高速道路上の工事規制箇所へ衝突する事故が多発している問題で、NEXCO中日本が公開した衝撃の映像が注目を集めています。なぜ恐ろしい事故が起こるのか、同社は「運転支援機能を過信しないで」と訴えています。

原因は明らか? 無減速で突っ込んでくる輩

高速道路上の工事規制箇所へ衝突する事故が多発しています!」
 
 このようなメッセージとともに、NEXCO中日本東京支社が2023年6月14日にTwitterで公開した映像が注目を集めています。15日夜時点で120万回以上の表示、7000件以上のいいねが寄せられています。


NEXCO東日本の注意喚起ポスター。実際に発生した工事規制帯への衝突事故の写真(画像:NEXCO東日本)。

 その映像は、いくつかの事故事例を編集し1本の映像として作成されたものですが、原因車のほとんどが、減速せず猛スピードで規制帯や工事車両へ突っ込んでいます。「運転支援機能を過信し、前方を見ていないと思われる事故や、スマートフォン見ながらの『ながら運転』による事故の多発と考えられます。走行中は前を見て運転してください」と呼びかけられています。

「こええ」「何キロも前から警告出てるのに…」「前を見てない人って多いんだね」などと、映像を見た人からは衝撃の声が寄せられていますが、そもそもなぜ、無減速で突っ込む事故が多発しているのでしょうか。

 もちろん、居眠り運転なども要因として考えられますが、近年になって顕在化しているのが、投稿にもある「運転支援機能の過信」です。

 現在は多くのクルマに、設定したスピードを維持するACC(オートクルーズコントロール)が備わり、前車に追随して自動減速したり、車線を逸脱しそうになると自動で軌道修正したりする機能もあります。ACCを使いアクセルペダルから足を離して高速道路を走っているクルマも、相当数あると考えられます。

 しかし、NEXCO中日本東京支社によると、「自動車メーカーなどのWEBサイトでは、ACCなどの運転支援機能(自動運転レベル2)は、工事規制材箇所の矢印板に反応しないような記載があります」とのこと。

 つまり、ACCで走行しながらスマホなどをいじっていて、前方の工事規制帯に気づかず、そのままドカン――こうしたケースが考えられるのです。規制帯を避けようと前車が車線変更し、それに気づかなければ、車間を維持していた速度から、設定速度へ戻そうと一気に加速する場合もあり得ます。

外からもスマホいじってるの丸見えだぞ!

 映像のコメントには、毎日高速道路を走っているという人から、「工事車線規制のギリギリで入ってくる乗用車が、かなりいます。(略)あと、スマホいじっているの上から、丸見えです」といった声も。

 このような工事規制帯に突っ込む事故は、かねて問題になっていましたが、NEXCO中日本東京支社によると、最近になって事故時の動画を休憩施設のモニターでも公開しているとのこと。注意喚起を強化しているようです。

 同支社は「スマートフォンを少し見ただけでも、高速道路では1秒に約30m(100km/h換算)もの距離を進みます」「ながら運転は『しない・させない・許さない』ようお願いします」と警鐘を鳴らします。「前を見て」「運転に集中して!」という当たり前の話を、強く訴えざるを得ない状況に置かれているのかもしれません。