会見で頭を下げる小林製薬の経営陣(写真・時事通信

 小林製薬が販売した「紅麹」成分入り食品による健康被害の問題。3月27日の段階で、成分が入ったサプリメントを摂取した2人が死亡し、106人が入院したことが明らかになっている。

 同社は、3月22日に「紅麹関連製品の使用中止のお願いと自主回収のお知らせ」を公表し、《成分分析を行った結果、一部の紅麹原料に当社の意図しない成分が含まれている可能性》としたうえで、関連製品の自主回収を進めている。

「意図しない成分」がどうして含まれたのか、原因究明が進んでいないことから、騒動は今後どこまで拡大するかわからない。だが、小林製薬の対応が後手後手すぎると疑問視する声は多い。

「報道によれば、最初の症例が報告されたのは1月15日。小林製薬は2月上旬までに腎疾患などの健康被害の報告を複数受けていながら、自主回収を決めたのはそれから1カ月半ほどたってからです。

 22日に問題を公表したあと、サプリが原因で死亡したと思われる人物の遺族から、23日にメールで連絡を受けたものの、3600通以上あったメールに紛れ、25日の月曜まで確認できなかったこともわかっています。

 さらに、紅麹原料は食品メーカーなど52社に供給されていますが、具体的なメーカー名、商品名などは公表されていません。こうしたことが、後手後手の対応だと批判されているのです。

 同社は回収が遅れたことに『調査に時間がかかった。(自主回収の)判断が遅かったといわれればそれまで』と話しましたが、『工場ではきっちり入室管理し、決められた従業員しか入れない』とも話しており、原因究明は進んでいません」(経済担当記者)

 小林製薬の対応には、自見英子消費者相が「誠に遺憾」と苦言を呈するなど、政府からも批判の声があがっている。「X」上をみても、憤りの声があふれている。

《発覚から2ヶ月も経ってから発表 52社を発表しない 命に関わることなのに不誠実すぎるよな》

《2日も放置しといて…。遺族がどんな気持ちだったか》

《昨年末飲んでたんですけど どんな症状が出るんだろう》

「さらに、一部では、“不可解な株価” の動きを指摘する声もあります。小林製薬の株価は、この問題が明らかになってから急落していますが、じつは2月の上旬にも大きく値を下げているんです。

 2月前半といえば健康被害の報告を受けた時期と一致していますから、ネット上では、

《2月の大きな下げを見ると、売り逃げてから公表と受け取ってしまう》

《2ヶ月前に事実確認し、発表まで2ヶ月かかってますが、1ヶ月後に株が1割も急落してます。関係者が売ってたとしたら、インサイダー?》

 と首をかしげる声もあがっています」(同)

 同社は今回の一件を受け、「紅麹サプリ」の機能性表示食品届け出を撤回した。国は今後、届け出があるすべての機能性食品、およそ6800件を緊急点検するという。

 いずれにせよ、これ以上の被害が出ないよう、早急な対応が求められている――。