近年ではさまざまな企業や職種でリモートワークが普及しています。しかし、「リモートワークは生産性が低下する」との指摘から、GoogleやZoom、Amazonなどの企業がリモートワークを順次廃止しています。コンピューターテクノロジー企業のDellが「2024年5月以降、完全にリモートワークをしている従業員は昇進の対象外になる」とのポリシーを発表しました。

Dell tells remote workers that they won’t be eligible for promotion | Ars Technica

https://arstechnica.com/information-technology/2024/03/dell-tells-remote-workers-that-they-wont-be-eligible-for-promotion/



Dellはこれまで、リモートワークを支持する立場を表明しており、2020年までに従業員の約65%が週に1日以上リモートで仕事をしていました。さらに、マイケル・デルCEOは2022年に「Dellでは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによってリモートワークが活発化する以前から、リモートワークとオフィスに出社する従業員との間に違いはありませんでした。オフィスで働くことが昇進やパフォーマンス、エンゲージメント、給料に関して有利になるという認識は、リモートワークとオフィスを組み合わせたハイブリッドワークの神話の1つにすぎません」と述べていました。

さらにデル氏は当時「Dellを世界中のチームメンバーが『リモート、オフィス、またはその2つの組み合わせ』という自身のライフスタイルに最も適したワークスタイルを選択できるようにすることを約束します」と宣言していました。

しかし、Dellは2024年5月以降、全従業員を「リモートワーカー」または「ハイブリッドワーカー」の2種に分類。ハイブリッドワーカーとして認められるためには3カ月の間に少なくとも39日の出社が必要です。また、リモートワーカーに分類された場合、昇進や役職の変更の対象外となります。



Dellは従業員に宛てたメモの中で「リモートで働く従業員は、トレードオフを理解することが重要です。社内の新しい役割への応募を含むキャリアアップには、チームメンバーがオフィスで働くハイブリッドワーカーである必要があります」と伝えました。また、海外メディアのArs Technicaに対しDellは「今日のグローバルなテクノロジー革命において、イノベーションと価値の差別化を推進するには、柔軟なアプローチと組み合わせた、対面でのつながりが不可欠であると信じています」とのコメントを残しています。

あるDellの従業員は「私たちは昇進を諦めてリモートワークを続けるか、ハイブリッドで週に何日も出社して働くか、どちらかの選択を迫られています。今回のポリシー変更は私たちの多くに大きな影響を与えています」と語りました。また、海外メディアのBusiness Insiderによると、今回の方針変更は2023年2月に実施した、従業員約6600人の削減を受けてのもので、ある従業員は「Dellが人員削減に必要な退職金を支払わずに人件費を節約するために、従業員に自主退職を迫る試みです」との懸念を表明しているとのことです。