おいしく簡単な時短&節約メニューがESSE読者からも大人気の料理家・みきママさん。ブログやインスタでは、家族のためにつくり続けた毎日の料理とともに、子育てに奮闘する姿も発信してきました。昨年春には長男の「はる兄」が現役で東大に合格。繊細な受験期、どのようにコミュニケーションをしてきたのでしょう。2人に話を聞きました。

親子げんかをしても、夕飯になると自然と仲直り

--みきママさんは料理家だけに、親子のコミュニケーションもやはり料理を通じて取ることが多いのでしょうか。

【写真】インタビューに答えるはる兄

みきママ:子どもがごはんを食べている間に、お母さんがキッチンの片づけや洗い物をしている…という家はけっこう多いですよね。でも私は、必ず同じタイミングで食卓につくようにしています。子どもがどんな顔をして食べているのかしっかり見ると、子どもの気持ちや状況も分かってくる。わが家の息子はしゃべりたがりで、覚えたギャグを夕飯のときに披露してくれたりするので、食事中の会話はけっこう多いですね。

はる兄:うちの母はちょっとしたギャグでも爆笑してくれるから、話していて楽しい。友達みたいな感覚です。弟もよく母をからかったりするんですけど、それに対して母が張り合ってくる様子もおもしろくて。

みきママ:親子でケンカすることも多いけど、ごはんの時間になると自然と仲直りというか、普通に話すようになるんです。それが食事の力ですよね。怒っていても、お互いにおなかはすくじゃないですか。

はる兄:なにより母は「親だから」というスタンスではなく、同じ目線で話してくれるから。それが僕にとっては楽しいし、心地いいですね。

みきママ:私は今、管理栄養士を目指して大学に通っているので、学校の悩みやグチを聞いてもらうこともありますね。私の大学の同級生たちも、みんな若いのにしっかりしているし、相談するのに年齢は関係ないな、と思います。

食事をつくってくれる光景を含めて「おふくろの味」

--一緒に食卓を囲む中でとくに思い出に残っている、はる兄にとっての“おふくろの味”はありますか?

みきママ:それ、知りたい! ちなみに弟のれんは「みそ汁」って言ってましたね。

はる兄:僕は料理そのものよりも、つくってくれている光景を含めて、「おふくろの味」という感じ。「ごはんできたよー!」と呼ばれて、食事中もあれこれ栄養の説明をしたり、「今日はこんなことがあってさあ〜」と報告してきたり。

いつか母がいなくなったとしても、そういう元気はつらつな母の姿と、一緒にごはんを食べているときの楽しかった思い出がいちばんに残ると思います。

みきママ:やだ、そんなこと言われたら泣いちゃいそう。やっぱり料理をつくることも大事だけど、一緒に食べることも大事なんですよね。

--はる兄が大学に合格するまで、料理以外にもみきママさんはさまざまな形で子どものサポートをしてきたと思います。はる兄が進路に迷ったときは、将来の参考にするために弁護士や医師など幅広い分野で活躍している人にはる兄を会わせたそうですね。

はる兄:それは確実にいい経験になったと思います。やっぱり小中学生のときに直接話せる大人って、親や先生以外にはあまりいないから。いろんな人に会うことで自分の世界を広げることができたし、いつか自分に子どもができたら同じようにしたいですね。

一時期、海外の大学を受験しようと思っていろいろ調べていたんですけど、その際に留学中の人を探して、SNSで自分からコンタクトを取って質問したりできたのは、その経験があったからかもしれません。

親が一緒に勉強してくれたら、子どももがんばれる

--みきママさんの新刊『みきママの東大合格弁当』を読む方のなかには、受験を控えてナーバスになっている子どもとの距離感に悩んでいる人もいるかと思います。受験期の見守り方や子どもとのコミュニケーションについて、お二人はどう考えていますか?

みきママ:親から「勉強しなさい」って何度も言われたら、きっと子どもは余計にやる気がなくなりますよね。でも親としては、自分にできることはなんだろう…? といつも考えてしまう。はる兄は、「こうしてほしい」という親に対する要望はあった?

はる兄:子どもとしては、勝手に心配して、勝手に落ち込んで文句を言って…というのはやめてほしいですよね。仮に受験がうまくいかなかったとしても、それは僕の人生だし、そこから学ぶこともあるだろうし。僕がそうでしたけど、それまでぜんぜん勉強しなくても、どこかのタイミングでスイッチが入って急に伸びることはあるので。それを信じて放っておいてほしいなと思います。

みきママ:そうは言っても、親は子どもの未来が心配でたまらないものだからね…。なにかせずにはいられないんだよ。

はる兄:僕は、一緒に勉強したらいいと思うんですよね。「一緒に英検受けよう」でもいいし、同じ内容じゃなくても、「私はこれを勉強するから」と机に向かっていれば、説得力も増すだろうから。

うちの場合も、母が管理栄養士を目指して勉強している姿を見ているから、僕も弟も「勉強しろって言われる筋合いないよ」とは言えないです。放任しつつ、親も同じ立場でがんばってくれたら、子どももうれしいと思います。

みきママ:たしかに私もずっとリビングで勉強しているので、それは子どもたちへのいい影響になったのかもしれないですね。それと、お母さんたちに伝えたいのは、まず自分自身の心と体を元気に保つこと。しっかり食べて睡眠を取って、笑顔でたくさんコミュニケーションを取っていれば、自然と親の愛情も伝わると思います。