34歳女性が激怒「ワースト1、2争う」見合いの顛末
お見合いの席での会話。これが交際の決め手になることも少なくありません(写真:玄武/PIXTA)
お見合いの席でどんな会話をするかで、交際希望が来るか、お断りが来るかに分かれる。婚活を成功させたいなら、大事なのはやはり会話力だ。
仲人として婚活現場に関わる筆者が、婚活者に焦点を当てて、苦労や成功体験をリアルな声とともにお届けしていく本連載。今回は、お見合いの席で成功する会話術を見ていこう。
立派な経歴披露と自慢話は御法度
お見合いを終えたみわこ(50歳、仮名)が、お相手のしんじろう(51歳、仮名)について、こんな理由でお断りを入れてきた。
「今日の方、経歴がご立派。それをご自身が切り開いてこられたのですから、大変な努力家なのでしょうね。そこに惹かれてお見合いをお受けしたのは確かなのですが、会話の8割が、ご自身の経歴披露と現在の会社でいかに評価されているかというお話でした」
しんじろうは日本の国立大学を卒業後、渡米。アメリカの大学でMBAを取得し、帰国後は外資系企業で働くエリートだった。
「優秀な方なのはわかったのですが、男性としての魅力は感じませんでした」とみわこ。
自慢話をするのは、男性に限ったことではない。さとる(55歳、仮名)が、ともこ(54歳、仮名)とお見合いを終えた後に、こんな感想を漏らした。ともこは、上場企業で働く年収1000万円超えのバリキャリだ。
「自分がいかに会社に必要とされている人間か、いかに仕事ができるかをずっと話していました。あと、ワインに精通していて、フランス料理、イタリア料理、日本料理と有名な料理教室で学んだから、プロ級の腕前だともおっしゃっていました。もう話を聞いているだけで、お腹いっぱいになりましたよ」
「そうですか」「すごいですね」と相槌を打っていたら、“自分はできる女”“完璧な女”という話がさらに止まらなくなったという。なので、話を切り上げたくなったさとるは、チラチラと腕時計を見る仕草をした。
「そうしたら途端に不機嫌な顔になって、『もう行きましょうか』と。多分“お断り”が来ると思いますが、そのほうがホッとします」と、さとる。
自慢話をされ、それを心地よく聞く人は、まずいない。
自慢話をする人は、“周りから認めてもらいたい”“すごいと思われたい”という承認欲求が強いタイプだといわれる。一見自信満々な人と思われがちだが、実は正反対で、自分に自信のない人が多い。マウントを取ったりするのもこのタイプだ。
自信のある人は自己肯定感が高いので、人からの評価は聞きしないし、人前で自慢話をしたりしない。
お見合いの席で、自慢話をするのは御法度だと覚えておこう。
話し下手な人のお見合い会話術
では、話し下手な人はどうしたらいいのか。
先日入会したとおる(39歳、仮名)は、これまで一度も女性とお付き合いしたことがなかった。「どのくらいの時間、お見合いしたらよいのですか?」と尋ねてきたので、「1時間程度ですかね」と答えると、悲鳴に近い声をあげた。
「えっ? 初対面の人と1時間も何を話せばいいんですか? どんなにプロフィールを読み込んでいっても、20分くらいで会話が尽きてしまいそうです」
とおるのようなタイプは、1つの話題から話を広げることができずに、一問一答形式の会話をしてしまうことが多い。
「休日は、何をしていますか?」と聞いて、「最近は、家でのんびりすることが多いです」という答えが返ってくると、「そうですか」と相槌を打ってその話を終わりにしてしまい、「趣味はなんですか?」と、次の質問へと移っていく。
筆者は、とおるにこうアドバイスした。
「会話を続けるポイントは、まず相手が言ったことを受け取って、共感するんです。そこから、それに関する質問をしていくと、話が続いていきますよ」
そして、こんな例を出して説明した。
「休日は何をしていますか?」
「最近は、家でのんびりしています」
「仕事も忙しいでしょうから、休日に家でのんびりするのはいいですよね」と、まずは家でのんびりするということに共感する。
そして、「僕も休日家でのんびりすることが多いのですが、そんな時は動画を見たり、ゲームをしたりしています」と自分のことを挟み、「〇〇さんは、何をしていることが多いですか?」と質問をする。
これはフォローアップクエスチョンというテクニックだ。
会話では自分ことを4割話し、相手から話を6割引き出すと考えると、バランスがよい。話下手だからといって、相手に質問ばかりして自分のことをまったく話さないでいると、相手は尋問されているような気持ちになる。
相手を褒めることは正解か?
