シリーズ読者投稿〜あの時、あなたに出会えなければ〜 投稿者:Aさん(神奈川・30代男性)

ある夜、自宅から遠く離れた駅で降ろされたAさん。

帰るに帰れず途方に暮れていると、中年のサラリーマン男性に声をかけられて......。

<Aさんの体験談>

10年ほど前、帰宅のために乗っていた電車が人身事故の影響で緊急停止しました。

幸いにも、わたしが乗っていた電車は近くの駅で止まることになって外に出られましたが、そこは無人駅。単線の電車で振り替え輸送などもなく、あたりは真っ暗でした。

「にいちゃん、帰れないのか?」

自宅まではかなりの距離があり、歩くことも、迎えを呼ぶことも出来ません。

タクシーを捕まえようにも走っておらず、降りた駅で途方に暮れてしまいました。

すると、50代くらいのサラリーマンの方に突然、声をかけられたのです。

「にいちゃん、帰れないのか? おれも電車止まったから帰れないんだが、家族を呼ぶだから車のってくか?」

私は「見ず知らずの方にそんなお願いするなんて、申し訳なくてできません」とお断りしたのですが、その方に

「バカやろう。こんな寒い日にいつ動くか分からねー電車待つより乗っとけ!」

と言われ、勢いに押された私はお言葉に甘えることにしました。

お迎えを待つ間、他愛のない会話をし、当時わたし自身仕事で行き詰っていたこともあり、いろいろ話してしまった記憶があります。

気付いたらお連れ合い様が車でいらっしゃって、その方が「こいつも乗っけて良いか?」と言って、電車が動いている駅まで送っていただきました。

おかげで無事に帰宅することができたのですが、若かった私はお名前や連絡先を聞くこともしておらず、改めてお礼をお伝えすることができず、申し訳なさでいっぱいです。

今でも、あの方に仕事の愚痴を聞いてもらったこと、わざわざ送っていただいたこと、感謝してもしてもしきれません。

この気持ちが伝わればと思い、投稿させていただきました。

誰かに伝えたい「あの時はありがとう」「あの時はごめんなさい」、聞かせて!

名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな誰かに伝えたい「ありがとう」や「ごめんなさい」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。

Jタウンネットでは読者の皆さんの「『ありがとう』と伝えたいエピソード」「『ごめんなさい』を伝えたいエピソード」を募集している。

読者投稿フォームもしくは公式ツイッター(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、具体的な内容(どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのか、どんなことをしてしまい謝りたいのかなど、500文字程度〜)、体験の時期・場所、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。

(※本コラムでは、プライバシー配慮などのため、いただいた体験談を編集して掲載しています。あらかじめご了承ください)