朝、クローゼットを空けて服を選ぶとき、「服はあるのに着られる服がない」、「なにを着てもしっくりこなくなった」と思ったことはありませんか? 50代で陥りがちなファッション悩みの解決策をまとめて紹介します。

50代が「一軍の服」だけ残したクローゼットをつくる方法

元祖・節約主婦として知られ、カウンセラー・エッセイストとして活躍する若松美穂さん。クローゼットカウンセリングとファッション講座で、スタイリストに聞いたコツを教えてくれました。

【写真】きんのさんの現在のクローゼット

●「同じ服」を着てもいい

たくさんの数や種類の洋服をもたなくていいと、スタイリストさんが教えてくれました。
「本当に似合うものを、制服のように着ればいい」のだそう。
いつも同じ服だと気になるのかもしれませんが、会う人が異なれば問題なし。

実際、何度も彼女にお会いしますが、その言葉通りトップスは同じでボトムスだけ違う。同じ服でも靴とバッグ、肩にかける上着が違う。そうやって変化をつけています。髪の色とメガネを変えた…など、同じ服のなかでも、楽しい変化を見せていただいています。

ちなみに私も最近、だてメガネを活用し始めました。同じ服でも印象が変わります。

ノーメイクのときに役に立つだけではなく、シワやシミに目が行くことも適度に隠せている気がします。

●「シンプルな服」のほうが合わせやすい

ついつい、シンプルな服ばかりだとおもしろみがないのでは? たまには印象を変えてみようかな…と、つい、ひと工夫ある服を手に取ってしまいがちでした。

でも、レース・フリル・袖口やスカートにふくらみのある服など、デザイン性のある服よりは(もちろんそれが似合う人や、上手に組み合わせる人もいるとして)、自分に似合うものがよくわかっていないなのならば、「シンプルなものを選ぶ」というのが鉄則です。

すると、少ない服でも組み合わせの数が増えるとのこと。これには「たしかに!」と納得しました。とにかく組み合わせがラクになります。

●「コンプレックス」が魅力になる

次は体型のコンプレックスについて。
たとえば、お尻が大きい、胸が大きいというお悩みがあったとします。でもそれは、グラマラスという魅力にもつながります。

逆に細すぎるのに悩んでいる人は、ボリュームのある服を着ることができるということ。体型を隠すだけでではなく、その魅力を生かす方法を知ると、洋服が選びやすくなるようです。

私は胸元が薄いのと、もともと寒い地域で育ったので、胸元は隠してタートルネックなどで覆いがちでした。でも実際は丸顔なこともあって、襟元、胸元を開いた方がスッキリ見えるタイプだと判明。

そこでタートルネックは冬のゴルフ用などを残し、ほぼ処分。

好きなのに着こなせなかった「胸元があいた服」を引っ張り出して着てみたら、周囲にも好評。洋服を着こなすと同時に、自分のマイナスだと思っていた部分を好きになる感覚が新鮮でした。

50代、「なにを着ても似合わない」と思ったときにまずやるべきこと

年齢を重ねる中で、なにを着てもしっくりこない…と感じることはありませんか?
築50年越えの団地でひとり暮らしをしている、50代ブロガーのきんのさんに、「なにを着ても似合わない」と思ったときにやっていることを教えてもらいました。

 

●なにを着ても似合わなくなるのはなぜ?

・体型の変化

・肌のくすみ、顔立ちの変化

・姿勢の変化

外見は徐々に変化してきているのに、服の好みは昔のまま変わらないのも理由の1つ。また、ライフスタイルも30代と50代では違って当然なのに、服選びは以前のままだったり。40代まではなんとか誤魔化せたけれど、50代では耐えられず「なにを着ても似合わない」なんてことになってしまったのかもしれません。

でも、むやみに新しい服を買うのは危険。着る服がないから服を買う→しっくりこないので着ない→着ないから痛まず、捨てるのがもったいない→あまり着たくない服でクローゼットがパンパン、という無限ループに陥ってしまうからです。

●クローゼットから服をすべて出す

やみくもに服を購入する前にクローゼットの中身をすべて出し、自分の買いぐせ、買いすぎている服、たりない服を自覚するようにしています。大変な作業なので毎年やる必要はありません。私は服選びに迷うようになったら行っています。

