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 マタイス・デ・リフトは、バイエルン・ミュンヘンでの移籍初年度を順調に過ごすことができた。今冬に開催されたカタール・ワールドカップでは、オランダ代表の中で辛酸を嘗めたシーズンではあったものの、バイエルンでは代表的な成功例として機能しているところだ。

 マタイス・デ・リフトがアリアンツ・アレナの出口に向かう際、他の多くの同僚たちと異なり笑顔を浮かべ、愛想良く待ち構えるジャーナリストらと向き合って、次から次に寄せられる質問に多少決まり文句的なところはあっても、決して嫌がるそぶりもみせることなくしっかりと答えている・・・、ただ忘れてはならないのはそれを、新加入選手として彼がドイツ語で行っているということだ。しかも当初英語で「I think」と話していた言葉は、加入からわずか1ヶ月後にはドイツ語で「Ich denke, dass」に変化。8月の時点ですでにキッカーと英語ではあるがインタビューにも応じるなど、馴染む様子を見せていた。

 ただもう1つ忘れてはならないことはこの時、マタイス・デ・リフトはそれまで所属していたユベントスにて別メニューで調整していたことから出遅れが生じており、はやる心とは裏腹にむしろ忍耐力と状況への理解度も求められていたということ。当時のユリアン・ナーゲルスマン監督は「新加入選手というのは、初めてプレーする時に最大限のパフォーマンスを発揮できる状況じゃなくてはならないもの、そこでマタイスは何が大切であるかをしっかりと理解しているし、まだここにきて8週間でしかないこともちゃんとわかっているんだ。日々のトレーニングでとてもうまく取り組めているし、ユベントスで行えなかった部分のトレーニングを行なっていっているところだよ」と称賛の言葉を送っている。

 ほどなくデ・リフトはバイエルンの3バック、そして4バックにおいても守備の要としての存在感を発揮していく。とりわけダヴィド・アラバの移籍から失われていたリーダーシップという部分もみせつつ、そして他のセンターバック陣とは異なり非常に安定したパフォーマンスをみせながら。今シーズンにデ・リフトがキッカー採点で4以下となったのはわずか2試合しかなく、それ以上はすべて3.5以上をマーク。しかも15試合は2点代という好成績を残しており、フィールドプレーヤーにおいてはブンデスリーガ全体2位という結果となった。その姿勢は得点数やスタッツだけで計り知れるものでなく、全ての対人戦の毅然とした態度で臨み、積極的にゴールを守ることに没頭する印象を残す。その貪欲さはまるでストライカーのようだ。逆のストライカー、ゴールを決めるのではなく守るストライカーとも表現すべきか。

 例えばパリ・サンジェルマンとのチャンピオンズリーグ16強では、ヤン・ゾマーが再び致命的なミスをおかし失点の危機を迎えるも、その前にまたしても立ちはだかってみせたのはやはりマタイス・デ・リフト。試合後にはゾマーが「彼の家の玄関前にトラック1台分のスイスチョコレートを届けるつもりだ」と感謝の気持ちを伝えたほどに。無論自軍のゴール前のみならずオフェンス面においてもデ・リフトはストライカーとしての資質を発揮しており、セットプレーからの空中戦だけでなく25メートルの距離からのロングシュートも突き刺すなど、まだビルドアップ面での課題はあるとはいえ、6700万ユーロで迎えたバイエルンの数少ない移籍成功例となっていることは間違いない。