婚活での会話で、“相手をほめることが大事”とはよくいわれるのだが、筆者は、対峙した相手によって、ほめることがよい時と逆効果な時があると思っている。
誰が見ても美人でスタイルがよい女性なら、容姿をほめてもいいかもしれない。けれど、そうではない相手に、容姿をほめたら、「何お世辞言っているのかしら。白々しい」と思われるだろう。
また、ほめられることに慣れていない女性は、過度なほめ言葉でも居心地の悪さを感じることもある。
ほめるのであれば、「笑顔が素敵ですね」「その服似合いますね」「きれいに食べますね」などの、表情やファッションや所作だろう。
みさこ(34歳、仮名)がお見合いを終えて、「これまでお見合いしてきた中でも、ワースト1、2を争うお相手でした」と、ふとし(37歳、仮名)に交際辞退を出してきた。それがどんなお見合いだったかというと……。
「どのくらい婚活しているんですか?」
「なんで婚活を始めたんですか?」
「何人とお見合いしましたか?」
「今仮交際をしている人は、いますか?」
「交際から真剣交際に進んだ人は、いましたか?」
相手の婚活歴を聞くのは最もタブー
婚活を始めたきっかけから始まり、婚活歴を事細かく聞いてきたという。お見合いの席で、相手の恋愛歴や婚活歴を聞くのは、最もタブーなこととされている。
「もう答えづらい質問ばかりで。どのくらい婚活しているんですか? と聞かれて、正直に年数や期間を答える女性がいるのでしょうか? それに、何人とお見合いしたか、真剣交際に入ったかは、答えたくもない。言えることは、『あなたとは交際に入りません』ということでした」
また、ひとしきり質問が終わると、自分の婚活歴も話し出し、「こんな女性がいた」と、お見合いした女性の悪口を聞かされたという。
さらに、ふとしはこんなことも言った。「あなたのプロフィールの自己PR欄は、あなたのよさが出ていないな。あれじゃあ、相手に伝わらないですよ」。
「お見合い指導官参上! って感じでした(笑)。結婚できていないあなたに指摘されたくない!と心の中で思っちゃいました」
さらにお見合いの席での会話でタブーなのが、ネガティブな発言だ。
お見合いを終えたあい(35歳、仮名)が、「今日の男性は、とにかく発言がネガティブで、話をしていて、こちらも暗い気持ちになりました」と、まさる(37歳、仮名)に交際辞退を出してきた。
「『会社がブラック企業だ』とか、『仕事がキツイから、社内の人間関係もギスギスしている』『上司がしっかりしていない』とか、そんな愚痴ばかりこぼす暇があったら、そんな会社さっさと辞めて、転職したらいいのに」
ネガティブな話をされて、楽しい気持ちになる人はいない。ついネガティブな言葉が出てしまい、「しまった!」と思ったときには、そこから話の着地点をポジティブな方向に変えるとよい。
例えば、「仕事がキツいんです」とネガティブな話をした後に、「その中でも、まあ、体力には自信があるんで、食らいついてますよ」と言って会話を終えると、話の印象が変わる。
「異性を前にすると、どうしても緊張をしてしまう」という人もいる。
みやこ(37歳、仮名)が、じゅんいち(41歳、仮名)とのお見合いを終えて、こんな感想を漏らした。
「今日の方、『僕はお見合いが初めてなんで、今日はすごく緊張しているんですよ』と、最初におっしゃったんです。『私も緊張していますよ』と言ったら、にっこりを笑ってくださって。そこから会話がスタートしました」
そして、このお見合いを終えて、みやこは言った。
「確かに話し上手な方ではなかったんですけど、誠実に話をしてくださっているのが伝わってきました。小手先の話術よりも、大事なのは言葉に誠意があるかどうかですよね。私の話をうなずきながら真剣に聞いてくださっている様子にも、好感が持てました」
お見合いで成功する会話術まとめ
“メラビアンの法則”というのをご存じだろうか? これは、話した人が聞き手に及ぼす影響を数値で表したものだ。
・目から入ってくる情報 55%
・耳から聞こえてくる情報 38%
・話している内容 7%
といわれている。「健康のために毎日駅のひと区間は、歩いています」と言ったときに、無関心な顔で「あ、そうですか」と、ボソッと言われたら、“ああ、この話には関心がないのだな”と思われる。
ところが、身を前に乗り出して、「へぇ、そうなんですか。すごいですね。私も真似してみようかな」と、生き生きと笑顔で言ったら、相手も“自分の話に関心を持ってもらえた”と思い、気持ちよく次の会話を続けていくだろう。
では、お見合いで成功する会話術をまとめてみよう。
・お見合いの席で、自慢話はしない
・話の割合は、自分4割、相手6割を心がける
・相手の言葉にまずは共感。そこから会話を広げていく
・容姿ではなく、相手の表情、所作をほめる
・相手の婚活歴、恋愛歴を聞くのはタブー
・これまでお見合いしてきた相手の悪口は言わない
・ネガティブ話はしない。したときはボジティブな方向に着地
・小手先の話術よりも、誠意を込めた会話で相手の心をつかむ
婚活に頑張る皆さんのお見合いの通過率がよくなることを、筆者は願っています。
(鎌田 れい : 仲人・ライター)