いから誕生したバナナ ブリュレ フラペチーノ(R)。廃棄物を削減し、生産地へのサポートにもなるアクションを、一杯のフラペチーノ(R)から始めてみよう。