昨年から今年に掛けて、PCデスク周りのオーディオシステムをグレードアップしてきた。パワーアンプを導入したり、パッシブスピーカーを置いてみたり。昨年、USB DACも買い換えて、より満足に近いシステムになってきた。さらに、再生アプリも新しくしたので、このあたりの進化をまとめて紹介したい。

「デスクトップオーディオはいいぞ」

満足度が高まるごとに、自分もこんな風に主張したくなってきた。これまでFX-AUDIO-のパワーアンプ「FX-1001Jx2」や、JBLスピーカー「Control 1 PRO」を記事で紹介してきたが、今回はSOUND WARRIORのUSB DAC「SWD-DA15」と、新たに導入したアプリ「Audirvāna Origin」について。

筆者のデスクはご覧のように、PCデスクに外部モニターとノートPCを設置している。ノートPCをアームに設置し、USB-Cケーブル1本でDELLのモニター「U2421E」に接続。モニターのUSBハブ機能を使って、キーボードやマウス、USB-DAC等を接続している。

デスクトップオーディオは、USB DACからパワーアンプ、パッシブスピーカーを接続するシンプルなシステムだ。

USB DACは、FiiOの「K3ES」から「K5 Pro ESS」に買い換えたものの、パワーアンプと直結する使い方が不適切だったため、ほどなくSOUND WARRIORの「SWD-DA15」に変更。前述した通り、パワーアンプはFX-1001Jx2、スピーカーはControl 1 PROをセレクトしている。

SOUND WARRIORのUSB DAC「SWD-DA15」

SOUND WARRIORの「SWD-DA15」

SWD-DA15は、長野県上田市に本社を構える城下工業のオーディオブランドSOUND WARRIORのUSB DACだ。SOUND WARRIORといえば、CDジャケットサイズに近い小型デスクトップオーディオ機器SWDシリーズが知られているだろうか。最近では、小型スピーカーや真空管アンプにも力を入れている、メイド・イン・ジャパンの注目ブランドだ。

モニターヘッドフォン「SW-HP10s」は、筆者の自宅スタジオで録音ブース用のヘッドフォンとして愛用している。実売1万円ほどでありながら、驚異的なナチュラルバランスと解像度の高さ、長時間付けていても疲れない軽量・快適性、現場でのハードな使用にも耐える堅牢さに信頼を置いている。

自宅スタジオで録音ブース用のヘッドフォンとして愛用している「SW-HP10s」

そんなSOUND WARRIORは、ハイレートのハイレゾフォーマットに対応したり、外部クロック入力をエントリー価格帯で採用するなど、挑戦的な仕様で個性を放っていた。

筆者にとってのデスクトップオーディオは、“全力投球ではないけれど妥協もしたくないシステム”としての位置にある。以前は、音が鳴ればいいとばかりにUSBスピーカーを使っていたくらいなので、ずいぶん変わったとは思う。そんな微妙に欲張りな要求に適するDACを探した結果、SWD-DA15に行き着いた。

基本スペックをみていこう。本機は直販限定USB DACで、上位機種「SWD-DA20-SD」には、外部クロックの入力やアナログRCA入力を備えるが、DA15では省略されている。

対応フォーマットはPCM 44.1k~384kHz/32bit、DSD 2.8M~11.2MHzまで。768kHzも入力フォーマットLEDは備わっているし、ネイティブ再生も可能とのことだが、DACチップ「ES9018K2M」の保証外になるため、SRC機能を使ってDSD 11.2MHzへのリアルタイム変換が推奨されている。

入力は、USB-Bのほか、光デジタルと同軸デジタルを備える。出力は、RCAラインと6.3mmヘッドフォン。RCAは、出力レベルを固定と可変が選べる。パワーアンプや小型のモニタースピーカーを繋ぐときは可変が便利だ。電源はACアダプター式。付属は12Vだが、15Vまで対応している。15VのACアダプターは保証外だ。消費電力は8Wとなっている。

