時速300km近い超高速で走行する新幹線の運転席のガラスは、どうやって雨から視界を確保しているのでしょうか。

複数の要因で「雨にも負けない」仕組み

 雨の中高速道路を走っていると、生活道路よりも速度があるため、フロントガラスに当たる雨粒は当然激しさを増します。ワイパーを高速にしても視界は確保しにくくなります。

 では、300km/h近い超高速で走行する新幹線の運転席のガラスは、どうやって雨から視界を確保しているのでしょうか。


東海道・山陽新幹線のN700系電車(画像:写真AC)。

 鉄道事業者にたずねたところ「新幹線の車両はそもそもガラスに水滴が残りにくいです」と話します。ガラス表面の撥水性が高いのと、流線形を保つためガラス面が水平に近い傾きになっていること、さらに前から受ける風圧で、すぐに雨粒が飛ばされてしまうといいます。

 また、信号や速度制限など、新幹線の運転に必要な情報は運転席パネルに表示されます。意識してワイパーを使用するのは、カーブや駅に差し掛かって手動でブレーキ操作を行う際など、必要に応じて行うとのこと。

 それでも、新幹線のワイパーは自動車のものと比べて違いがあります。自動車のワイパーは扇形にしか拭けませんが、近年の新幹線車両のワイパーはブレード部分が平行移動し「長方形」に拭ける構造で、より視認部を確保できるようになっています。

 ちなみにワイパーの取付け位置は新幹線車両によってバラエティ豊かで、N700系やN700Sは窓のほぼ中心部に1本あるのに対し、JR東日本のE2・E5・E6・E7・E8系は窓の両端側に計2本取り付けられています。また「つばさ」用のE3系はワイパーが2本ですが、取りつけ部は中央に2本寄っています。