女子ゴルフ菅沼菜々が語るファンとの交流を重要視する思い【写真:Getty Images】

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ブリヂストンレディスで今季最高3位、自らの思いを発信する背景は

 女子ゴルフの国内ツアー・ブリヂストンレディスで今季最高の3位に入った菅沼菜々(あいおいニッセイ同和損保)。昨季はトップ10に15度も入ってメルセデス・ランキングも8位と実力をつけた。SNSの発信にも積極的で今季からJLPGAブライトナーを務めるが、女子ゴルファーとしては珍しく投稿サイト「note」で自らの思いを記すことも。ファンとの交流を重要視する思いを聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・宮内 宏哉)

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 通算9アンダーで今季最高の3位に入ったブリヂストンレディス。悲願のツアー初優勝とはならなかったが、菅沼は最後の最後でファンを沸かせた。

 最終18番パー4。第2打をグリーン奥に外してしまったが、続く第3打で見事なチップインバーディー。グリーン周りに集まったギャラリーから大歓声を浴び、両手を突き上げて喜んだ。

「(自身の名前入りの)タオルを持ってくれている方もいっぱいいて、見てもらっている方が力が出ます。見えない力や応援がすごく自分に届いていたので最後は入って良かったです」

 人差し指と中指で作る独特のハートマークや、プレーを待つ間に見せる体育座りのポーズなどが日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)公式SNSで紹介されて話題になるなど、昨年ランキング上位で戦う中で人気も高まっていった。

 ファンに向けた発信のため、ツイッターやインスタグラムのほか、文章、写真などの投稿サイト「note」も活用。自身がアイドル好きで、アイドルはブログをやっているイメージがあったため「乗っかって始めた」という。

「文章は心が入る気がするんです。試合中になるとどうしても頻度が少なくなってしまうけれど、長距離移動の時とかに車で書いたりしています」

 特に反響が大きかったのは、自身が患う「広場恐怖症」について記した記事だった。

 高校時代、気づいたときには公共の乗り物に乗ることができなくなっていた。「電車、飛行機、船、ヘリコプターなど……自力で外に出られない状況があると発作が起きます」。全国各地を転戦する中では大きなハンディキャップ。沖縄で行われた開幕戦には出場できず、父の運転する車で最大1200キロほどを移動することもある。

交流を重要視する理由「ボミさんみたいに愛される選手に」

 今季は状態が上らず予選落ちも3度経験。それでもスイングを大きく変えて臨んだ今大会では手応えも掴んだ。ファンとの交流を重要視する理由の一つには、厳しい戦いの大きな支えとなってくれることへの感謝がある。

 今季からJLPGAが選出する「ブライトナー」の一員になった。SNSを通じた発信でブランディング活動、PRなどにも協力していく。「試合結果を投稿する選手は多いけど、プライベートを載せる選手があまりいない」。元々発信には積極的で、自身を身近に感じてもらえる内容も投稿してきた。

「(SNSで)呟くことで距離感が縮まると思う。乃木坂46さんのインスタを見て、撮り方もマネしたりしています。自己満もあるけれど(笑)楽しくやっています」

 東京五輪銀メダリストの稲見萌寧らと同じ1999年度生まれの23歳。将来の目標は「ファンとの距離感が近く、笑顔で明るい選手。イ・ボミさんみたいに皆から愛されるプロゴルファーになりたい」と話した。ファンの後押しも受けながら、昨季惜しくも届かなかった初優勝へ挑戦を続ける。

(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)