「SWD-DA15」の背面

本機の目玉機能は2つ。1つ目は、本体にSRC(サンプリングレートコンバーター)機能を備えていること。SRCはPCMからDSDへ、DSDからPCMへの変換など相互コンバートはもちろん、PCM 48kHzを384kHzなどにリアルタイム変換しながら再生もできる。好みに応じて、SRCをバイパスすることも可能だ。

2つ目は、Bulk Petだ。TEAC等のUSB DACに採用されているので、覚えている方もいるかもしれない。USBオーディオではお馴染み「アイソクロナス方式」のデータ転送よりも、ホスト側(PC)とデバイス側(USB-DAC)の処理負荷の変動を少なくするために開発されたインターフェース株式会社の伝送技術だ。

一般的なUSB DACで採用されているアイソクロナス方式は、大量のデータをまとめて処理し、間欠的にDAC側に転送するため、ホスト側とデバイス側に定期的に高い処理負荷が掛かってしまう。Bulk Petではデータ量を平均化してこまめに送るため、処理負荷が安定。極端なピーク負荷をなくすことができ、ノイズ低減が期待できる。また、消費電流が安定すれば、電源系統への影響も抑えられる。結果、音質が改善するということだ。

SWD-DA15は、RATOCの重量級ドライブケースの上に設置。足場の振動対策にはAETのVFE-2005を使用した。ACアダプターは市販の15V/2Aを別途購入し、FX-AUDIO-のノイズ対策アイテムPetit Susieを挿入。USBケーブルとRCAケーブルにはアコースティックリバイブ製のケーブルを使用した。

AETのVFE-2005を使いつつ、RATOCの重量級ドライブケースの上に設置

「SWD-DA15」の上にCDのケースを乗せたところ

本体サイズは、CDジャケットより少し奥行きを長くしたくらいのコンパクトさだ。外形寸法は、約146×165×40mm(幅×奥行き×高さ/突起物含まず)と厚みも抑えられている。裏面を見ると、RCA端子を横配置にすればもっと高さを低くできそうな気もするが、フロント側のSRC周りの視認性が悪くなるので、現状が適切だったろう。

フロントパネルは、透明なアクリルで光沢感を出していて、シンプルながらスタイリッシュ。SRCの切替えボタンと、入力切り替えボタンの他は、ボリュームノブと電源スイッチを備える。

音楽再生アプリを刷新

今回、音楽再生アプリを新しくした。これまで「HQPlayer Desktop3」や「Audirvāna 3.5.51」は特に不満もなく使ってきたが、ずいぶん古くなったため、最新のアプリで音質面もグレードアップしたいと考えた。HQPlayer Desktop5も候補に入っていたのだが、価格面などからAudirvāna側をアップデートすることにした。

Audirvāna Origin

Audirvānaの現行版には、買い切り型の「Audirvāna Origin」とサブスクリプションの「Audirvāna Studio」の2種類がある。

Studio版にしかない特徴は、TIDAL/Qobuz/HRA Streaming(いずれにも国内未サービス)との連携機能やプレイリストの統合、楽曲のメタデータをオンライン経由で補完する機能がある。Audirvāna Originは、買い切りではあるが、機能アップデートは2年間、OS互換性アップデートは最低2年を保証する。

Audirvāna OriginをPCにインストール。SWD-DA15にヤマハのモニターヘッドフォン「HPH-MT8」を接続し、いつも聴いている音楽を再生してみる。

まず、無音状態でのSNは少々気になった。耳を澄ませると、かすかなノイズがある。「サー」っと目立つほどではないが、ヘッドフォンを抜くと違いは明らかだ。音楽を再生すれば、ほとんど気にならないレベルではある。後述するライン出力ではまったく問題ないと感じた。

ボリュームは、音質を重視したアナログボリュームを採用しているが、ギャングエラーはMT8で聴いた限り、ごく小音量の範囲ですぐに解消された。実用範囲の小さな音量で微調整はできる。DSD 5.6MHzの音源を再生すると、音の密度感や肉付きは良好だ。

PCM音源からハイレゾ版のヨルシカ「晴る」を再生。ベースやバスドラは重心が低く、適度に太い。中低域はグリップも効いており、スピード感もしっかりと表現していた。高音域をはじめ、特定の気になるピークはなく、周波数バランスは個性を廃したナチュラルさを感じる。落ち着いた音色という印象だ。音像のディテール表現力も価格相応の実力は満たしていると思う。

