長年「いつでもどこでもいる飛行機」のイメージですが…。

1983年にデビュー、97機を使用

 ANA(全日空)で運用されている旅客機のひとつである「ボーイング767」が2023年6月21日、就航40周年を迎えました。現在同社では24機の767を保有し、国内・国際、そして貨物専用便でも運航しています。同社にとって、767はどのような機体なのでしょうか。


羽田空港で実施されたANA「767 40周年記念イベント」(2023年6月21日、乗りものニュース編集部撮影)。

 ANAではボーイング767を1983年に導入。同年6月21日には、羽田〜松山線で国内線定期便へ就航させました。767はANA機が現在の「トリトンペイント」の機体塗装となった最初の飛行機であるほか、初の2人乗務での運航を可能とした、低燃費・低騒音のハイテク機として導入されたとのことです。

 同社がこれまで保有してきた767シリーズはのべ97機。初期タイプの767-200を25機、胴体延長タイプの767-300を34機、胴体延長と航続距離延長を図った767-300ERを33機、貨物専用機である767-300Fを5機保有してきたといいます。

 また、とくにANAにおいて767は、国際線に革新をもたらした存在でもありました。

 いまでこそ、洋上を長く飛ぶ国際線では、双発機が使用されることが一般的ですが、767がデビューするまでは、航続距離的には十分だとしても、エンジンの信頼性が低いため、60分以内に着陸できる空港がある範囲しか飛べないという制限がありました。そのようななか1985年に767は、双発機で初めてこの制限を超える能力を持つと認められ、この制限緩和の”第1号機”となりました。

「いぶし銀の革命児」767、パイロットからの評価は?

 日本では1989年、最寄り空港から離れることのできる最大距離を一発動機不作動状態での飛行速度で飛行時間120分までとした「120分ETOPS」を制度化。これをうけANAでは、いち早くこのルールを適用し、バンコク線にボーイング767-300ERを就航させています。


羽田空港で実施されたANA「767 40周年記念イベント」(2023年6月21日、乗りものニュース編集部撮影)。

 40年の歴史をもち、さまざま功績を残してきたボーイング767。同型機を運航するパイロットは「操縦がダイレクトに伝わる飛行機らしい飛行機です。毎日のフライトをしながら、自分を鍛えられる飛行機だと思います。また、40年の歴史をもって成熟期に入っていますので、安全な乗りものであると認識しています」と評価します。

 2023年6月21日には、ANAの767デビュー路線である羽田〜松山線において、通常は787運航であったNH589便を767運航に切り替え、記念イベントが開催されました。当日は、羽田空港搭乗ゲートで、767のパイロット、40年前から現在までの歴代制服を着た客室乗務員などが参加する撮影会などが実施。同便には224人の乗客が乗り込み、正午ごろに羽田空港を出発しています。