脱・開かずの踏切! 東京圏の鉄道「高架化・地下化」どこで進んでる? 工事中から「検討中」まで
電車がどんどん来るため線路をなかなか横断できない、いわゆる「開かずの踏切」を解消するなどの理由で、各地で高架化や地下化が進められています。東京周辺では今どこで行われているのでしょうか。
どこで工事や検討が進んでいるのか
電車がどんどん来るため線路をなかなか横断できない、いわゆる「開かずの踏切」を解消するなどの理由で、各地で高架化や地下化が進められています。東京周辺では今どこで行われているのでしょうか。
浅草方面が高架化されたとうきょうスカイツリー駅西側(乗りものニュース編集部撮影)。
●西武新宿線
【検討中】高田馬場〜中井
【工事中】中井〜野方
【検討中】野方〜井荻
【検討中】井荻〜西武柳沢
【工事中】東村山周辺
高架化がある程度進んだ池袋線に対し、ほとんど地上のままの新宿線も、自治体ごとに立体化事業が検討・実施され、少しずつ生まれ変わろうとしています。中井〜野方では地下駅の空間が掘り進められている状況。東村山駅は高架駅の構造体が姿をあらわし、現線路がすっぽり覆われている状態です。
野方〜井荻、井荻〜西武柳沢は事業化準備の段階。高田馬場〜中井は、新宿区が基礎調査を始めた段階です。
●京王線
【工事中】笹塚〜仙川
都心に近いながら下町区間がつづき、朝夕は1時間あたり最大56本もの電車が行き交い、踏切がほとんど閉まった状態です。2013年に工事着手してから10年目、各所でいよいよ橋脚が立ち上がってきています。進捗著しいのは明大前駅周辺で、すでに橋桁部が空に伸びている状況です。
●京急本線
【工事中】品川駅周辺
2020年に事業着手。品川駅南側で列車が大通りをのっそりまたぐ踏切が渋滞を引き起こしているため、すでに高架化済みの新馬場駅以南へつなげる形で、高架化します。品川駅は現在の高架駅からJRと同じ地平駅に移設され、そこから地上道路へ一段上がり、さらに一段上がって高架となる線形に変わります。現在、品川駅の京急〜山手線のあいだのスペースが更地になり、駅の基礎工事が進められています。ホームは2面4線に拡張されます。
●京急大師線
【検討中】鈴木町〜川崎大師
【検討中】京急川崎〜港町
産業道路駅が2019年3月に地下化。物流の大動脈である産業道路をのっそり跨いでいき、慢性的な混雑を引き起こしていた踏切は解消となりました。あわせて駅名は大師橋駅に改称されています。
次の2期工区として、隣の東門前・川崎大師の2駅を地下化する計画があります。かつて京急川崎駅まで別ルートで地下線を引く都市計画があり、2016年に頓挫しました。2期工区をスタートさせるためには、まずこの「負の遺産」である都市計画を変更し、鈴木町駅方面へすりつける手続きが必要になっています。
さらに、京急川崎駅北側では国道409号をまたぐ「本町踏切」が渋滞を引き起こしていることから、地下化の検討が進められています。まだ国の「改良すべき踏切」に指定されていないため、道半ばと言えそうです。
駅単位の高架化もあちこちで
●東急大井町線
【検討中】戸越公園周辺
ことし2月に都市計画素案が発表され、事業化の手前まで来ています。1面2線島式ホームの高架駅になる予定です。
「開かずの踏切」が連続する東急大井町線の戸越公園駅(画像:東京都)。
●JR南武線
【検討中】武蔵小杉〜矢向
向河原・平間・鹿島田の3駅が高架化され、国指定の11か所もの「開かずの踏切」が解消されます。事業化の準備段階である都市計画決定と環境アセスメントの手続きの両方が進行中です。早ければ2024年の事業着手、そこから約16年での完了が見込まれています。
●相鉄本線
【工事中】鶴ヶ峰周辺
地下化工事が昨年11月に着工。現在と同じ2面2線の相対式ホームの計画で、完成は2033年度の予定です。朝夕を中心に1時間あたり40分以上遮断されている「開かずの踏切」状態が解消されます。
●京成本線
【検討中】京成高砂周辺
昨年12月に国の「立体交差化すべき踏切」に指定され、事業化にはずみがついている状況です。複数路線が乗り入れるうえ車庫が併設されている重要拠点で、しかも駅構内扱いということで列車が到着する手前から踏切が閉まり始めるため、遮断時間が長く街が分断状態でした。
●京成押上線
【工事中】京成立石周辺
完成すれば、四ツ木から青砥までがすべて高架区間となります。現在は青砥方面の仮地上線を作っている状況。線路をいったんずらして、原位置に高架を建設します。現在と同じ2面2線の相対式ホームの計画で、2030年度末完成予定です。
東武やJRでも事業が進行中
●東武スカイツリーライン
【工事中】とうきょうスカイツリー周辺
【検討中】鐘ヶ淵周辺
【工事中】竹ノ塚周辺
【工事中】春日部周辺
竹ノ塚駅は高架化開業済みで、踏切も撤去。後始末として引き込み線などの工事が続けられています。とうきょうスカイツリー〜曳舟では地上区間がまだ残っており、開かずの踏切となっていましたが、浅草方面が高架化完了。反対側の工事が進められています。春日部駅では、まずは線路移設スペースを確保するため、東口駅舎が2月に閉鎖・移設されています。
鐘ヶ淵周辺は、事業化のめどをつける前段階である「地区まちづくり」の策定が進められています。実現すれば、浅草から荒川付近まで丸ごと高架となります。
大山駅前の商店街を抜けていく東武東上線(乗りものニュース編集部撮影)。
●東武アーバンパークライン
【工事中】野田市周辺
野田市駅の高架化は2021年3月に完了。現在は、駅を2面4線にする工事が進められています。高架化で11か所の踏切が廃止されました。
●東武東上線
【事業中】大山周辺
交差する都市計画道路「補助第26号線(鮫洲大山線)」の整備とあわせて行われる事業です。この道路は線路を挟んでぶつ切りになっていますが、完成すれば中山道から豊島区南長崎まで広い道路がつながり、将来的には中野通り、目黒本町、大井町方面へ直結する計画です。
昨年7月に事業着手。完成は2030年度の予定です。現在と同じ2面2線の相対式ホームで高架化されます。アーケード商店街をはじめ駅前の下町情緒は一変することになりそうです。「開かずの踏切」状態だった沿線8か所の踏切が除却されます。
●JR埼京線
【工事中】十条周辺
2020年に事業着手。完成は2030年度の予定です。現在と同じ2面2線の相対式ホームで高架化されます。下町然としていた駅前は一気に再開発の波を迎え、すでに西口はほぼ更地になり、タワーマンションがニョキニョキと姿を現しています。