SamsungのAndroidスマートフォン「Galaxy」シリーズのフラッグシップモデルであるGalaxy S24 Ultraが2024年1月31日(水)にアメリカで登場します。QualcommのSnapdragon 8 Gen 3を初めて搭載するスマートフォンで、オンデバイスで動作するAI機能「Galaxy AI」が目玉であるGalaxy S24 Ultraのレビューをすでに海外の複数メディアが公開しています。

Samsung Galaxy S24 Ultra review: all that and AI - The Verge

https://www.theverge.com/24053907/samsung-galaxy-s24-ultra-review-ai-screen-camera-battery

Samsung Galaxy S24 Ultra vs S22 Ultra: Comparing premium flagships

https://www.xda-developers.com/samsung-galaxy-s24-ultra-vs-s22-ultra/

Galaxy S24 Ultra review: Samsung’s AI reinforcements have arrived

https://www.engadget.com/galaxy-s24-ultra-review-samsungs-ai-reinforcements-have-arrived-specs-price-191508062.html?guccounter=1

Samsung Galaxy S24 Ultra Review: This Is the Benchmark for an AI Phone

https://www.makeuseof.com/samsung-galaxy-s24-ultra-review/

◆本体サイズ・外装

Galaxy S24 Ultraの本体サイズは162.3mm×79mm×8.6mmで、重さは約233gです。XDA-Developersによると、本体の形状は2世代前のGalaxy S22 Ultraとほぼ変わりませんが、スクリーンは完全フラットになってより直線的になり、わずかに重くなっているとのこと。The Vergeは「直角が多い形状に「フラットなデザインは高く評価していますが、手に持つと不快になる可能性があります。チタン製の外装仕上げは美しいと思いますが、それでもやはり大きくて重いスマートフォンです」とコメントしています。



スマートフォン関連ニュースサイトのMakeUseOfも「デバイスの角はかなり鋭く感じられ、電話を持つときに手が当たるとイライラする可能性があります」と述べています。ただし、本体のチタンフレームはマット仕上げで指紋が付きにくくなり、さらに触り心地がよくなったことについては好評価を示しました。

◆ディスプレイ

Galaxy S24 Ultraのディスプレイは6.8インチ有機ELディスプレイで、リフレッシュレートは120Hz、HDR対応で最大輝度は2600ニトです。Engadgetによれば、前世代よりもベゼルが狭くなり、ディスプレイの領域は広くなったとのこと。

また、Galaxy S24 Ultraはスタイラスペンの「Sペン」を内蔵しており、MakeUseOfは「ディスプレイが完全フラットになったことは、Sペンの仕様上、利にかなっています」とコメントしています。XDA-Developersによると、Sペンに対するディスプレイの反応が向上しており、遅延がかなり改善されているとのこと。



さらに、前面と背面にはCorningのGorilla Armorガラスが貼られており、耐久性が向上しているほか、屋外でのぎらつきが大幅に軽減されているそうです。さらにディスプレイの輝度も高いので直射日光下でもディスプレイがくっきり見えるとどのメディアも高く評価しました。

◆ソフトウェア

Galaxy S24 UltraはAndroid搭載スマートフォンですが、UIについてはSamsungが開発した「One UI」のバージョン6.1が採用されています。XDA-DevelopersはOne UIを「洗練されていて大型のスマートフォンに最適」と評価。The Vergeも「Samsungソフトウェアについてはイライラする点が依然として残っており、私には使い道のない独自アプリや機能がたくさんあります。しかし、カスタマイズ性の高いOneUIを使えば、こういうものの多くを排除し、平穏に暮らすことができます」と述べています。

また、MakeUseOfは「GoogleのPixel 8に匹敵する7年間という驚異的なソフトウェアアップデートを受けられるという事実は、通信キャリアとの契約を終えてもデバイスを使用しつづけるつもりの人にとっては信じられないほどのメリットです」と評価しました。

◆ハードウェア

下位モデルであるGalaxy S24/S24 Plusには、Samsung製のExynosチップが搭載されていますが、Galaxy S24 UltraはQualcommのSnapdragon 8 Gen 3チップセットを搭載。Qualcommは、Snapdragon 8 Gen 3は前世代のSnapdragon 8 gen 2と比較してCPUパフォーマンスが30%、GPUパフォーマンスが25%向上しているとアピールしています。RAMは12GBで、処理パフォーマンスは問題ないとThe Vergeは評価しています。

MakeUseOfが行ったGeekBench 6によるベンチマークテストでは、Galaxy S24 Ultraのシングルスコアは2186、マルチコアスコアは6659だったとのこと。A17Proチップを搭載したiPhone 15 Proのシングルコアスコアが2920、マルチコアスコアが7186だったことと比較すると、Galaxy S24 UltraはiPhone 15 Proより少し落ちますが、MakeUseOfは「Galaxy S24 Ultraは熱管理がより優れているので、高パフォーマンスがより持続します」と報告しています。

実際にGalaxy S24 UltraはS23 Ultraよりも内部の冷却機構が大きくなっていることが判明しています。



◆AI機能

Snapdragon 8 Gen 3の恩恵を受けているのがAI機能で、Galaxy S24 Ultraには「Galaxy AI」が搭載されています。Galaxy AIは「テキストと翻訳」「写真編集」「検索」という3つの作業を処理するAIスイートです。AIは基本的にデバイス上で行われるので、インターネットに接続する必要はないとのこと。