続いて試すのはライン出力。接続先がパワーアンプなので出力を「VARIABLE」に設定。こんどは本体のSRC機能も試してみる。基本的に、筆者はソース本来のフォーマットでストレートに再生して聴きたいタイプの人間だ。SRCはあくまで音の好みで選ぶものと考える。

効果が分かりやすいように音数の少ない女性ボーカルを選曲。映画 ゆるキャン△より「ミモザ(Movie Edit)」。ギターとチェロとバイオリン、ボーカルだけの小編成だ。

SRCは、PCM⇒PCM変換を行なう場合、整数倍のアップサンプリングが基本だ。例えば、48kHzなら、192kHzや384kHzへの変換が適当。44.1kHzなら176.4kHzや352.8kHzが適当だ。非整数倍に変換すると、音像の輪郭が滲む。リバーブの階調感もぼやけてしまうし、立体感も減退する。良いことは何もない。

比較は、オリジナルの96kHz/24bitを踏まえて4倍の384kHzへのアップコンバート再生を試した。まずストレートにSRCをバイパスして再生すると、アコギのエッジが立ってくる。ボーカルの純度はこちらの方が良好だ。

一方で、384kHzに変換したときと比べて音が直接的すぎる傾向はあった。384kHzに変換すると、わずかに耳辺りが柔らかい感じに変わった。長い時間リラックスして聴きたいときは、整数倍にアップコンバートしてみるのはいいだろう。

4倍の384kHzへのアップコンバート再生

768kHzの音源も試してみる。Beagle Kickの「SUMMER VIBE」。手前味噌ながら、現在国内で配信販売されている768kHz/32bit音源としては唯一の楽曲だ。

バイパスで再生すると、若干奥行きが狭くなった。曇ったような音になってしまう。SRCでDSD 11.2MHzにリアルタイム変換すると、本来の奥行きが復活し、768kHzにより実現した極めて正確な楽器音の輪郭が蘇った。最初の演奏前に「ワン、ツー……」って声が小さく入るのだが、コントロールルームの空間の容積がDSD変換再生では感じられる。768kHzは、マニュアル通りにDSD 11.2MHzにSRCで変換したほうがよさそうだ。

続いて、SWD-DA15の目玉とも言えるBulk Pet機能をチェックする。楽曲は、ゼノブレイド3のサウンドトラックより、EDテーマ「Where We Belong」。ストリグスアレンジの効いたバンド+女性ボーカルによる壮大なバラードだ。Bulk Petによる音質差は、それほど劇的には変わらないため、注意深く聴くためにヘッドフォンを使用した。Bulk Petは、本機のSIC USB Audioドライバーのコントロールパネル上で、設定を変更できる。

まず、アイソクロナス方式から。慣れ親しんだUSB DACの音だ。DA15はとにかくクセの少ない音なので、DACの素性がそのまま現れているかのよう。特に感想は湧いてこない。

Bulk Pet mode1に設定したら、あら不思議。トランジェントがより際立つというか、時間軸上のモヤが軽減されている。アコギ音の立ち上がりと立ち下がりが、リアリティを増した。Bulk Pet mode2は、音の傾向は1と同様だが、高域に掛けて若干ブライトな鳴り方をする。やや派手めなサウンドだ。mode1と2は、ホスト(PC等)の負荷を低くする。2種類あるのは、データ転送のパターンが違うらしい。

次は、ホスト側の負荷を高くしたmode3と4を試す。2種類あるのは、同じく転送パターンの違いだ。Bulk Pet mode3は、トランジェントがわずかにスロー気味になり、ポストエコーも長めな印象。その分、ゆったりとした感じが味わえる。古い録音ソース、アナログテープからハイレゾ化した楽曲等には合いそうだ。

Bulk Pet mode4は、mode3と似た傾向で、高域はやはりブライトになる。ただし、歪みっぽくなるのではなく、数kHz付近がほんのわずかに華やかになっているだけだ。mode2と同じく、やや派手めの音だが、聴いていて気持ちよくなれる方はmode3よりも4だと思う。

