やっと秋の気配がしてきたこの時季、「涼しくなるのと同時に食欲がモリモリわいてきた!」「秋はおいしいものがたくさんあって楽しみ」という人もいると思います。でも、「食べても食べても満足できない」というようなときは、その食欲、ニセモノかもしれません。

食べ過ぎて体重オーバーにならないために、漢方コンサルタントの櫻井大典さんが、美容家・本島彩帆里さんとタッグを組んだ最新著書『やる気1%から始める やせる養生』(Gakken刊)の中から、ニセモノの食欲について教えていただきました。

【写真】合計30kgやせた本島さん&櫻井さんの現在

がんばりすぎず、食べてやせた!

おふたりとも現在はスッキリされていますが、じつはダイエット経験者。本島さんはマイナス20kg、櫻井さんはマイナス10kgの体重を落とすことができたそうです。

ある程度我慢をしてがんばらないと、体重を落とすことは難しいのでは? まず、おふたりにやせた経緯について伺ってみました。

●“太るクセ”をやめただけでマイナス20kg

「私は10代の頃から自分の体型や肌にコンプレックスを抱えていて、いくつものダイエット法を試しては失敗し、リバウンドする…という悪循環を繰り返していました。食べる量をとにかく減らす、低カロリーのものばかり食べるなど、とにかく食事面で自分に我慢を強いることを繰り返していたのですが、それで本当に成功したことはなく…。
つらくて我慢が必要なダイエットをやめて、自分の食生活や生活習慣を見直し、日常生活のなかでの“太るクセ”を見つけて徐々にやめるよう調整していったんです。といっても“絶対にダメ!”というようなプレッシャーをかけず、“これなら私もできるかも”ということだけを実践していきました。そうしたら少しずつ体重が減るようになり、最終的に1年3か月で20kg体重が落ちていたんです」(本島さん)。

●食事制限をしていないのにマイナス10kg

「僕もがんばって必死で我慢したわけではありません。10代の頃はやせていたのですが、20代で中医学の勉強を始めた頃、友人たちと好きなものを好きなように飲んだり食べていたら、10kg以上太りました。ですが若さもあり、極端に体調が悪いこともなかったため、ヤバイともやせなければとも思っていなかったんです。ですが、中医学の先生の食養生(=食事で体を健康にする方法)の話を聞いたことで興味をもち、“せっかくだから試してみよう”と軽い気持ちで実践してみたんです。そうしたら、絶食のような厳しい食事制限はしていないのに、徐々に体重が落ちていきました」(櫻井さん)。

●「食欲の秋ですごく食べちゃう」のは、勘違いの場合も

おふたりとも、厳しい食事制限やつらい我慢をせずに体重を落とせたのですが、食欲がどうしても抑えられないときや、甘いものが食べたくてたまらないときはないのでしょうか。

「ありますあります(笑)。私は甘いもの、とくにあんこが大好きです。甘い味が欲しいときは、洋菓子より和菓子を選ぶようにしたり、スライスしたサツマイモをココナッツオイルで焼いて、ほんの少し塩をまぶして食べたりしています。“甘いものは我慢!”ではなく、食べたいなと思ったら、より栄養価の高いもの、より質のいいものを選ぶようにしています」(本島さん)。

また、「暑さで夏は食欲が落ちていたけれど、涼しくなってきたのと同時に“食べたい欲”が爆発している」「食欲の秋はご飯も甘いものもやっぱり食べちゃう」、という人もいると思います。そういうときは我慢せずに食べていいのでしょうか?

「おいしいと感じながら食べ、ある程度のところで“あ〜おいしかった”と満足する状態なら問題ありません。ですが、食べても食べても満足感がなく、定食を食べた後にハンバーガーを食べ、デザートも食べ…と、いくらでも食べられてしまうような状態だったら、それは中医学の観点から見ると“胃熱”かもしれません。過度なストレスが胃に溜まって、胃に熱がこもった状態です」(櫻井さん)。

この状態のときにいくら食べても満足できないのは、自分の意志が弱いから、我慢ができないから、という気持ちの問題ではないそうです。

「“胃熱”になる方は、仕事・学校・プライベートでストレスがあり、考え込んでしまっている状況が多くみられます。ストレスが強くかかっているせいで胃がおかしな状態になり、本当の食慾を感じているわけではないのにずっと“食べたい”と感じているのです。そのまま必要以上に食べ続けていれば、胃腸はずっと消化活動をしなければいけないので、負担がかかり、やがて不調になっていきます。もちろん急激に太りすぎになる可能性もあります」(櫻井さん)。

そういうときはどう対処すればよいのでしょうか。

「胃熱の場合、中医学の考え方では漢方薬を用いることもありますが、“清熱”という“余分な熱を冷ます作用のある食材”を摂ることで落ち着かせる、という対処法があります。たとえばトマト、ナスなどの夏野菜がそうです。果物なら柿、梨、キウイフルーツ、バナナなど。ですから、食欲を意志の力でどうにかしようと考えるよりも、まずそういう食材を食べてみてください。また、不調の原因であるストレスをどうにか軽くできないか、考えてみるのも1つの方法です」(櫻井さん)。

食べても食べてももっと食べたい感じがするときは、「ちょっとおかしいな?」と立ち止まり、“清熱”の食材をとってみましょう。

 

『やる気1%から始める やせる養生』には、おふたりが体重を落としたとき、具体的に実践していた食べ物や食べ方、生活習慣、また中医学の体質チェック、その体質や体調に合わせたオススメの食材、マッサージ法など、がんばらずゆるく実践できる方法が詳しく紹介されています。
無理のあるダイエット法で挫折しリバウンド、を繰り返してきた人は必見です。