強気のプレー、勝機引き寄せる・樟南樟南7点目・畝地 竣己

<春季九州高校野球鹿児島県大会:樟南7−6鹿児島商>◇29日◇3回戦◇鴨池市民

 樟南と鹿児島商。鹿児島を代表する伝統校同士の一戦は終盤までもつれる展開となった。

 先手をとったのは鹿児島商。2回表、2死から6番・石原 翔和(3年)が左翼席にソロを放ち、9番・入田 和哉(2年)も左前適時打を放って2点を先取した。

 その裏1点を返した樟南は3回裏、1死一、二塁から6番・小峰 康矢(3年)が左翼席にライナーで飛び込む3ランを放って逆転に成功する。

 4回は4番・坂口 優志(2年)、5回は中 尾翔人(3年)の適時二塁打で1点ずつを加点し、樟南が主導権を握ったかに思われた。

 鹿児島商は7回表に1点を返すと、8回は3連打を浴びせ、3番・山元 真ノ介(3年)の左前適時打で1点を返し、なお満塁と好機が続いて2つの押し出しで同点に追いついた。

 樟南は8回裏、1死から3番・畝地 竣己(3年)が右翼席にアーチをかけて勝ち越し。2回途中から粘りのロングリリーフを続けた左腕・新藤 侑志(2年)が9回を無失点で切り抜け、接戦をものにした。

 樟南は終盤、畝地の強気なプレーが勝機を引き寄せた。

 同点に追いつかれた直後の8回裏。「今大会、ヒットがなかなか出ず、チームに貢献できていなかった」責任感をバットに込め、追い込まれながらも内角高めを迷わず振り抜き、値千金の勝ち越し弾を放った。

 打の強気が守備にも乗り移る。9回表は1死から二遊間に抜ける打球をダイビングして食らいつく。内野安打にはなったが、次の一、二塁間深い当たりを処理し、素早く二塁送球。間一髪でアウトをとった。

 点差があれば確実に一塁に投げるが「1点差の接戦。先の塁には進めたくなかった」強気なプレーが生きた。最後の打球も確実にさばいて、試合を締めくくった。

 初戦から苦しい戦いが続きながらも8強に勝ち上がった。次の相手は秋の覇者・神村学園。畝地は「絶対に勝って九州大会に行く!」と強い決意を語っていた。

(取材=政 純一郎)