総合的には、トランジェントが改善し、モニターライクなBulk Pet mode1が筆者の好みに近い。試しに、アイソクロナスに戻してみたら、地味でつまらない音になって驚いた。何か機器を追加することなく、設定ひとつで音が変わるのは、リスナーにとって手軽で素晴らしいと思う。

SWD-DA15の導入によって、デスクトップオーディオの音がワンランク上の本格的な領域に入ったと感じている。高級機と比べれば、物足りない点はなくはないが、気軽に楽しむデスクトップオーディオなら、今のクオリティで当分は満足して楽しめそうである。

注目のAudioScan機能

Audirvāna Originに話を移そう。従来の旧版Audirvānaと基本機能は似通っているので、使い勝手には困らなかった。むしろ、UIが洗練されており、目的の設定が見つけやすい。画像の様に、VSTプラグインや、アップサンプリング、ボリュームレベルなど、各種処理を視覚的に分かり易く明示しており、直感的に理解できる。

Audirvāna Originは頻繁にアップデートが行なわれており、ChromecastやAudioScanなど大幅に機能が追加された2022年9月のバージョン2.0以降、なんと25回以上アップデートされ、現在は2.5.12だ。ソフトウェア専業メーカーとして、ユーザーの声を真摯に受けとめ改善を続けているのだろう。

2.5.0ではDACが対応していればDSD 1024までのネイティブ再生が可能になったり、2.2.0では再生エンジンのさらなる最適化を果たすなど、進化が止まらない。

Chromecastは、AVアンプ「RX-V6A」で再生テストを実施してみたが、フォーマットは44.1kHz/48kHzの16bitまでとなる。対応機器で気軽に再生したいときに向いているだろう。

AVアンプ「RX-V6A」の再生テスト画面

AudioScanは、元はHD Analyerという機能だった。なんと、再生している楽曲の周波数分布を分析して、フォーマットにふさわしい内容であるかをチェックできるのだから驚きだ。試しに44.1kHz/16bitのWAVからRX 8 Audio Editorで176.4kHz/24bitの“ニセレゾ”ファイルを作成してみた。元音源のスキャン結果がこちらの画像だ。

元音源

ニセレゾファイルはご覧の様な結果となった。帯域幅は、44.1kHzのときと同じであり、約22kHzから先は急激に波形が落ち込んで音声がまったく鳴ってないのが分かる。

ニセレゾファイルのスキャン結果

応用編として、ほぼ打ち込みで制作されているゲームのサントラ(96kHz/24bitで制作&リリース)を、スキャンしてみた。生のバイオリンが含まれている楽曲「空高く風に乗り」やボーカルが入っている「現在という煌めき」は、ハイレゾとして認定された。しかし、打ち込みメインの楽曲は帯域幅が20kHzと表示されてしまった。

ボーカルはハイレゾ認定

打ち込みメインの楽曲は帯域幅が20kHzと表示された

「Believing Heart」は生ギターも入っているのだが、Audirvāna OriginのAudioScanにとっては、“セミハイレゾ”ということらしい。他にも、打ち込みのみ音源は同様の結果となった。推測となるが、打ち込みの元となる音源が48kHzとかでサンプリングされているため、96kHz環境でミックス作業したとしても、帯域幅は96kHz制作のそれにはならないためだと思われる。

ただ、勘違いして欲しくないのは、AudioScanでスキャンしてセミハイレゾ認定が出るからといって、それが全て問題のある音源ではないということだ。クリエイティブ表現を優先した結果、意図的にそうなったかもしれないという側面はあり得るのではないか。

例えば、ミックスで使うツールが96kHzの環境で動くけれど、ある一定の帯域から上はカットしてしまうというケースもある。それを分かっていて、あえて目指す音を出したいから選んでいるのかもしれない。そもそも、高周波帯域に音があるかないかだけでハイレゾの価値が決まらないことは筆者が述べるまでもない。

