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漫画家の倉田真由美さんが10月26日、自身のX(旧ツイッター)で、夫・叶井俊太郎さんが中学生の自転車にぶつかられて転ぶ被害にあったと投稿した。

倉田さんのXによれば、「自転車で突っ込んできた男子中学生にぶつかられ転び、脚を怪我した夫。骨折とかはないけど、ひどい打ち身で歩くのに支障が出るほど」の事故だったという。相手の中学生は「すみません!」と言って、そのまま走り去ってしまったそうだ。

詳細は不明だが、どのような法的責任を問えるのだろうか。冨本和男弁護士に聞いた。

●刑事責任は?

--自転車によるひき逃げ事故ではどのような刑事責任が問われる可能性がありますか

冨本弁護士: 道路交通法上、自転車は「軽車両」であり「車両」の一種です(同法第2条1項8号・11号)。自転車の運転者は、交通事故を起こした場合、直ちに運転を停止し、負傷者を救護し、道路における危険を防止する措置を講じる必要があります(同法72条1項前段)。

また、自転車の運転者は、警察に交通事故が発生した日時・場所・交通事故の具体的状況・自身が講じた措置等を報告する必要があります(同法72条1項後段)。

違反した場合には「1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金」(同法117条の5第1項1号 救護義務違反)・「3月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金」(同法119条1項17号 報告義務違反)であり道路交通法違反という犯罪になります。

怪我をさせた場合には、過失傷害の罪にも当たります(刑法209条)。

したがって、事故が発生すると当事者は気が動転するものだと思いますが、自転車事故でも110番する必要はあります。事件後でも110番をすることはできます。

今回、中学生によるひき逃げが疑われる事故だったとのことですが、年齢までは不明です。刑事上の責任は、14歳未満は処罰されません(刑法41条)。

14歳以上であった場合には、刑事責任が問われますが、処分なし、保護観察処分となることが多いと考えられます。ただし事故の状況によっては、家庭裁判所で少年審判を受けて保護観察や少年院送致といった処分を受ける可能性はあります。

●民事上の責任を問うことはできる?

--ひき逃げした中学生、その親に対して民事上の責任を問うことはできるのでしょうか?

冨本弁護士: ひき逃げした中学生、その親に対しては、民事上、損害賠償を請求することができます。

まず、ひき逃げした中学生は過失によって他人に怪我をさせ損害を生じさせているわけですから民事上の不法行為となり、損害賠償責任を負います(民法709条・710条)。

中学生とはいえ、自分の行為の責任を弁識するに足りる知能(民法712条)を備えていれば責任を負います。

親自身がひき逃げしたわけではありませんが、親には子どもの監督義務があり、監督を怠り、その結果、子どもが他人に怪我をさせたといえるような場合、損害賠償責任を負う可能性があります(民法709条・710条)。

【取材協力弁護士】
冨本 和男(とみもと・かずお)弁護士
債務整理・離婚等の一般民事事件の他刑事事件(示談交渉、保釈請求、公判弁護)も多く扱っている。
事務所名:法律事務所あすか
事務所URL:http://www.aska-law.jp