家づくりのあとに後悔することが多い、収納にまつわるさまざまなこと。造作にして、どこまでつくり込むべきかも悩むポイントです。2年半前に注文住宅を建てた日刊住まいライター。整理収納アドバイザーの資格を持ち、現在は夫と長女(4歳)と3人で暮らしています。自邸での「造作と置き家具の使い分け」は、なにを基準に決めたのか。また、暮らしてみての使い勝手について語ります。

造作収納は、将来の変化に影響しない場所に採用

筆者は家づくりをする際、収納スペースの計画を念入りに立てました。造作家具にするか? 置き家具を採用するか?

出した結論は、「基本的に造作収納は、家族のライフスタイルが将来変化したとしても、フレキシブルに使い続けられる用途がありそうな場所だけにつくる」というものでした。

造作収納のメリットは地震に強いこと、家とインテリアを合わせやすいこと、そして、掃除がしやすいことではないでしょうか。一方、デメリットとしては動かせないこと、そしてハウスメーカーにもよりますが、(置き家具で対応したときに比べて)コストアップになりやすい点です。

以下に、筆者が新居で造作家具を採用した場所を紹介していきましょう。

 

●リビング隣の畳スペースにつり下げ式収納を

たとえばわが家では、リビング横の畳スペースに、つり下げ式の造作収納をつくりました。娘の手の届く、収納内の下の位置に、娘の文房具類を入れています。

一方上段には、ふるさと納税で大量に届くティッシュなどのストック、ウエットティッシュやマスクなどのストックをまとめています。以前は娘のオムツ類もここに入れていました。

おそらく娘の文房具類は、成長とともに置き場所が変わるでしょう。しかし、容量のある日用品のストックは、今後も変わらずリビング近くに置き場所が必要なはず…。そう考え、この場所に大きい造作収納を設置したのです。

ちなみに引っ越し当初はここに、家具や家電の説明書などの書類も収納していました。2年半暮らして、もっとよい場所を見つけたので、今は別の場所に収納。

造作収納の中身は、なにをしまえば便利になるのか、ときにはものを入れ替えるなどして最適化を心掛けています。

リビングの近くに容量が大きめの収納場所があると、やはり便利ですね。家づくりで想定していたように、リビングでのありがちなちょい置きをなくすことができました。おかげでリビングはいつもすっきり。

 

●2階廊下につくりつけの本棚を

わが家の造作収納の事例をもうひとつ。それは、2階廊下にある本棚です。ここには思い出のアルバムや、筆者が好きなアーティストのグッズなどを置いています。棚の高さが変えられた方が便利なので、可動棚を採用。

この廊下のちょっとしたフリースペースは、思い出のものや見る頻度の低い本などを置こう。そう、家づくりの際に決めた場所。将来ライフスタイルが変わっても、ここに置くものは、大きく変化しないと考えたため造作収納にしました。

置き家具収納は、将来しまうものが変化する場所で採用

一方で、「将来、収納するものが大きく変わりそうな場所」については、置き家具で対応することにしています。

置き家具収納のメリットは、気分で変えられたり、ものによって低価格で設置できたりするところです。デメリットは、地震がきたときに倒れやすいこと、そして家具の裏(たとえば、壁とのすき間など)にホコリがたまりやすいことなどが考えられます。

 

●家族の衣類収納には市販の置き家具を活用

わが家が置き家具を活用している場所を紹介していきましょう。まずは、家族の衣類を置いているクローゼット内です。

ここには、ハンガーポールのみ壁づけしていて、あとは置き家具を活用して衣類を収納しています。将来家族が増える、あるいは、成長とともに娘の衣類を入れなくなる可能性を考慮。造作収納にはしませんでした。

筆者用、夫用、娘用と、家族それぞれ向けにチェストやカラーボックスを用意。収納したいものが変わったとしても、置き家具を変えることで対応できるようにしています。

 

●オモチャ、絵本は手軽なカラーボックスで対応

次の例は、リビング隣の畳スペースに置いた、オモチャ&絵本収納のためのカラーボックスです。娘のものは成長とともに変化していくもの。この手のものを収納するのには、ほぼ置き家具で対応しています。

たとえば将来、ここに娘のものを置かなくなったら、置き家具を撤去…。これで、畳スペースも広々使えますね。

 

●階段下収納では金属製の棚を活用

階段下の収納スペースも、置き家具で対応。重いものを載せても耐えられる、ガッチリとした金属製の棚を採用しています。

階段下の収納スペースには、おもに書類や掃除用具などの大きいものをある程度定常的に、そして、段ボールなどのゴミを一時保管しています。

ここは、リビングからも玄関からもアクセスしやすい使い勝手のよい収納。ライフスタイルが変われば、趣味のものを置く可能性も。そんなわけで、こちらもやはり将来的に中のものが変化していくので、造作家具は採用していません。

家づくりの時点で収納計画、新居ですっきりした生活を

このように、住む前から収納計画を立てたことで、住んで2年半、大きな後悔はなし。筆者はすっきりと生活できています。

あらかじめどこにどんな収納を置くかも事前に決めていたので、引っ越してから「ここにどんなものを収納しよう?」と迷うことはありませんでした。また「収納できずにあふれてしまう!」という事態も避けています。

家づくりをとおして整理収納アドバイザーとして、「収納は広いほどよい、というわけではない」ことを実感しました。広めの収納は確かに安心ですが、コストもかかり、ものをため込んでしまうリスクもあります。

造作にするか、置き家具にするかということを考えてプランするだけでも、効果はきちんとあるということを身をもって知ることができました。