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 メスト・エジル。2014年ワールドカップ優勝メンバーであり、ドイツ・ゲルゼンキルヒェン生まれのトルコ系移民3世のプレーメイカーは、ドイツにおける多民族統合の象徴的存在として非常に高く評価され、それは名誉ある『バンビ』賞の受賞などでも表されている。ただその一方でエジルはドイツ国歌を斉唱することはなく(代わりにコーランを唱えていた)、また2018年にイルカイ・ギュンドアンと共に、トルコのエルドアン大統領との写真を撮影に応じてからは、世間の反応は冷ややかなものへと変わっていってしまった。

 そんなエジルの背景について追っているのが同じくアフガニスタンのカブール出身でドイツでジャーナリストを務めている、ケスラウ・ベローズ氏、「私の目からみてエジルは、生涯を通じて常に、2つの椅子の間に、座り続けていたような印象がありますね」と、キッカーとのインタビューの中で語った。ポッドキャスト「Cui bono」などで知られる同氏は、作家のカリム・ハッタブ氏とともにエジルの人生を通して手がかり模索しており、「このことを通じて、私たちが住んでいるこの社会について伝えたかった」とコメント。

 最終的にはエジル本人と直接話をすることはできず、またポッドキャストシリーズのリリース後も特に連絡はないそうだが、2018年以来初めて父親のムスタファ・エジルのインタビューに成功、さらにゲルゼンキルヒェンの学校の元教師などの仲間との話を聞くなど、「エジル自身を理解することはできません。ただ我々にできることは、彼に少しでも近づくことでした」と振り返る。「そもそもエジル自身、彼は自分自身の人間性について、あまり明かすことはありませんでした。彼がサッカー選手であること、そしてドイツ統合の象徴とされたという事以外、我々は彼についてほぼ知らないといえると思います」

 2023年のエジルはさらに、ネガティブな内容で注目を浴び続けている。フィットネストレーナーと共に撮影された上半身裸の写真からは新しいタトゥー、それもトルコの右翼過激派グループ『灰色の狼』のタトゥーが確認された。「私の見方では、メスト・エジルとは生涯を通じて、2つの椅子に座るようにされ、そして今は2つの椅子から共に追い出されようとして、その間に座り続けている人物です。自分がどちらに属しているのか、彼自身判断がつかないのかもしれませんが、ただそれでも彼が右翼過激派暴力組織のタトゥーを入れて現れたら、それがトルコでどのように見られるものか。それ以前に著名なサッカー選手としてそういう組織との関わりについて、それは自分で判断すべき事ではないでしょうか」