航空会社「まあそうだけど、じゃあ、どうしろというのよ…」

「価格」に対する満足度が低下

 新型コロナウイルスによる混乱が一段落し、大きな復調を見せている航空業界。CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティング専門機関、J.D. Powerによると、アメリカの航空各社は過去2四半期を通じて記録的な収益をあげているとのこと。一方で同機関は、CS調査という目線から、現状を「一部の航空会社のブランドにダメージを与える可能性がある」と指摘しています。


ロサンゼルス空港に駐機するユナイテッド航空機。

 J.D. Powerは、直近1か月以内に北米の主要航空会社を利用した乗客を対象にファースト・ビジネスクラス、プレミアムエコノミークラス、エコノミー・ベーシックエコノミークラスの3つの部門において航空会社に対する満足度を測定。その結果、総合満足度が2年連続で低下したとしています。

 とくに、調査の顧客満足度低下の最も大きな要因となったのは「料金」。とくにLCC(格安航空会社)をはじめとする、安価な航空券を見つけることができなかったエコノミー・ベーシックエコノミークラス部門において、顧客満足度の低下が最も顕著であったとしています。その一方で、ファースト・ビジネスクラス部門の満足度、ならびに機内食・ドリンクサービスの満足度は向上しているとのことです。

 同機関のマイケル・テイラー氏はこれを踏まえ「もし、航空会社が長期的に成功するための必要な指標が収益最大化だけなのであれば、今年は経済効率性が最高の状態で運営しているため、航空業界にとって素晴らしい年になるはずである。しかし、顧客の視点に立てば、それは機内が混雑し、航空券は高く、フライトの空席が限られていることを意味する」としたうえ、「まだレジャー目的の旅行の需要に打撃を与えていないが、もしこの傾向が続けば、顧客は限界に達し、一部の航空会社のブランドにダメージを与える可能性がある」とコメントしています。