どの職場にも必ず1人は「嫌な人」がいるもの。そんな「職場の嫌な人」の、7つのタイプの特徴を紹介します(写真:Graphs/PIXTA)

改正労働施策総合推進法(通称パワハラ防止法)が施行され、大企業は2020年6月から、中小企業は2022年4月から「ハラスメントへの防止措置」が義務づけられました。その結果、一時期と比べると、職場での「パワハラ」は減ってきましたが、完全になくなったわけではありません。「パワハラ」と認定されるまではいかなくとも、どの職場にも、必ず1人は「嫌な人」がいるものです。

弁護士の後藤千絵さんは、離婚や相続などの家事事件を中心に相談を受ける弁護士。近年は家族間の「モラハラ」だけでなく、職場やコミュニティーの「モラハラ」に関する悩み相談が増えていることから「職場の嫌な人による嫌がらせ行為」に悩む人たちのために、自分を守る「言葉の護身術」を考案しました。『職場の嫌な人から自分を守る言葉の護身術』から一部をご紹介します。

「職場の嫌な人」は、大きく分けて次の7つのタイプに分類することができます。

1 「自己正当化」タイプ
2 「自己中」タイプ
3 「かまってちゃん」タイプ
4 「八つ当たり」タイプ
5 「完璧主義者」タイプ
6 「嫉妬メラメラ」タイプ
7 「サディスト」タイプ

それぞれの特徴を見ていきましょう。

自己正当化タイプはこういう人

1「自己正当化」タイプ

1の「自己正当化」タイプの思考法は、極端にいえば、「こんなに一生懸命にやっている私は悪くない」というもの。自分を正当化することにかけては、7タイプの中でも随一です。職場で身近にこんな人がいたら、仕事がうまく回らなくなり、毎日、不愉快な思いをすることは確実です。

このタイプの人を何度も見てきましたが、「自分は悪くない」という点に関しては一切の迷いがなく、すがすがしいほどです。このタイプはプライドが非常に高く、思い込みが激しい点が特徴です。だから、正々堂々と「私は間違っていません」と主張するのです。

2「自己中」タイプ

2の「自分の思いどおりにしたい」という「自己中」タイプは、モラハラの典型例です。

このタイプの人は、とにかく自分の意見を一方的に押しつけてきます。つねに自分の意見が正しく、他人の意見を受け入れようとしないのが特徴です。こちらが反論しようものなら、ネチネチと執念深くまとわりついてきて、けっしてあきらめようとしないため、関わるとものすごく面倒なことになります。

結局のところ、他人の意見に聞く耳を持ちませんし、自分が最優先で、他人を認めていないのです。そういう意味では、「悪いのは他人のせい」というタイプ1の「自己正当化」タイプの進化系ともいえます。

3「かまってちゃん」タイプ

3の「かまってちゃん」タイプは、私を「もっとほめて! もっと認めて!」と、「自己愛」と「承認欲求」がことさら強いのが特徴です。

「自己愛性パーソナリティー(人格)障害」という言葉を聞いたことはありますか?

自己愛に対する捉え方が歪んでしまい、自分は優秀で特別な存在などと思い込んでしまうのが特徴です。ほめられたい、愛されたい、注目されたいという気持ちが強く、他者からの評価を人一倍気にします。

そこまではいかなくても、自己愛や承認欲求が強いタイプは数多くいます。このタイプは部下の手柄を平気で横取りします。承認欲求が強いため、手柄を横取りしても何ら罪悪感を抱かないのです。

八つ当たりタイプはこういう人

4「八つ当たり」タイプ

4のストレスをため込んで他人に八つ当たりする「八つ当たり」タイプは、家庭のストレスを職場に持ち込む人、あるいは、職場でのストレスを家庭に持ち込み、それがモラハラやDVを引き起こす原因となっている人が多いです。

ストレスを発散する場が「職場」なのか「家庭」なのか──。それはつまるところ、どちらに「いい顔」をしたいかで決まります。ストレスのはけ口にされる側は、要は「なめられている」側だということです。

私が相談を受けた中でも、家庭では妻に頭が上がらず、何かと我慢を強いられる腹いせに、部下をいびったり、いじめに加担したりする人の話をよく聞きます。

5「完璧主義者」タイプ

5の「他人のミス」は絶対に許せない「完璧主義者」タイプは、ただ、自身の完璧さを追い求めるだけならいいのですが、それを他人にも押しつけて、完璧さを要求するから困ってしまうのです。重箱の隅をつつくように他人のミスを探し、ミスを発見しようものなら、鬼の首を取ったかのように、ネチネチと責め立てることが特徴です。

このタイプは、「優秀な自分VS優秀ではない他人」という構図でものを考える傾向があります。「自分は仕事ができる」「自分は完璧」「他人は仕事ができない」と、周囲を見下して、自分のやり方が最良だという固定観念で凝り固まっているのです。当然、他人のいいところや個性を認めようという姿勢は見られません。

要するに、自分を「過剰評価」して、他人のあら探しをする、度量の狭い「ちっちゃい人」と言えるでしょう。

6「嫉妬メラメラ」タイプ

6の「嫉妬メラメラ」タイプは、とにかくマウントを取りたがります。

他人に対する「ひがみ・そねみ」は、他人を攻撃する要因となる非常にやっかいで複雑な感情です。自分でも気がつかないうちに、嫉妬から他人を攻撃していることもあります。

「マウンティング」とは、相手よりも自分のほうがポジションや社会的地位が上であるということを、威圧的な言動などによって相手に認識させることです。このタイプは他人の評価がすべてで、他人より優位に立つことで安心するのです。

7「サディスト」タイプ

7の「サディスト」タイプは弱いものいじめが大好き。

誤解を恐れずに言えば、いわゆる「お局さま」や、中間管理職の「オジさん」に多いのが、この「サディスト」タイプ。立場の弱い派遣社員やアルバイトにきつい態度を取ったり、女性社員を年齢や容姿で露骨に差別することが特徴です。

複数のタイプを兼ね備えた難敵も


以前よりもセクハラやパワハラは少なくなりましたが、まだ完全になくなったわけではありません。元来のサディスティックな性格から、弱い者いじめを好む人もいるのです。安心はできません。

あなたが思い浮かべる「職場の嫌な人」も、この7タイプのどれかに該当するはずです。なかには、複数のタイプの特徴を兼ね備えた難敵もいると思います。

嫌がらせをする人のタイプと特徴を知るだけでも、気持ちが楽になります。特徴がわかれば、対策を立てるのは、それほど難しくはありません。

(後藤 千絵 : 弁護士)