手放すべき服は

・サイズが合わない服

・汚れやくたびれ感のある服

・1年以上着ていない服

・よく似ている服

・似合わない服

・自分の生活に合わなくなった服

着たい服ばかり収納されていたら、毎朝の服選びに迷うことはありません。手放すべき服は思いきって処分し、今の自分に似合う形や素材の服を選び直すようにしています。

「新品同様」「まだ着れる」服は手放し難いですね。でも主役は自分です。自分にとって「必要か」「着たいと思うか」で選択するようにすれば、答えははっきりします。まだ着れても自分が着ないなら、クローセットの場所を無駄にとるだけの不要な服なのだと考えるようにしています。

●今の自分が表現されているクローゼットが理想

今回、私も数年ぶりにクローゼットの中身を全部出しました。数年前の引越し時にかなり服を減らしたにも関わらず、着ない服が増えていました。

服を吟味し、自分が本当に着たいと思う服やライフスタイルに合う服だけに絞ったら、35着程度になりました。これで1年を過ごせるのかと言われるとまだ自信がありませんが、服を減らしたことで手持ち服の内容が理解できました。どんな服を持っているのかは、クローゼットを開けると一目でわかります。

クローゼットを開けてみて今の自分が表現されていると思えるなら、それは実用的でよいクローゼットなはず。自分の生活の中で、いちばん長く過ごすときに着ている服が似合っていて快適なら気分がいいでしょう。

50代、服選びで気をつけておきたいこと

50代の生き方にまつわる著書もある、整理収納アドバイザーでブロガーの原田さよさん(60歳)は50代から服を減らし、今では以前の6分の1の量をキープしているそう。着ない服を増やさない服選びについて教えてもらいました。

●選ぶようになった服の特徴

これからの紹介する服選びは、すべて、年齢を重ねてから思うようになったことです。50代以降は、「重たくない服」「顔映りのいい色の服」を選ぶようになっただけでなく、デザインの面でも意識するようになりました。

(1) 襟元が大きくあいていない服

襟元が大きくあいていない服を着ているのは、私がどちらかというとやせ型で、首からデコルテにかけて筋張っていて貧相だからです。若い頃はそれでも出していましたが、だんだん難しくなりました。首にシワが入りたるんできたし、デコルテのあたりの肌もカサついてシミも出てきたからです。50代後半あたりからは脂肪も落ちてきましたので、鎖骨が浮き立ってしまい、さらに老けて見えるようになりました。書いていて悲しくなりますが、事実なのでなんともしがたい。

というわけで、老けたデコルテや首が目立ってしまうのを避けるため、襟元が大きくあいた服は諦めるようになりました。その代わり選ぶようになったのが、クルーネックやボートネックなど、襟元があるていど詰まったものです。

(2) 二の腕が出ない服

また、暑い時期は半袖を着たいですが、半袖一枚で外を歩くということはもうしません。二の腕から肘にかけてダブついているし、シワっぽいからです。保湿はしてはいるものの、追いつきません。そういうわけで、トップスを選ぶときは袖丈があるものにして、半袖を着るなら上になにか1枚はおって出かけています。

(3) ひざが出ない服

ひざが出ないスカートを選ぶようになった理由も同じです。ひざもひざの上にのっている肌もかさついたりたるんだりしているから、出せません。タイトスカートなども、立ったり座ったりしたときひざが出ないか気になります。もちろんすてき維持している人もいらっしゃいますが、ズボラな私には到底無理でした。

(4) 丈が長すぎない服

逆に、スカート丈は長すぎるものも選ばなくなりました。私は普段、自宅の2階でブログやコラムを書いているので、1階と2階を1日に何度も往復します。そのとき丈が長いと階段の上り下りが怖いのです。駅やお店の階段でも同じで、怖さを感じるようになりました。

ササっと危険を回避できなくなっているのか、裾を踏んづけて転びそうになったことがあるのです。危ないと思っても、昔は無理して超ロング丈のスカートで出かけていました。でも今は、危ないと思ったら、危なくない方を選ぶようになりました。