カウンターキッチンにしたいけど…スペースがとれない。そんな問題を見事に解決した事例を紹介します。昨年、ハウスメーカーで家を建てた日刊住まいライターは、ダイニングとの間に設けた腰壁の上の板(笠木)を20cm延ばして35cmに。ダイニングへ料理を運ぶ一時置きの場所としてだけでなく、食事をする場所としてや、ワークスペースとしても活用できています。そして家族のコミュニケーションの場にも!

新しい家で、できあがった料理をカウンターに並べたい!

筆者はフルタイムの共働き夫婦と、息子1人(3歳)の3人家族。去年、ハウスメーカーで2階建て、延床面積32坪の家を建てました。それまで住んでいたのは、賃貸のアパート。子どもが歩けるようになり、気をつかわずにのびのび育てたいというのがきっかけでした。

筆者の家では夫婦ともに料理をつくります。筆者は人より多くご飯を食べるからか、普段から料理をたくさんつくりがち。そのつくった料理を、カウンターに並べたい! とカウンターキッチンをつくりたいと考えていました。

 

カウンターの代わりに腰壁の上の板を広げる提案が!

上の図面は、初回打ち合わせ時のものです。じつは、まだこの提案がされたときは「カウンターキッチンにしたい」ということを、ハウスメーカーの設計担当者へは伝えていませんでした。ですから、ダイニング側から対面キッチンの手元を隠す腰壁があるのみ。

要望を伝えると、こちらの間取りでキッチンにカウンターをつけるのは難しいとの回答が。理由は以下のことからです。

・この図面にカウンターを加えると、それなりの幅が必要になる
・ダイニングとの間もあけなければならなくなる
・そうするとソファとダイニングテーブルの間の通路が確保できなくなる

 

それでも諦めず、どうにかならないか相談したところ、キッチン前の腰壁上部にある木の板(上の図面の赤枠部分。笠木という)の幅を広くすることを提案されました。

これなら、腰壁の厚さ分も利用でき、新たにカウンターを設置するよりスペースが省略できます。

20cm延ばすだけでカウンターとして使える!

この腰壁の上の板(笠木)の本来の用途は、リモコンや調味料入れを置くなど、こまごまとしたものを一時置きできるスペース。一般的に幅は15cmだそう(当初の提案もこのサイズ)。です。しかし、新たに提案されたのは幅を20cm延長した35cm(写真)。

ネットで施工事例などを調べてもほとんどなく、実際に住んでみるまで、どういうものになるのか不安でした。

打ち合わせを何回もこなしていくうちに、妻から、「これいらないんじゃない?」と言われたこともあります。

 

写真のように幅が35cmあると、A4サイズの紙がそのまま置けます。これなら、カウンターとしての役割を果たせそうです。

 

20cm延ばして正解!コミュニケーションの場にも

そんな経緯でカウンターを断念し、腰壁の上の部分を延ばす案を採用。この延ばした板が見事にカウンターの役目を果たしてくれているのです。

住み始めてまだ1年ですが、ダイニングテーブルは購入していません(代わりにアパート住まいの頃に使っていたローテーブルで食事をしています)。そして、ダイニングテーブルを置く予定だったスペースに、写真のようにハイチェアのイスを2脚を置いています。

腰壁の上の板を延長したことで、食事をとることも可能(仕事で遅く帰ってきたときは、この場所を利用)。また、できた料理をこの上に置き、ローテーブルへとラクに並ぶことができます。15cm幅では料理を置くと落ちないか不安になりますが、35cm幅だと3人分の料理が、問題なく並べることができています。

キッチンをフルフラットにして、カウンダ―をつくっていたら、洗い物による水はねが気になったと思います。しかし、立ち上がりで高さをつけることで、食事や作業をしていても、その心配はほぼなし。

夫婦のどちらかが料理をつくるっているとき、対面のイスにもう一方と子どもが座って見守りながら会話をすることも。家族でのコミュニケーションの場として大いに活用しています。

この場所で執筆も!スマホやiPadの充電スペースとしても便利

腰壁の横幅は180cmのため、最大で大人3名まで横並びで座ることが可能。将来的にイスを1つ増やして3人横並びで食事をしたり、子どもの宿題を見ながら夫婦で作業したりできそうです。

上の写真のようにノートパソコンを置くこともできます。ですから、子どもが寝たあとにこの場所で執筆作業をすることも。キッチンのIHコンロ側の壁に、2口コンセントをつけたことで、スマホやiPadの充電スペースにもなっています。

筆者も住み始めてからまだ1年。子どもが大きくなり、この場所を使って勉強でもするようになれば、イス取りゲームが始まるかもしれません。