The Vergeは、日本語を話せる同僚との通話でGalaxy AIによるライブ翻訳を使用したそうですが、会話を適切に翻訳してくれるので短い会話には最適だと述べています。ただし、話し言葉がカジュアル過ぎるとあまりうまくいかない場合もあったとのこと。

EngadgetはGalaxy AIによるライブ翻訳について「旅行中のいざという時に使うには十分ですが、言葉の選択や会話のペースなどの点に少し違和感があるかもしれません。特に通話中ではAIの処理が追い付くのを待たなければならない場合があり、エクスペリエンスは少しぎこちなく感じました」と評価しています。

また、Galaxy S24 Ultraには、画像やテキストをなぞったり丸で囲ったりするだけで検索できる「Circle to Search(かこって検索)」が搭載されています。どのメディアもこの「かこって検索」を高く評価。MakeUseOfは「検索対象を迅速かつ正確に調べることができるので、他の形式の検索はもはや時代後れ」とまで豪語し、The Vergeも「『かこって検索』に慣れた今では、古い方法に戻りたくはありません」と述べています。



◆カメラ

Galaxy S24 Ultraには以下の5種類のカメラが搭載されています。

・メインカメラ:200メガピクセル・f/1.7・光学式手ブレ補正

・3倍望遠カメラ:10メガピクセル・f/2.4・光学式手ブレ補正

・5倍望遠カメラ:50メガピクセル・f/3.4・光学式手ブレ補正

・超広角カメラ:12メガピクセル・f/2.2

・自撮りカメラ:12メガピクセル・f/2.2

前世代モデルのS23 Ultraと比較すると、10倍望遠カメラが廃止されてより高解像度の5倍望遠カメラに置き換えられている以外は同じ。さらに内蔵されているGalaxy AIとの組み合わせにより、撮影した写真の編集をその場で迅速かつ簡単に行えるのが魅力だとXDA Developerは述べています。



MakeUseOfは「解像度が上がったものの、照明条件が厳しい状況では一貫性が低下し、全体的にはS23 Ultraよりも安定性が下がっているように感じられました」と報告しています。ただし、この不安定さはソフトウェアが原因であり、将来的には必ず解決されるだろうとMakeUseOfは推測しています。

Apple関連のニュースサイトであるMacRumorsは、iPhone 15 Pro MaxとGalaxy S24 Ultraでカメラの比較を行っており、その結果をムービーで公開しています。

Camera Comparison: Samsung Galaxy S24 Ultra vs iPhone 15 Pro Max - YouTube

以下は左がiPhone 15 Pro Max、右がGalaxy S24 Ultraで撮影した写真。両デバイスのメインカメラで、同じ照明条件で撮影したものを見比べると、Galaxy S24 Ultraの方が明るく鮮明に写っている印象。



曇天下で薄暗い屋外を撮影した風景写真。Galaxy S24 Ultraの方がiPhone 15 Pro Maxよりも色合いが暖色に寄っているように見えます。



夜中に照明で照らされた建築物を撮影したところ。Galaxy S24 Ultraの方は光がやや抑えられ、建築物のタイルの模様がはっきりと表現できています。



MacRumorsは「Galaxy S24 Ultraの方が暗い場所でもきれいな写真を撮ることができる」と評価していますが、Galaxy S24 UltraはAIによる処理のせいでやや鮮明すぎる写真が撮れる傾向があるとも述べています。



iPhone 15 Pro Maxの30倍のデジタルズームで船を撮影した写真と、Galaxy S24 Ultraの25倍デジタルズームで船を撮影した写真。



さらにGalaxy S24 Ultraは100倍デジタルズームも可能ですが、MaxRumorsは、100倍デジタルズームになるとさすがによく撮れているとはいえないと評価。ただし、日常的に100倍デジタルズームで撮るようなケースがあるのかはわからないとしています。



◆バッテリー

Galaxy S24 Ultraのバッテリー容量は5000mAhで、電力効率の向上によってバッテリー寿命は前世代よりも延びているとされています。Engadgetによると、ローカルで動画を再生してバッテリーの持ちを検証したところ、持続時間は24時間19分で、S23 Ultraよりもバッテリーの持ちが4時間以上伸びたとのこと。使用状況によっては、充電せずに2日間使うことができたそうです。



The Vergeがテストしたところ、ディスプレイの常時表示による1日のバッテリー使用量は約7%だったとのこと。1日中軽く使用した場合は就寝時のバッテリー残量が50%、ディスプレイを5時間以上オンにした日だと就寝時のバッテリー30%ほどだったそうです。The Vergeはバッテリーの持ちについて、「最近の主力携帯電話としては平均的ですが、全体的にバッテリーパフォーマンスがもう少し優れていればと思います」とコメントしました。

充電について、Galaxy S24 UltraはUSB-Cケーブルによる45Wの有線充電、Qiによるの15Wワイヤレス充電が可能。しかし、The Vergeは「MagSafeに対応したQi2に対応していないのは本当に残念」と述べています。この点については、XDA-Developerも同様の意見を述べており、「Samsungは明らかに時代に乗り遅れています」と手厳しいコメントを残しています。