本塁打後、ホームイン直前にキス(2022年8月30日、写真・Michael Owens/Getty Images)

 主砲のマイク・トラウトまでも怪我で離脱し、勝利が遠のくエンゼルスで、孤軍奮闘している大谷翔平(29)。とくに本塁打は、2021年の46本を上回るペースだ。

 その本塁打を打ったあとの大谷のしぐさに気づいているだろうか。2022年の秋ごろから、ホームを踏む際、左手薬指にキスすることがあるのだ。

 7月1日(日本時間、以下同)の30号でも見せたこのキスを、コラムニストの辛酸なめ子氏が読み解く。

「WBCでは指の先を舐めるような仕草があったので、そういう癖のひとつなのかなという気がします。最近の大谷さんは、爪が割れたりまめができたり、指の怪我やトラブルが多いですよね。自分自身で手を労っているのではないかと思います。右手にもキスをしてほしいですよね」

 メジャーリーグ評論家の福島良一氏は、こう解説する。

「メジャーでは、本塁打後に派手なパフォーマンスをしないことが不文律ですし、大谷のように、本塁打後に左手グローブにキスする選手は、今まで聞いたことがありません。

 日本人選手でパフォーマンスをした例は、新庄剛志くらいでしょうか。メッツ入団1年めのマーリンズとのオープン戦で初本塁打を打った際、ホームベースを右手で払うようにタッチし、のちに報復の死球を受けています」

 2023年1月に野球殿堂入りした元DeNA監督のアレックス・ラミレス氏は、現役時代に「アイーン」ポーズを取り入れるなど、本塁打後のパフォーマンスのパイオニアだ。しかし、ラミレス氏は、米国ではパフォーマンスを披露することはなかったという。

「メジャーなら、相手投手は見下されたと感じてカンカンに怒るはずだ。僕も、来日当初はパフォーマンスをすることが怖かったけれど、あるときに宮本(慎也)さんが、『子供たちが待ってるんだから、やればいい』と言ってくれて、日本の野球のベースはエンタテインメントであることに気づいたんだ」

 今では大リーグでも、エンゼルスの「カブトタイム」など、本塁打セレブレーションが定着しているが……。

「しかし、選手個人が誰かに向けてパフォーマンスをすることはほとんどない。クリスチャンの選手が、キスして天を指したり、十字を切ったりするのは、神への感謝のためだ。大谷のように、手にキスをするしぐさは初めて見たけど、これはファンに向けたものではないように思う」(同)

 その意味を、ラミレス氏はこう推測してみせた。

「大谷の左手薬指へのキスの意味は、2つのうちのどっちかだと思う。ひとつは、パートナーへの合図。もうひとつは、そんな “相手を募集中” というメッセージ。あくまで想像だけどね」

「想像だ」と語るラミレス氏だが、いい線をいっているのかもしれない。あるサッカーライターが語る。

「サッカーでは、ゴール後に薬指にキスする選手がいるんです。たとえば元スペイン代表のラウールは、妻への感謝の印として、ゴールのたびに薬指の指輪にキスするパフォーマンスを見せていました」

 事実、大谷のキス姿に悶々とする “大谷ガールズ” が続出しているのだが、恋愛に詳しいコラムニストのおおしまりえ氏はこう分析する。

「ふつうに考えると、左手の薬指へのキスは、愛しい人へのメッセージで、2人にしかわからない “お約束のジェスチャー” を表わしているのかなと思います。しかし、大谷選手が誰とつき合うのか、誰と結婚するのかということに、すごく注目が集まっていますよね。そんなにわかりやすいメッセージを出すでしょうか」

 7月12日におこなわれるオールスター。この日は、選手は恋人や妻を伴って登場するのが恒例で、ふだんはプライベートには立ち入らない米国の野球記者たちからも、突っ込んだ質問が飛び出す。

 今年は、記者たちの間で「ショウヘイに、あのキスの意味を聞いてみよう」と話題になっているという。球宴では、大谷から “重大発表” があるかもしれない。