「凡人」が陥りがちな、「得意」と「好き」の大きな勘違いについて、国民的エンターテインメントプロデューサーとして活躍中のつんく♂氏が解説(写真:マハロ/PIXTA)

シャ乱Qとして「シングルベッド」「ズルい女」などのミリオンセラーを連発、「モーニング娘。」のプロデューサーとしても「LOVEマシーン」が176万枚以上のセールスを記録し、「歴代作曲家シングル総売上ランキング」(オリコン調べ)でも歴代5位にランクインしているつんく♂氏。

「ハロー!プロジェクト」をはじめ数々のヒットやプロデュースの成功から「天才」と評されることもあるつんく♂氏だが、「僕は『天才』ではなく『凡人』。でも、『凡人』だからこそ『天才』を凌駕できる、そこに『人生の突破口』がある」という。

つんく♂氏が3年かけて「自分の中に眠れる才能を見つけ、劇的に伸ばす方法」をまとめた新刊『凡人が天才に勝つ方法』が遂に発売され、たちまち大増刷するなど、早くも話題を呼んでいる。

国民的エンターテインメントプロデューサーとして幅広く活躍中のつんく♂氏が「『得意』と『好き』の大きな差」について解説する。

「得意なこと」と「好きなこと」には大きな違いがある


人間が「天才」「凡人」2種類に分けられるとして、その多くの人は「凡人」です。

僕もその凡人の一人であるということは新刊『凡人が天才に勝つ方法』の中で説明してあるのですが、それはさておき。

「凡人」はさらに2種類に分類されます。「プロ」「アマチュア」です。

人生、食べて行くには何かのプロでなければ、お給料など収入を得られません

お金を稼ぐ以上は、たとえアルバイトであっても、ある種のプロと考えるべきです。

アマチュアは売り上げ(お金儲け)につながらなくってもいいのです。

今回は、この「プロ」のお話を前提に、「得意なこと」「好きなこと」の違いに気がつくことで「成功」への導線が変わるというお話をさせてください。

「得意なこと」「好きなこと」これらは一見、同じような意味にも見えますが、「得意」と「好き」は大きな違いがあります。

では、「得意」と「好き」との大きな違いはどのようなものでしょうか。

たとえば、実家が中華料理屋で、「僕、餃子つくるの得意です!」という人がいたとします。最初はほかの人に比べて有利ですから、餃子づくりはトントントンと進むでしょう。

「得意」は長続きしないが、「好き」は迷いがない

でも、いくら得意でも、餃子をつくるのが好きでなければ、途中で飽きて嫌になってきます。次第に「俺、何をやっているんだろう」というような思いになっていってしまいます。

一方、「僕、餃子をつくるのが好きです!」という人はどうでしょう。

最初は下手の横好きかもしれませんが、「好きなこと」なので嫌がることもなく、続けることができます。研究しながら、ああだこうだと毎日毎日、飽きることなくチャレンジします。

最終的には「得意な人」より「好きな人」が結果を出し、年月が経つほどその差が開いていきます。これが 「得意」と「好き」の大きな違いです。

さらに、「好き」を主軸に生きていると、迷いがなくなります

たとえば、流行りのものがあったとします。そんなときは、みんなが流行りのもののほうに向いたら、一緒に追いかけたくなって、みんなと同じ方向に走り出してしまうのが人間の心理です。

とくに日本人は、「人と違うこと」をしていると不安になる国民性みたいなものがあります。

また、仕事でも勉強でも趣味でも、中途半端な気持ちのまま、親や先生に「こういう経験もしておかなければダメだ!」なんて言われて、流されてやっているとき、隣で楽しそうなお祭りみたいなことが始まったら、そちらに行きたくなりますよね。

それは 「迷い」があるからです。

しかし、「これをやりたい!」「いま楽しい!」と、何をするにもあなた自身が「好き」と思うことが主軸になっていれば、これに勝るものはありません

そういう思いがあれば、まわりが何をしようが、何が流行っていようが気にならないし、流されることはありません。

とことん「好き」を追求すると、「凡人」でもプロになれる

「凡人」にとって大事なこと。それは、「得意」と「好き」を間違えないこと。そして、「好きなこと」をとことん追求することです。

天才じゃなくても、人は「好きなこと」をする権利をもっています。人間、好きなことなら、情熱をもって取り組めます夢中になれます

また、「好きなこと」なら他人が面倒と思うことも、嫌なことも疲れることも、続けることができます。

僕も音楽やライブが大好きだったから、イヤイヤつらい努力をしたという記憶はありません。ずっと続けてこれました。

「好きこそものの上手なれ」です。「好きなこと」で自分の能力を伸ばすのは、「得意なこと」で能力を伸ばすより、はるかに「成功」への近道

あなたも、「得意なこと」よりも、「好きなこと」をとことん追求してみてください。

そうすることで、あなたもいつの間にか「天才」を超える「プロ」になれるはずです。

(つんく♂ : 総合エンターテインメントプロデューサー)