70歳のときに、義娘で料理研究家の小林まさみさんのアシスタントになった小林まさるさん。その後も自身のレシピ本出版やYouTubeチャンネルをスタートするなど、90歳を迎えた今もさまざまなことにチャレンジしています。ここでは、常にきれいなキッチンを保っている理由や、お気に入りの調理グッズなどについてお聞きしました。

仕事場でもあるキッチンは、常にきれいな状態に

料理研究家の小林まさるさんの自宅のキッチンは、義娘であり、まさるさんがアシスタントを務める料理研究家・小林まさみさんとともに働く仕事場でもあります。

【写真】食器はサイズ別に重ねてすっきり収納

「仕事ができる人の仕事場は、いつもきれいに片づいてるものだよ」。そう話しながら、まさるさんはさっと包丁とまな板を取り出し、ネギを刻み、簡単な一品をつくると、すぐに残った食材を冷蔵庫にしまい、道具を洗って元に戻し、調理台をふき上げます。

キッチンを常にきれいな状態にしておけば、すぐに作業に取りかかることができ、ムダがありません。

収納場所を決めれば、迷わず料理がはかどる

「なにをどこに入れるか、場所を決めることも大切。そうしないと、あれはどこだっけ…? って探し物ばっかりすることになって、仕事がはかどらないからね」

仕事柄、キッチンの引き出しにはたくさんの調理道具や調味料、スパイスなどが入っていますが、すべて定位置が決まっています。

「調理道具は大きさ別に分けてあって、小さいものは小さいサイズの調理道具を使うように。洗い物がラクになるようにって、常に考えてるよ」

食器棚に入ったたくさんの食器も、サイズ別に分けて重ね、使いやすく収納されています。まさみさんのアシスタントとして仕事をするときには、常に相手が何を必要としているか、考えながら動くようにしているそう。

「たとえば、洗い物も出た順に洗うんじゃなくて、次はボウルを使う作業だから、ボウルを先に洗った方がいいな、とか、先回りしてやるようにしてる。そうすると、仕事がスムーズに回るんだ」

お気に入りの調理道具ベスト3を公開

まさるさんのお気に入りの調理道具についてうかがってみると、まず出してくれたのが新光堂の銅製のおろし器。職人が手作業で目立てをしていて、切れ味も抜群です。「これを使うと大根おろしもすごく早く、細かく、口当たりよくできる」

そして、もう何十年も愛用しているという砥石。右手前が荒研石、左奥が中研石、中央が仕上砥石。「包丁はよく切れたほうが料理は早く、きれいに仕上がるし、危なくないんだ。うちで料理教室をやったときも、生徒さんみんなに包丁を持っておいでと言って、俺が研いであげたりもするよ」

3つめに出してくれたのはスライサー。「千切りはもちろんだけど、みじん切りをするときもこれで細く切ってから刻むようにすると、早く、きれいにできる」

自分で“うまい”と思うものをつくれば、人生はトク!

レシピを思いつくのは、夜布団に入ったときが多いのだそう。

「こんなのいいかなと思いついたら、すぐにノートにメモするようにしてるんだ。そうしてるうちに気がついたら深夜になってしまうこともあるけれど…」。書きためたノートは、20冊以上に。

「普段はあんまり見返さないけど、レシピ本をつくるときはこれを見たりするよ。俺はあんまり他の人の料理本は見ない。マネしたくなっちゃうからね。まさみちゃんの仕事から、ヒントをもらうことはあるよ」

最後に、料理上手になるコツをうかがうと、こんな答えが返ってきました。

「うまいもんを食べたかったら、面倒でもちょっとだけ、自分で手をかけるといいよね。“うまい”の感覚は人それぞれだけど、自分の手を使って“うまい”って思うものを食べたほうが、人生はトクなんじゃないかなあ」