ローンデポ・パークで盛り上がりを見せるベネズエラファン【写真:Getty Images】

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WBC準々決勝、ベネズエラファンの熱気が場内包む

 野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は18日(日本時間19日)、準々決勝で米国が9-7でベネズエラに勝利した。米国のホームのはずだったローンデポ・パークは、ベネズエラファンの耳をつんざくような大歓声で包まれる異様な雰囲気に。互角の勝負を後押しした。敵には恐ろしい脅威が明白となり、20日(日本時間21日)の準決勝で中南米の強豪メキシコと戦う侍ジャパンも“完全アウェー”を覚悟する必要がある。「THE ANSWER」の記者が現地で盛り上がりを体感した。

 火山の噴火のように、一気に球場の雰囲気を飲み込んだ。3万5000人を超える観衆が集結した一戦。舞台の米マイアミは、ドミニカ、キューバなど中南米と立地的に近く、この日もベネズエラ国旗を振るファンがスタンドに詰めかけた。

 盛り上がりが最高潮となったのは3点を追う5回。無死二、三塁のチャンスで2017年のMVP男アルトゥーベが死球を受けて途中交代し、マウンド上のバードに容赦ないブーイングが注がれた。するとベネズエラに火がついたか、ペレスの適時二塁打などで同点に。まるで米国がアウェーかのようなお祭り騒ぎとなり、さらにアクーニャJr.の中犠飛で逆転に成功した。

 アクーニャJr.は、一塁へ走り出した直後に手を挙げ、まるで本塁打のように歓喜。国を背負う一戦への思いの強さを垣間見せた。ボルテージMAXとなった場内は、もはや他の音を聞き取るのが難しい“騒音”レベルだった。

栗山監督はメキシコを「僕らがやられてもおかしくない」と警戒

 結局8回にターナーの逆転満塁弾を浴びて敗れたものの、試合を通じた歓声だけならベネズエラが勝っていたと言っても過言ではない。負けじと米ファンも盛り上がっていたが、それでも相手に及ばなかった事実は、現地の多くの人間が認めるはずだ。味方にも敵にもこの上ない存在となった、熱狂的な中南米ファンの恐ろしさが際立つ一戦となった。

 日本と戦うメキシコも、熱狂的なファンが多い中南米の国。日本代表のチャーター機でも約13時間かかるほど離れた場所に、日本人ファンよりメキシコのファンが多くなるのは想像に難くなく、アウェーの戦いを覚悟しなければならない。1次ラウンドでは米国を11-5で下してC組1位となっており、アロサレーナ、サンドバルら大リーガーが揃うなど実力も申し分ない。

 侍ジャパンの栗山監督は18日(同19日)の練習後、「自分の国の威信をかけて、魂かけてくるからどうなってもおかしくない。僕らがやられてもおかしくない」と警戒。魂のぶつかり合いで様々なことが起きるのが野球だと力説し「それに飲み込まれないように、しっかりやっていきます」と話した。

 侍ジャパンはこれまでの5試合を全て東京ドームで戦い、チェコやオーストラリアと友好的に試合を終えたことで話題を呼んだ。ホームだったこれまでの試合とは違った展開も見られるかもしれない。

(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)