え…1駅しか走らない? 東京圏ちょっとがっかりな「激短・クセ強列車」5選 私鉄の謎急行も
東京圏の鉄道は直通運転ネットワークが拡大し、長距離を走る列車がますます増加しています。そうしたなかでも、極端に運行区間が短い列車が存在。それぞれに理由があります。
直通運転が広がっても健在!「激短列車」
東京圏の鉄道は直通運転ネットワークが拡大し、複数路線をまたいで長距離を走る列車がますます増加しています。そうしたなかでも、極端に運行区間が短いなど、ちょっと謎めいた列車も存在します。
JR埼京線:「新宿発・池袋行き」「池袋発・新宿行き」
相鉄線との直通運転開始以降、埼玉〜神奈川を縦断する長大な運転系統も設けられるようになった埼京線ですが、その中核部といえる新宿と池袋の間を、ひと駅だけ運転する列車があります。「新宿発・池袋行き」は土休日9時台に1本、「池袋発・新宿行き」は6時台に1本、土休日は17時台にも1本追加されます。乗ったらすぐに終点で、時刻表上の所要時間は5〜6分です。
これは、板橋駅構内にある留置線に出入りする回送を兼ねたもの。この留置線に入る列車は池袋止まりとなります。反対に、留置線を出て池袋発の新宿行きとなった列車は、新宿駅で折り返し大宮方面の列車になります。
JR京葉線:「西船橋発・南船橋行き」「南船橋発・西船橋行き」
209系500番台の南船橋行き(画像:写真AC)。
京葉線は東京〜蘇我間の本線と、市川塩浜〜西船橋間ならびに西船橋〜南船橋間の支線でトライアングルのような線形を描き、西船橋で接続する武蔵野線と直通しています。このうち、西船橋〜南船橋のひと駅間のみを運行する列車がいくつかあります。
「西船橋発・南船橋行き」は土休日の10時台と21時台に2本あるのみですが、「南船橋発・西船橋行き」は平日4本、土休日5本あり、特に土休日の22時台から23時台は3本連続します。とはいえ、これらはすべて、東京から京葉線蘇我方面、武蔵野線府中本町方面へ向かう列車に接続可能となっています。
京葉線と武蔵野線の車両はどちらも、京葉線 幕張豊砂駅に隣接する京葉車両センターに所属するため、両路線を考慮した車両基地の出入りに関連する運用が多いのです。こうした短い列車としては「海浜幕張発・新習志野行き」などもありますが、こちらは2023年3月、中間に幕張豊砂駅が開業したため、“ひと駅だけの列車”ではなくなりました。
え、その先行かないの!? 私鉄のがっかり列車も
新たに誕生した長大な直通運転ネットワークのなかでも、やはり、ちょっとクセの強い列車があります。
東急新横浜線・東横線:急行「新横浜発・武蔵小杉行き」
2023年3月に東急・相鉄新横浜線が開業し、神奈川〜東京〜埼玉にまたがる広大な直通運転ネットワークが構築されました。長距離を走る列車も多く誕生しましたが、極端に短い列車も。そのひとつが、急行「新横浜発・武蔵小杉行き」でしょう。
この列車は平日の終電1本前に設定。途中、新綱島、日吉に停車しますが、各停のみの駅である元住吉は通過です。元住吉に車両基地がある関係上、武蔵小杉止まりの列車は多くありますが、時間が時間だけに各停でよいのでは……と思うかもしれません。
あえて急行の理由は、この列車が日吉から東横線を経由するため。東急電鉄によると、運用上、東横線〜新横浜線の直通列車は種別が急行のみになっているといいます。これに対し、相鉄方面から直通して目黒線を経由する武蔵小杉止まりは、各停で設定されています。
西武新宿線:急行「西武新宿発・田無行き」
田無駅は西武新宿線の西武新宿〜所沢間のほぼ中間に位置する拠点駅です。折り返し線を備え、この駅止まりの列車も多く設定されています。ここより都心側は駅の数が増えることもあり、高田馬場〜田無間で鷺ノ宮、上石神井のみに停車する急行は、主に田無以遠に住む人向けに設定されている列車です。
ところが、平日9時台に1本だけ、西武新宿発・田無止まりの急行が設定されています。朝夕など列車本数が多い時間帯の前後には、各停を西武新宿到着後に準急田無行きとしたり、田無発の準急西武新宿行きにしたりして、急いで折り返させる列車がありますが、その一環といえます。
急行田無行き。高田馬場駅にて(乗りものニュース編集部撮影)。
東京メトロ丸ノ内線:「荻窪発・中野富士見町行き」
丸ノ内線は池袋〜荻窪間の本線と、中野坂上〜方南町間の支線からなります。本線の池袋方面と支線を直通する列車は多く運行されていますが、その逆、荻窪から支線の中野富士見町までを運行する列車が2本だけ存在。中野坂上で方向転換して支線に入るという、地下鉄ではかなり珍しい列車といえます。
この列車は平日・土休日とも、荻窪発の終電2本前と終電に設定されています。中野富士見町には中野車両基地があり、そこへ帰る列車というわけです。逆に中野富士見町発・荻窪行きの定期列車は設定されていないものの、試運転で走るケースはあります。