40代・白スニーカーのはき方。カジュアルになりすぎない小さなコツ

2023年3月15日 20時0分

「こんなときどんな服を着ればいいかわからない」のあるあるなお悩みに合わせたアイテムやコーディネートを、30～40代の今を生きる3人の個性豊かな女性の日常とともに紹介していきます。第20回は「白スニーカー」。きれいめ派の人はどうしたらおしゃれにはけるのかを、コンサバスタイルが好きな主人公・マユミに当てはめて紹介します。

＜通勤スタイル＞スニーカー合わせで一気にフレキシブルなムード

●3／20　月曜日　AM7：00。出勤

マユミ：年度末は忙しい。やってもやっても仕事の量が減らない。でも、ユウとの関係が微妙な今は仕事に没頭できるほうがよくて、わざと忙しくしてるところもあるからつらくない。

コンペの資料づくりを進めないとやばくて7時に出社。今日は会社にこもりきりだからスニーカーで来ちゃった。パンツスーツにスニーカーってハンサムで好き。清潔感のある白ならスーツスタイルがクリーンに見えるし、ヘルシーなムードにもなるし、なんだか気持ちも軽やか。ジャケットの下のTシャツとバッグも白でそろえて春らしいさわやかさも演出。Tシャツはクルーネックを選んで、スニーカーのカジュアルなテンションに合うように。

「今週末、同業他社の人が集うゴルフ交流会のイベントあり。来られる人いませんか？」と部署内のグループチャットが鳴った。それどころじゃないとスルーしかかったものの、その日はユウからドライブに誘われていたことを思い出した。ドライブほどの長時間をユウと平和に過ごしきる自信がなくて返事を保留していたんだった。

「私行けます！　行きたいです」。

そう送って、「接待ゴルフが入っちゃった」とドライブを断った。ユウとうまく向き合えなくなってからもう2か月以上がたった。ユウからの連絡もあまり来なくなった。

私はユウに対して言いたいことをずっと言えずに、結婚する気があるのかどうかも結局確認できなかった。失いたくなかった。ユウの穏やかさが好きだったから、そういう態度がかえって苦しいとかつらいとか言えなかったし、そのままでいてほしかった。いつでもなにかに必死だった私も、ユウと一緒にいる時間だけは穏やかでいられて、そういう一面を自分が持っていたと知れたこともうれしかった。でも、苦しさのほうを積み上げすぎてしまった。

ちゃんと向き合って話をしなきゃいけないのに、まだその覚悟が決まらない。もう未来がないとわかっているのに、それが事実になってしまうのがこわい。仕事の忙しさを言い訳に、もう少しだけ、先のばしをさせて。その先のばしの間に、いい方に転んでくれる希望を捨てられずにいるんだ。

＜プライベート＞アウトドアにも最適。場慣れた雰囲気も

●3／25　日曜日。AM7：30。ゴルフの朝

マユミ：ゴルフの日はトラッドスタイルと決めている。どんなゴルフ場にもなじんで、誰にもいやな印象を与えず、場慣れた雰囲気も出るから。ネイビーのニットにブルーのシャツ。今日はカジュアルOKなゴルフ場だったからジョグパンツでトレンド感を出し、スニーカーで着崩した。どっちも白なら清潔感があってスポーティーになりすぎないのもいい。

現地に来たら全部で30人。あれ、あのギラギラオーラの人は…サオリの夫・シンさん！　えぇ…！？　昨日サオリから「明日シンちゃんがゴルフでいないからうちこない～？」と連絡があった。ゴルフは言い訳でどうせ浮気する週末なんでしょ、とひっそり思っていた。ここにいた。疑ってごめん。

人当たりがよくて、みんなをまとめて盛り上げるのがうまくて、幹事より幹事らしい動きをするシンさん。“人たらし”とはこのことかと思うほどに、ホスピタリティが高くて、安心させる力がある。これはモテて仕方ないだろうな。サオリがシンさんの浮気を見て見ぬふりする理由もわからないでもないと思ってしまった。私はこいつ、嫌いだけど。

ラウンド中に「ユウくんと大変みたいですね。サオリから聞いてます」と話しかけられた。「あぁ…。この間サオリに八つ当たりしちゃって。すみません」。「なにも気にしてなかったから大丈夫。サオリは人の弱さに対して理解が深いんですよ。俺もそういうサオリに助けられてます」。なんだかよくできた夫婦だな。
サオリは人の弱さに対して理解が深すぎるから、その愛がときどきちょっとだけ重くて、こわくなる。だからシンさんはどこかで息抜きをしたくなるのかな…って、わー、こんなやつの気持ちを理解なんてしたくないのに！　「よかったら今日来てるうちの後輩紹介します。マユミさんと気が合うんじゃないかな。独身で彼女募集中のいい男ですよ」。

ランチどきに後輩・松田を紹介され、隣の席になった。話しやすくて、自分らしさを強く持ってて、話題を変えたり掘り下げるのもうまくて、珍しく私が喋りすぎてしまった。2歳年下なだけだから話題も合って、話しているのが楽だったし、フラットに接してくれた。落ち着いた。ユウがこうだったらどんなによかったか…。

…他人との楽しい時間を知ってユウを恨んだ私って、最低だ。

松田と連絡先を交換した。家に帰ったら「もっと話したいので今度食事に行きませんか？」とメッセージがきていた。「4月に入ったら仕事落ち着くのでぜひ」と返事をした私は、裏切り者なのかな。もう、ユウとお別れしなきゃいけない。