京東集団の7〜9月期の売上高は前年同期比1.7%の微増にとどまった。写真は北京の本社ビル(同社ウェブサイトより)

中国の電子商取引(EC)大手、京東集団(JDドットコム)の業績が伸び悩んでいる。

同社が11月15日に発表した2023年7〜9月期決算では、売上高が2477億元(約5兆1550億円)と前年同期比わずか1.7%の伸びにとどまった。純利益はストックオプションや投資損益などを控除・調整した非アメリカ会計基準(非GAAP)ベースで、前年同期比6%増の106億元(約2206億円)だった。

ネット通販の販売収入が減少

7〜9月期の業績が伸び悩んだ主因は、総売上高の8割近くを占める(ネット通販事業による)商品販売収入の減少だ。決算報告書によれば、売上比率が大きい(スマートフォンなどの)コンシューマー用電子機器や家電製品の販売が振るわず、7〜9月期の商品販売収入は前年同期比0.9%の微減となった。

京東集団のCFO(最高財務責任者)を務める單甦氏は、7〜9月期の商品販売収入が減少したことについて、「前年同期の数字が良かったことも関係している」と決算説明会で釈明。さらに「日用雑貨カテゴリーの需要回復が遅れており、(7〜9月期の)売り上げが2.3%減少したことも影響した」と述べた。

商品販売とは対照的に、京東集団の7〜9月期のサービス事業収入は523億9400万元(約1兆904億円)と前年同期比12.7%増加。好調な物流事業が牽引車になり、総売上高に占めるサービス事業収入の比率は21.2%と過去最高を記録した。

事業セグメント別の業績を見ると、リテール(小売り)部門の7〜9月期の売上高は2120億5900万元(約4兆4132億円)と前年同期比0.06%減少。京東集団全体の成長ペースを下回った。

一方、ロジスティクス(物流)部門の売上高は416億6300万元(約8671億円)と前年同期比16.5%増加。そのうち(グループ企業を除く)外部顧客からの収入が全体の72%を占め、直前の4〜6月期から2.8ポイント上昇した。


京東集団は中国全土で1600カ所超の大型倉庫を運営している。写真は雲南省の物流センター(同社ウェブサイトより)

京東集団が保有する物流関連施設の資産規模は、2023年9月末時点で1486億元(約3兆926億円)に上り、前年同期比17%増加。中国国内で運営する大型倉庫は1600カ所を超えた。

グループCEOが直接舵取り

7〜9月期の決算発表と同時に、京東集団はグループCEO(最高経営責任者)の許冉氏がリテール部門のCEOを兼務する人事を発表。リテール部門の前CEOの辛利軍氏は、社内の別のポジションに異動した。2023年5月にグループCFOからグループCEOに昇格した許氏は、今回の人事で京東集団の中核事業の舵取りを直接担うことになった。


本記事は「財新」の提供記事です

背景には、リテール部門の成長トレンド復帰が難航していることがあると見られている。リテール部門の売上高の前年比成長率は、2021年の24.8%から2022年は7.3%に減速し、2023年1〜3月期は前年同期比2.4%のマイナス成長を記録した。

その後、4〜6月期は同4.9%のプラスに転じたものの、7〜9月期は再びマイナスに逆戻りした格好で、テコ入れが急務になっていた。

(財新記者:包雲紅)
※原文の配信は11月16日

(財新 Biz&Tech)