北陸新幹線「敦賀〜新大阪」地下駅やトンネル立坑の「概略設計」いよいよ着手へ 鉄道・運輸機構
北陸新幹線の敦賀〜新大阪間の整備に向けた検討が本格化します。どのような動きがあったのでしょうか。
地下駅などの概略設計業務を委託する建設コンサルを選定
鉄道・運輸機構は、北陸新幹線の敦賀〜新大阪間の整備に向けた検討を本格化させます。京都府や大阪府に設ける地下駅やトンネル立坑などの概略設計業務を発注し、2023年5月15日に委託する建設コンサル会社を決定しました。
北陸新幹線(画像:写真AC)。
京都府内の地下駅検討業務では、駅の概略設計、地下水対策の検討、地下埋設物調査などを行う予定。大阪府内の地下駅検討業務では、駅の概略設計のほか、地盤改良や全体施工計画の検討などを行います。トンネル立坑計画の概略設計業務では、路線全体における施工上の課題に対する検討なども行うとしています。
ちなみに、鉄道・運輸機構が2019年にまとめた「北陸新幹線(敦賀・新大阪間)環境影響評価方法書」では、京都駅は2面2線の地下駅、新大阪駅は2面4線の地下駅を想定したイメージ図が公表されています。
北陸新幹線の敦賀以西の延伸をめぐっては、環境影響評価手続きの遅れなどにより、着工の目途が立っていません。京都駅や新大阪駅の位置・施工方法のほか、地下水の影響、工事発生土の処理といった課題が多く存在するため、環境影響評価手続きで詳細な駅・ルートを公表する前に、実現可能な方策の検討が必要となっています。
鉄道・運輸機構は2023年4月、施工上の課題を解決するための調査を先行して集中的に行う「北陸新幹線事業推進調査」を沿線自治体と協力して進めるため、連絡会議を設置したと発表。国土交通省鉄道局と鉄道・運輸機構が事務局となり、福井県、京都府、大阪府といった沿線自治体が参加しています。
2023年6月3日に発生した大雨では、東海道新幹線が運転見合わせとなり、迂回ルートとして北陸新幹線が注目されました。北陸新幹線の敦賀〜新大阪間延伸には、災害時の冗長性確保というメリットもあります。2024年に予定されている北陸新幹線の敦賀開業後も、関西〜北陸間は敦賀駅での乗り換えがしばらく続きますが、整備に向けた検討は着々と進んでいく見込みです。