JR東日本の運賃が値上がりする3月18日、同時に首都圏において「オフピーク定期券」が導入されます。平日の最混雑時間帯を避けて移動すると安くなるというものですが、利用者はどう感じているのでしょうか。

「オフピーク定期券」は低空飛行か

「乗りものニュース」では2023年2月22日(水)から2月28日(火)にかけて、電車やバスなど公共交通機関で通勤している人を対象に、通勤費に関するアンケートを実施。169人から回答が集まりました。
 
 各事業者は通勤ラッシュ時の混雑を緩和しようと、たとえば事前登録制のICカード乗車によるポイント制度などを導入し、一定の時刻に入出場した場合に付与するといった取り組みを行っています。またJR東日本は、来る3月18日(土)より首都圏で「オフピーク定期券」を導入。平日朝のオフピーク時間帯のみ利用でき、通常の定期券運賃より10%安くなるものです。

 アンケートではこれらの取り組みについて、利用するかどうかを尋ねました。


通勤ラッシュのイメージ(画像:写真AC)。

「JR東日本の『オフピーク定期券』を利用する、あるいは利用を勧められていますか」。この質問に対し、「利用する、利用を勧められている」と回答した人は10.7%(18人)に留まりました。「利用する予定はない」と回答した人は89.3%(151人)。それぞれの回答の主な理由は以下の通りです。

●利用する、利用を勧められている
「安いから」(35〜39歳、男性など複数)
「ポイントが貯まるから」(50〜54歳、男性など複数)
「ほぼ確実に毎朝オフピークポイントが稼げる生活サイクルなので」(35〜39歳、女性など複数)
「フレックスタイム制導入してるから」(55〜59歳、男性)
「空いている電車に乗りたいから」(55〜59歳、男性)

●利用する予定はない
「現在の始業時刻ではオフピーク通勤ができないから」(50〜54歳、男性など多数)
「定期券の割引率がまったく魅力的でない」(40〜44歳、男性)
「オフピーク通勤の時間帯にあわせるため、駅で待機するといった行動がわずらわしい」(25〜29歳、女性)

経理担当者はどう感じている?

 続いて「各事業者が導入する、オフピーク利用時にポイントを付ける制度を利用していますか」と質問したところ、「利用している」と回答した人は32.0%(54人)、「利用する予定はない」と回答した人は68.0%(115人)でした。「オフピーク定期券」と比較すると、利用者は多いようです。回答者それぞれの主な理由は以下の通り。

●利用している
「ポイントを有効活用したい」(25〜29歳、男性など多数)
「お得だから」(35〜39歳、男性など多数)
「なんだかんだポイント貯まるとお茶とか買える」(20〜24歳、男性)
「設定が簡単だから」(55〜59歳、男性)
「設定さえしておけば、意図せずオフピークに重なればポイントをもらえる」(55〜59歳、男性)

●利用する予定はない
「オフピーク時間帯に利用しないから」(40〜44歳、男性などほぼ全て)

 たとえば東京メトロが東西線で導入している「オフピークプロジェクト」は、東葉勝田台〜門前仲町間で西行きの電車に乗り、南砂町〜中野間で正午までに降りた場合、指定された乗車時間に合わせポイントが付与されるもの。午前5時台など早朝であるほど多くのポイントを獲得できます。ポイントはICカードへチャージできます。

 JR東日本の「オフピーク定期券」も、利用時間帯がピークかオフピークかは「入場時間」で判定。もし適用外の時間帯だった場合は別途、普通運賃を支払うこととなります。

 都内IT系企業の経理担当者は「出社率が上がる傾向にある中、遅出勤務の切り替えで経費削減につながるのはありがたい」と話す一方、「取引先との打合せなど、どうしてもピーク時出社せざるを得ない場合、その際に払った運賃の精算で、事務処理が煩雑になるかもしれない」とも。オフピーク定期券をメリットに感じる人はいるものの、会社レベルでの導入となると、ハードルもあるのかもしれません。

●アンケート実施概要
・調査期間:2023年2月22日(水)18時ごろから2月28日(火)13時ごろまで
・調査方法:Questantのシステムを利用して調査
・対象:「乗りものニュース」のSNS(Twitter、Facebook)のフォロワーなど
・有効回答数:169

※一部修正しました(3月16日13時20分)。