ブライトンがアヤックスに2-0で勝利した。

 開始15分、高い位置でFWシモン・アディングラが相手のパスミスを逃さず奪うと、ショートカウンターからFWアンス・ファティが決めて先制。後半53分には、今度はファティが中盤から運んで相手を惹きつけながらアディングラにパスを供給し、これを右足で落ち着いて決め2-0とした。

 以降はアヤックスの反撃も受けるが、ブライトンはなんとか防いでグループBの2位をキープ。フル出場の三笘薫は「まあ、勝つことが大事なので。ほんとによかったと思います」と試合を振り返った。

 その口ぶりからは、結果以外のことには満足していない、ということが伝わる。


三笘薫は過密日程をこなしながら代表活動へ photo by AFLO

 三笘自身の見せ場は68分、自陣からのFWジョアン・ペドロのスルーパスに抜け出し、最後は状況を確認しながら左足シュートを選択。だが、これは大きく枠を外れた。

「正確にパスで決めればよかったですけど、相手も見えたんで、打っちゃったほうがいいかなと思いましたけど......ちょっと乗りきらなかったですね」

 すでに2-0の状況だったが、追加点とはいかなかった。

 ただ、ブライトンは結果よりも、この試合だけで3人も負傷者を出したことが気がかりだ。

 ひとり目は8分、三笘のうしろでプレーするSBジェイムズ・ミルナーが自ら退き、ふたり目はハーフタイムにCBルイス・ダンクが、3人目は後半20分から出場したDFペルビス・エストゥピニャンがわずか12分後に交代した。

 三笘は「ちょっとわかんないですけど、そういう時期(ケガ人が増える時期)だと思いますし、でも、なんとかやってくしかない」となんとも言えない様子で話した。

 そして三笘自身も、ケガは覚悟のうえでプレーしていることを明かす。

「いつケガするかもわかんない状態なので、難しいところもあります。だけど、ケガしたらもう、やっていくしかないかなと思います」

【W杯予選の移動による疲労と時差ボケが選手の敵】

 三笘は10月の日本代表の活動を体調不良でキャンセルした。それでもブライトンではフル出場5試合、11月に入ってもこのアヤックス戦を含めて2試合フル出場している。

 強度も高く、移動の疲れもあるなかで、この試合数。もちろん三笘よりも多い試合数をこなしている日本代表メンバーもいるが、それでも苦しい状況は想像に難くない。

 ただ、単純な疲れが溜まっているかというと、そういうわけでもないとも言う。

「疲れっていうか、毎試合100パーセントでうまく調整できているっていうわけではないですけど、70パー、80パーでしっかりと作れてはいますね」

 完璧な状態まで高めることはできていないが、及第点は出ている──という認識だろうか。

「僕も100(パーセントのパフォーマンスを)出そうとはしていますけど、ピッチに入ったら意外と動かなかったりするってだけ。それは"あるある"のことなので。まぁ、そのなかでどれだけいいプレーができるか、だと思います」

 あるある、とは言うものの、やはり簡単ではなさそうだ。

 過密日程をこなしたうえで、週明けには日本代表の活動が始まる。

 今回11月に行なわれるのはワールドカップ・アジア2次予選。大阪でミャンマー代表と戦い、そのあとサウジアラビアのジェッダに移動してシリア代表と戦う。

 対戦相手そのものよりも、移動による疲労と時差ボケが選手の敵となる。

「負けられない試合なので。全員で力を合わせて勝つことが大事かなと思います」

 全員の力で、という言葉は綺麗事でもなんでもない。少しずつ負担を分担しあうという意味で、全員で力を合わせることは、思いのほか重要なことになる。

 今の代表選手たちは、以前の世代に比べて、連戦の疲労や代表活動のリスクを臆せず口にするようになった。レベルの高いクラブに所属する選手であればあるほど、試合数は増え、ケガのリスクも増える。

 ワールドカップで結果を出すことを求めて多くの代表マッチを重ねても、その前に負傷者が続出しては元も子もない。簡単に解決法が出るわけでもないが、有識者や関係者たちはこの状況に頭を悩ませているだろう。

 日本代表における欧州組の割合が過去最高になっている今、この日の三笘を見て招集を含めた活動方針はなんらかの転換点を迎えていると、あらためて考えさせられた。