Audirvānaとしてはお馴染みのリモートコントロール用のアプリも新しくなっている。「Audirvāna Remote」をiPad Airにインストール。パソコンで起動しているAudirvāna Originを認識して、すぐにリモコン代わりに利用できた。

リモートコントロール用のアプリも新しくなった

レスポンスは良好。サクサク選曲と再生ができるので、パソコンをネットワークプレーヤーのように使用できる。リビングのオーディオシステムにパソコンを繋げているような方は、操作のたびにパソコンの画面を見に移動するのは現実的ではないだろう。アプリがあれば、ソファに座りながら選曲・再生操作はもちろん基本的な設定変更も可能だ。

USB DAC経由の他に、UPnPによるDLNAレンダラーへのプッシュ再生も従来通り可能だ。リビングのAVアンプ「RX-V6A」に接続してみると、最初は対応フォーマットがなぜか192kHzとDSD 128で設定されてしまった。384kHzとDSD 256は手動設定すると、問題なく再生できた。実際にテレビ画面でアンプ側が正しくフォーマットを認識していることもチェックしている。ネットワーク対応のデバイスを指定しても、再生可能フォーマットが正しく認識されないときは、慌てず設定を変更するようにしよう。

WindowsでASIOの音質を超える“カーネルストリーミング”

Audirvāna Originは触りはじめたばかりで、網羅的に理解できている訳ではないが、特筆すべき進化点について触れておきたい。Windowsにおける再生エンジンをより最適化し、WASAPIやASIOに代わる新たな高音質再生の方法として「カーネルストリーミング」を搭載した点だ。

用語だけ聞くと、「カーネルってOSのサウンドミキサーを通過しちゃうの? 音悪くなるだけでは?」と思う方もいるかもしれない。

ところがカーネルストリーミングは、Audirvānaが新たに開発したWindowsで音楽を再生するための最もダイレクトで透明性のあるモードであり、Windowsのオーディオミキサーを完全にバイパスできるという。カーネルストリーミングインターフェースを使用して、出力オーディオドライバーとダイレクトに接続できるそうだ。

カーネルストリーミングを選択したところ

難点としては、DSDのASIOネイティブ再生ができないため、DoP再生に限定されてしまうことくらい。ASIOとカーネルストリーミングで音質比較をしてみたが、明らかにカーネルストリーミングの方が楽器やボーカルの音に実在感がある。音像描写がより緻密で写実的だ。そして音が適度に肉厚かつ有機的になっている。まさかWindowsにおいて、ASIOの音質を超える再生方法があるとは思ってもみなかったので、本当に驚いた。

しかも、カーネルストリーミングは最適化の度合いを「標準」「高い」「極度の」と3種類設定できるようになったので、「極度の」を選べば音質が最も良好な結果となる。音飛びなどが起きるときは、バッファリングで「トラックのプリロードに割り当てられた最大メモリ」を大きめの値にすればよいと思われる。筆者のPCではバッファ16GBで特に問題は起きなかった。

そもそもの話、ASIOで旧AudirvānaとAudirvāna Originを比較しても音が良くなっているのだ。音のフォーカスが精密になり、霞が掛かっていたディテールはよりクッキリと描かれる。DSDのホール録音は、空間の容積がさらにリアルに、ホールトーンは濁りなくピュアに聴かせてくれた。全体的に時間軸精度の向上が著しいと感じた。

昨年5月に追加された機能では、Plāys with Audirvānaという、パートナー機器を自動認識して推奨設定を読み込んでくれる機能が興味深かった。筆者が使用しているiFi audioのUSB DAC「NEO iDSD」やスフォルツァートのネットワークトランスポートもパートナーメーカーとして認識したので、今後もさらに多くのブランドが対応していくことを期待したい。

そんなわけで、デスクトップオーディオも存外面白いし、ぜひ読者の方にも始めていただきたいと願う。PCの基本的な使いこなしなど、オーディオとは別の知識も求められるが、やればやるほど音が豊かに変わっていくことで、その喜びや感動をエネルギーにできるのではないかと筆者は考えている。

iFi audio「NEO iDSD」の推奨設定

iFi audioはASIOではなく、カーネルストリーミングにおいて推奨設定が読み込まれる